五部
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ジョルノ視点
亀を片手に抱えたまま、杖の様な形になったナギニでヘリの中へ居るのだろうスタンド使いを差すトムは、静かに怒っている様だった。
とはいえジョルノはトムが怒った姿を見たことはない。トムと出会ったこと自体まだたった数日前の事なのだ。
そんな短い付き合いの相手ではあるけれど、今彼が怒っているのは分かる。
周囲の生命エネルギーがトムの怒りに呼応するように震えている。
「貴様ほど低脳で低俗な者には分からんかもしれないがな。この国は私の父が愛している場所の一つだ。あの父が愛するものを彼の息子である私の前で壊そうというのは我慢ならない。そんな矮小な残酷性で楽しんでいい場所ではないのだ」
トムの紅い瞳が爛々と輝いている様に見えた。ミスタもミスタのスタンド達もトムの怒りに唖然としている。
ゆっくりとヘリへ近づいていくトムに、ジョルノも動けなかった。
一人称も喋り方も変わっている。皮肉の多いジョルノより年下の少年から、全てを見下すような態度へだ。
「貴様は楽に殺してやるものか。魂が千切れる感覚とまでは言わん。だが死にたいと懇願したくなる苦痛は与えてやる。スタンドを使う間も与えてやるものか。麻酔も効くことのない苦痛を味わえ。許しをこう猶予も与えてやるものか。貴様が殺した全ての者が経験した苦痛をその身へ刻め」
「――トム!」
止めなくてはと思った。そう考えてトムを呼べば、冴え冴えと冷え切った紅い眼がジョルノへ向けられる。睨まれただけで心臓が凍るような気分になったが、ジョルノは退かなかった。
トムへ奴を殺させては駄目だ。今まで何度もトムはジョルノ達が倒してきた追っ手の死体などを見てはいるけれど、まだトムが直接手を下したことは無かったはずだ。
なら、その手は綺麗なままでいるべきだろう。
「トム。そいつはボク達が倒す。だから君は亀を守っていてくれ」
「……お前が倒すより私が殺した方が早い」
ジョルノのこともいつものような名前ではなく、『お前』と呼ぶ。ここまで違うといっそ別人だ。
もう何も言わないと思ったらしいトムが再び歩き出す。
「トム。やめてくれ。――友達だろう?」
足を止めたトムが振り返った。けれどもそこにさっき程の恐ろしさはない。
「友達」
「そうだ。ボクと友達になりたいって言ってただろ? ボクはもう友達になっていたつもりだけど言ってなかったな。それとも友達の頼みも聞いてくれないのか?」
「……。友達は大切にしろって父さんに言われてるんだ。アレを殺してくれるのなら僕の目的も達成される訳だし、ジョルノの言うことを聞くよ」
亀を片手に抱えたまま、杖の様な形になったナギニでヘリの中へ居るのだろうスタンド使いを差すトムは、静かに怒っている様だった。
とはいえジョルノはトムが怒った姿を見たことはない。トムと出会ったこと自体まだたった数日前の事なのだ。
そんな短い付き合いの相手ではあるけれど、今彼が怒っているのは分かる。
周囲の生命エネルギーがトムの怒りに呼応するように震えている。
「貴様ほど低脳で低俗な者には分からんかもしれないがな。この国は私の父が愛している場所の一つだ。あの父が愛するものを彼の息子である私の前で壊そうというのは我慢ならない。そんな矮小な残酷性で楽しんでいい場所ではないのだ」
トムの紅い瞳が爛々と輝いている様に見えた。ミスタもミスタのスタンド達もトムの怒りに唖然としている。
ゆっくりとヘリへ近づいていくトムに、ジョルノも動けなかった。
一人称も喋り方も変わっている。皮肉の多いジョルノより年下の少年から、全てを見下すような態度へだ。
「貴様は楽に殺してやるものか。魂が千切れる感覚とまでは言わん。だが死にたいと懇願したくなる苦痛は与えてやる。スタンドを使う間も与えてやるものか。麻酔も効くことのない苦痛を味わえ。許しをこう猶予も与えてやるものか。貴様が殺した全ての者が経験した苦痛をその身へ刻め」
「――トム!」
止めなくてはと思った。そう考えてトムを呼べば、冴え冴えと冷え切った紅い眼がジョルノへ向けられる。睨まれただけで心臓が凍るような気分になったが、ジョルノは退かなかった。
トムへ奴を殺させては駄目だ。今まで何度もトムはジョルノ達が倒してきた追っ手の死体などを見てはいるけれど、まだトムが直接手を下したことは無かったはずだ。
なら、その手は綺麗なままでいるべきだろう。
「トム。そいつはボク達が倒す。だから君は亀を守っていてくれ」
「……お前が倒すより私が殺した方が早い」
ジョルノのこともいつものような名前ではなく、『お前』と呼ぶ。ここまで違うといっそ別人だ。
もう何も言わないと思ったらしいトムが再び歩き出す。
「トム。やめてくれ。――友達だろう?」
足を止めたトムが振り返った。けれどもそこにさっき程の恐ろしさはない。
「友達」
「そうだ。ボクと友達になりたいって言ってただろ? ボクはもう友達になっていたつもりだけど言ってなかったな。それとも友達の頼みも聞いてくれないのか?」
「……。友達は大切にしろって父さんに言われてるんだ。アレを殺してくれるのなら僕の目的も達成される訳だし、ジョルノの言うことを聞くよ」