五部
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「……保ったほうだと思うよ」
「……トム。まさか」
「うん。僕は知っていた」
信じられないとばかりにトムとブチャラティを見るジョルノに、トムは亀の中の二人へ聞こえないようにとミスタが起きてこないように気を付けながら続ける。
ヴェネツィアのマジョーレ教会で、ブチャラティは既に死んでいたのだ。『彼の能力はもっと“罪深い”モノを生み出す可能性がある』
イブリスは既に忠告をしていた。その死人を生き返らせてしまうという、生き返った死人という『罪深いモノ』は、ジョルノがブチャラティを助けようとし結果に生み出されてしまったのである。
ジョルノはそれを意識したつもりはなかった。トムは今でこそ生きているとは言え特殊な魂だ。だから気付いてしまったのだ。
「ヴェネツィアでお前がオレを治してくれた時、おまえがくれた『生命エネルギー』はもう少しだけ『動く事』を許してくれた様だ。トムも、手を貸してくれたしな」
「……そんな風に言わないでよ」
そう言うのがやっとだった。
「一度死んでしまった人は、ジョルノでも父さんでも助けられない。生命エネルギーを今は父さんの力を借りて安定させてはいるけど、そんな怪我をした感覚も分からないって事はもうすぐ……動けなくなる」
「そんな……ブチャラティ」
「終わったものはどうすることも出来ない。オレの『命』はあの時すでに終わってたんだ」
イブリスが『大丈夫と言えば大丈夫』なんて言っていたのを思い出す。ヴェネツィアでトムは既に理解してはいたものの、これが傷つかずにいられるものか。忠告が決して忠告になっていない。
車がローマ市街へと入る。コロッセオが前方へ見えてくると同時に何かが近づいてくる音がした。どこから聞こえてくるのかも分からないそれに周囲を見回した直後、車の上から全身にカビを生やした死体が降ってくる。
道路が下り坂だったせいで車に乗っているだけでカビが広がっていく。衝撃にミスタが目を覚まし、トムも亀の中から外へ出た。戻るより出た方が早かったのだ。
ブチャラティがスタンド能力で車を開き、車の外へと逃げ出す。乗る者がいなくなった車が先で壁へ激突し、カビの生えた死体を落としたと思われるヘリコプターが地面に落ちた死体の上でホバリングしていた。
プロペラの風圧によって、カビに浸食された死体が崩れて散らばっていく。殆ど無意識にトムは腕で鼻と口を塞いだ。
「『無意識』……スタンド能力はある意味、その本体の無意識の才能だ」
ジョルノがヘリを見上げている。
「……トム。まさか」
「うん。僕は知っていた」
信じられないとばかりにトムとブチャラティを見るジョルノに、トムは亀の中の二人へ聞こえないようにとミスタが起きてこないように気を付けながら続ける。
ヴェネツィアのマジョーレ教会で、ブチャラティは既に死んでいたのだ。『彼の能力はもっと“罪深い”モノを生み出す可能性がある』
イブリスは既に忠告をしていた。その死人を生き返らせてしまうという、生き返った死人という『罪深いモノ』は、ジョルノがブチャラティを助けようとし結果に生み出されてしまったのである。
ジョルノはそれを意識したつもりはなかった。トムは今でこそ生きているとは言え特殊な魂だ。だから気付いてしまったのだ。
「ヴェネツィアでお前がオレを治してくれた時、おまえがくれた『生命エネルギー』はもう少しだけ『動く事』を許してくれた様だ。トムも、手を貸してくれたしな」
「……そんな風に言わないでよ」
そう言うのがやっとだった。
「一度死んでしまった人は、ジョルノでも父さんでも助けられない。生命エネルギーを今は父さんの力を借りて安定させてはいるけど、そんな怪我をした感覚も分からないって事はもうすぐ……動けなくなる」
「そんな……ブチャラティ」
「終わったものはどうすることも出来ない。オレの『命』はあの時すでに終わってたんだ」
イブリスが『大丈夫と言えば大丈夫』なんて言っていたのを思い出す。ヴェネツィアでトムは既に理解してはいたものの、これが傷つかずにいられるものか。忠告が決して忠告になっていない。
車がローマ市街へと入る。コロッセオが前方へ見えてくると同時に何かが近づいてくる音がした。どこから聞こえてくるのかも分からないそれに周囲を見回した直後、車の上から全身にカビを生やした死体が降ってくる。
道路が下り坂だったせいで車に乗っているだけでカビが広がっていく。衝撃にミスタが目を覚まし、トムも亀の中から外へ出た。戻るより出た方が早かったのだ。
ブチャラティがスタンド能力で車を開き、車の外へと逃げ出す。乗る者がいなくなった車が先で壁へ激突し、カビの生えた死体を落としたと思われるヘリコプターが地面に落ちた死体の上でホバリングしていた。
プロペラの風圧によって、カビに浸食された死体が崩れて散らばっていく。殆ど無意識にトムは腕で鼻と口を塞いだ。
「『無意識』……スタンド能力はある意味、その本体の無意識の才能だ」
ジョルノがヘリを見上げている。