五部
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トムの声を聞いて違う場所を探していたブチャラティ達がやってくる。ジョルノが持っていた写真を覗き込んだ。
「これトリッシュのお母さん? ビッジーン!」
「この家の傍で撮ったものだな。だが母親しか写っていないのなら」
「違うよ。母親しか写ってないのが手がかりなんだ! 『十五年前』に、この『家と妻である女性』を撮ってるんだ! そんなの撮影者は伴侶である可能性があるに決まってる!」
写真を撮るのには撮影者が必要だ。自撮りだとしたらこの写真は上手く撮れすぎていて、撮影者が細かい指示を出して撮影したと考えられる。そうして女性が行きずりの人物へ家と自分を撮ってもらうものか。
その事実へ言われるまで気が付かなかったとばかりにブチャラティ達が息を飲む。イタリア人として頻繁に女性のナンパをするだろうミスタまで気付かないのだから、コイツ等はもしかして彼女や恋人へ縁がないのか。
それからトリッシュへ写真を見せて、写真が撮影された位置を尋ねる。
「これなら、すぐ近くの海岸にある石碑よ」
「そうか。アバッキオ。ムーディ・ブルースの準備をしてくれ。トリッシュとトムは亀の中へ隠れているといい。湯も沸かせるからナギニを暖めてやれ」
「何かあったら教えてね」
ブチャラティの親切を受け入れて、トムはトリッシュと一緒に亀の中へと入った。うまくジョルノの父親のこともはぐらかすことが出来たので、トムとしては万々歳である。
亀の中へ入ったトリッシュがソファへと腰を下ろした。トムは水や入れ物を用意してお湯を沸かす。
「……父は、一応母のことを愛してたのかしら」
「どうだろうね」
お湯を沸かしている気配にナギニが服の下から顔を覗かせた。
「自分の形跡を全部消す執念を持ってる相手が、愛なんて感情に左右されるとは思わないね」
「……酷いのね、トムは」
「愛を理解してたら子供を捨てたり殺そうとしたりはしないさ。愛ってのは僕や君が考える以上に難しい問題だよ」
沸いたお湯を入れ物へ移せば、ナギニが嬉々としてその中へ入っていく。ぬるま湯にうっとりと目を細めるナギニが可愛い。
愛というモノについてトムは語れなかった。
「僕の両親は僕を捨てた。今はもうそれが父さんと家族になる為に必要な行程だったんだって考えてるけど、愛で全てが解決できるなんて思えない。もしそうならトリッシュだってこんな事には巻き込まれてない筈だもの」
手を湯に入れてナギニの背中へ掛けてやる。
「僕はまだ父さんとナギニの愛以外は信用できないな」
「これトリッシュのお母さん? ビッジーン!」
「この家の傍で撮ったものだな。だが母親しか写っていないのなら」
「違うよ。母親しか写ってないのが手がかりなんだ! 『十五年前』に、この『家と妻である女性』を撮ってるんだ! そんなの撮影者は伴侶である可能性があるに決まってる!」
写真を撮るのには撮影者が必要だ。自撮りだとしたらこの写真は上手く撮れすぎていて、撮影者が細かい指示を出して撮影したと考えられる。そうして女性が行きずりの人物へ家と自分を撮ってもらうものか。
その事実へ言われるまで気が付かなかったとばかりにブチャラティ達が息を飲む。イタリア人として頻繁に女性のナンパをするだろうミスタまで気付かないのだから、コイツ等はもしかして彼女や恋人へ縁がないのか。
それからトリッシュへ写真を見せて、写真が撮影された位置を尋ねる。
「これなら、すぐ近くの海岸にある石碑よ」
「そうか。アバッキオ。ムーディ・ブルースの準備をしてくれ。トリッシュとトムは亀の中へ隠れているといい。湯も沸かせるからナギニを暖めてやれ」
「何かあったら教えてね」
ブチャラティの親切を受け入れて、トムはトリッシュと一緒に亀の中へと入った。うまくジョルノの父親のこともはぐらかすことが出来たので、トムとしては万々歳である。
亀の中へ入ったトリッシュがソファへと腰を下ろした。トムは水や入れ物を用意してお湯を沸かす。
「……父は、一応母のことを愛してたのかしら」
「どうだろうね」
お湯を沸かしている気配にナギニが服の下から顔を覗かせた。
「自分の形跡を全部消す執念を持ってる相手が、愛なんて感情に左右されるとは思わないね」
「……酷いのね、トムは」
「愛を理解してたら子供を捨てたり殺そうとしたりはしないさ。愛ってのは僕や君が考える以上に難しい問題だよ」
沸いたお湯を入れ物へ移せば、ナギニが嬉々としてその中へ入っていく。ぬるま湯にうっとりと目を細めるナギニが可愛い。
愛というモノについてトムは語れなかった。
「僕の両親は僕を捨てた。今はもうそれが父さんと家族になる為に必要な行程だったんだって考えてるけど、愛で全てが解決できるなんて思えない。もしそうならトリッシュだってこんな事には巻き込まれてない筈だもの」
手を湯に入れてナギニの背中へ掛けてやる。
「僕はまだ父さんとナギニの愛以外は信用できないな」