五部
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裏切った事が組織中に広まったとしても、情報と違い人間の移動には時間が掛かる。故にさっそくの襲撃者を倒した今、ヴェネツィアへいた襲撃者はあの者達だけだろうと判断した。
ヴェネツィアを出るのは今だと、再びボートへ乗り込んでヴェネツィアを後にする。
目的地であるサルディニア島は、ヴェネツィアからイタリア本土とティレニア海を渡った先だ。当然海を渡るのには船か飛行機が必要になるし、ヴェネツィアからティレニア海側へ向かうのも陸路では追っ手が来やすいだろう。
それならば最初から飛行機に乗ろうと、空港へ向かうことになった。
ヴェネツィアから一番近かったマルコ・ポーロ空港へ侵入し、ちょうど良さそうな飛行機を警備員から聞き出す。滑走路の敷地内へ入り込んで小型ジェットへと近づいた。
その途中でナランチャがハッとした顔をする。
「オレが気付いたからいいようなものの、みんな大変なことを忘れてやしねーか!」
「なに? イタリア国内だからパスポートはいらないよ」
「違げーよ! 飛行機に乗るって操縦はどうするんだよッ!『パイロット』を!」
流石にパスポートはいらないことは分かっていたらしい。
「元チンピラのオレ達の誰が操縦できるって言うんだ!」
「僕できるよ」
「――は?」
狙いの小型ジェットは、どうも個人の私物のようであった。移動式階段を上って乗り込み、コクピットへと向かう。
操縦席へ腰を下ろして機器を確認すれば、トムでも操縦出来るタイプの様である。
「オメー、何で操縦できんだよ」
「父さんが『何事も経験だから』って色んな乗り物や機器の扱いは教えてくれたんだ。いくら僕が魔法使いなんて旧時代な存在でも、前にも言った通り現代社会に生きてる以上科学を否定するなんて馬鹿な真似はしないさ」
実際、トムはバイクも車の運転も問題はない。だが現実問題、走行中であっても周囲に目撃されることのあるそれらの乗り物は、トムが運転すると端から見れば子供が運転しているようにしか見えないのだ。
している様にしか見えないどころか、子供なのでそのままだが。
だからおいそれと車の運転は出来ない。
「君が操縦できなかったらアバッキオの《ムーディ・ブルース》で操縦してもらう予定だったが、心配はないようだな」
「離陸するのにはまだ時間が掛かるかな」
外の見張りをしていたナランチャが、接近してくる何かに気付いて声を上げる。コクピットの入り口にいたブチャラティが振り返っていた。
トムも気にはなったがもう席を離れることは出来ない。
結局近付いてきた追っ手はミスタへ撃たれて死んだようだった。話を聞いただけでは呆気なさすぎるそれに、けれども離陸準備が出来たのでトムは気にしないことにする。
「ブチャラティ。ナギニをお願いしていい?」
「ああ」
ヴェネツィアを出るのは今だと、再びボートへ乗り込んでヴェネツィアを後にする。
目的地であるサルディニア島は、ヴェネツィアからイタリア本土とティレニア海を渡った先だ。当然海を渡るのには船か飛行機が必要になるし、ヴェネツィアからティレニア海側へ向かうのも陸路では追っ手が来やすいだろう。
それならば最初から飛行機に乗ろうと、空港へ向かうことになった。
ヴェネツィアから一番近かったマルコ・ポーロ空港へ侵入し、ちょうど良さそうな飛行機を警備員から聞き出す。滑走路の敷地内へ入り込んで小型ジェットへと近づいた。
その途中でナランチャがハッとした顔をする。
「オレが気付いたからいいようなものの、みんな大変なことを忘れてやしねーか!」
「なに? イタリア国内だからパスポートはいらないよ」
「違げーよ! 飛行機に乗るって操縦はどうするんだよッ!『パイロット』を!」
流石にパスポートはいらないことは分かっていたらしい。
「元チンピラのオレ達の誰が操縦できるって言うんだ!」
「僕できるよ」
「――は?」
狙いの小型ジェットは、どうも個人の私物のようであった。移動式階段を上って乗り込み、コクピットへと向かう。
操縦席へ腰を下ろして機器を確認すれば、トムでも操縦出来るタイプの様である。
「オメー、何で操縦できんだよ」
「父さんが『何事も経験だから』って色んな乗り物や機器の扱いは教えてくれたんだ。いくら僕が魔法使いなんて旧時代な存在でも、前にも言った通り現代社会に生きてる以上科学を否定するなんて馬鹿な真似はしないさ」
実際、トムはバイクも車の運転も問題はない。だが現実問題、走行中であっても周囲に目撃されることのあるそれらの乗り物は、トムが運転すると端から見れば子供が運転しているようにしか見えないのだ。
している様にしか見えないどころか、子供なのでそのままだが。
だからおいそれと車の運転は出来ない。
「君が操縦できなかったらアバッキオの《ムーディ・ブルース》で操縦してもらう予定だったが、心配はないようだな」
「離陸するのにはまだ時間が掛かるかな」
外の見張りをしていたナランチャが、接近してくる何かに気付いて声を上げる。コクピットの入り口にいたブチャラティが振り返っていた。
トムも気にはなったがもう席を離れることは出来ない。
結局近付いてきた追っ手はミスタへ撃たれて死んだようだった。話を聞いただけでは呆気なさすぎるそれに、けれども離陸準備が出来たのでトムは気にしないことにする。
「ブチャラティ。ナギニをお願いしていい?」
「ああ」