五部
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会ったことすらない父親へ殺されかけたトリッシュは、父親へ始末されかけた事にあまりショックを受けていないようだった。ただ自分が何者であるのかを知りたいと言う。
自分が何者から生まれたのか、そんなことをも知らずに殺されたくないと。
トムにも少しだけ覚えのある感情だった。
そのトリッシュが思い出した父親に関する記憶として、トリッシュの母親は『サルディニア島』でトリッシュの父親と出会ったらしい。人の存在を完全に消すのはずいぶんな労力が掛かる。
すれ違った人の記憶やその土地へいた人物を誰かの記憶からも消すとなればなおさらだ。だとすれば『サルディニア島』には手がかりが少しは残っている可能性がある。
目的地が決まったところで、ナランチャがテーブルのスープの中にサメがいると騒ぎ出した。
ブチャラティが皆に周囲へ警戒しろと指示を出すのに、ナギニがトムの肩からテーブルへと飛び降りる。ナランチャがスープの皿を地面へたたき落とすが、ナギニの視線はスープの皿ではなくナランチャが持ったままのスプーンへ向けられていた。
「『サメ』みたいなものがいたんだッ!」
だとしたらそれは確実にスタンド能力である。トムが地面へ落ちたスープ皿を確かめようとしたところで、唐突にナギニがナランチャへ向けて飛びかかった。
「うわっ!?」
「ナギニ!?」
蛇の全身で体当たりを受けたナランチャが尻餅を突く。
「おいコラ蛇! 何してんだ!?」
「ナギニって名前があるって言ってるだろ! ナギニ?」
ナランチャへ体当たりをしたナギニはナランチャの上で身を翻し、何故かナランチャが倒れた衝撃で落ちたペットボトルへと威嚇をしていた。ミスタがナランチャを起こすとナギニの視線もテーブルの上のグラスへと向かう。
「誰か! そのグラスを見て!」
「グラス?」
だがアバッキオ達の視線がグラスへ向かうと、ナギニが戸惑ったように周囲を見回した。それからナギニがトムを見て首を振る。
「……駄目だ。ナギニが見失った。でもナランチャが言ったサメみたいなヤツはいたんだ」
「ホントだよ。ナギニが体当たりしてくれなきゃオレがやられてた……サメは水の中を瞬間的に移動してた」
「瞬間的に移動? つまりそのスタンドの可動域は水の中なら何処でもいいのか」
「でも人体みたいな水分の中は無理、ってことも追加しておいて」
人体という“水分”の中へも移動が可能であったなら、敵はナギニとナランチャへ姿を見せることなく殺せた筈だ。
自分が何者から生まれたのか、そんなことをも知らずに殺されたくないと。
トムにも少しだけ覚えのある感情だった。
そのトリッシュが思い出した父親に関する記憶として、トリッシュの母親は『サルディニア島』でトリッシュの父親と出会ったらしい。人の存在を完全に消すのはずいぶんな労力が掛かる。
すれ違った人の記憶やその土地へいた人物を誰かの記憶からも消すとなればなおさらだ。だとすれば『サルディニア島』には手がかりが少しは残っている可能性がある。
目的地が決まったところで、ナランチャがテーブルのスープの中にサメがいると騒ぎ出した。
ブチャラティが皆に周囲へ警戒しろと指示を出すのに、ナギニがトムの肩からテーブルへと飛び降りる。ナランチャがスープの皿を地面へたたき落とすが、ナギニの視線はスープの皿ではなくナランチャが持ったままのスプーンへ向けられていた。
「『サメ』みたいなものがいたんだッ!」
だとしたらそれは確実にスタンド能力である。トムが地面へ落ちたスープ皿を確かめようとしたところで、唐突にナギニがナランチャへ向けて飛びかかった。
「うわっ!?」
「ナギニ!?」
蛇の全身で体当たりを受けたナランチャが尻餅を突く。
「おいコラ蛇! 何してんだ!?」
「ナギニって名前があるって言ってるだろ! ナギニ?」
ナランチャへ体当たりをしたナギニはナランチャの上で身を翻し、何故かナランチャが倒れた衝撃で落ちたペットボトルへと威嚇をしていた。ミスタがナランチャを起こすとナギニの視線もテーブルの上のグラスへと向かう。
「誰か! そのグラスを見て!」
「グラス?」
だがアバッキオ達の視線がグラスへ向かうと、ナギニが戸惑ったように周囲を見回した。それからナギニがトムを見て首を振る。
「……駄目だ。ナギニが見失った。でもナランチャが言ったサメみたいなヤツはいたんだ」
「ホントだよ。ナギニが体当たりしてくれなきゃオレがやられてた……サメは水の中を瞬間的に移動してた」
「瞬間的に移動? つまりそのスタンドの可動域は水の中なら何処でもいいのか」
「でも人体みたいな水分の中は無理、ってことも追加しておいて」
人体という“水分”の中へも移動が可能であったなら、敵はナギニとナランチャへ姿を見せることなく殺せた筈だ。