五部
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トムが裏切るとは思えないが護衛も兼ねて念の為と、公衆電話へ向かったトムにブチャラティが付いてきた。ジョルノ達はトラットリアへ入って食事をしているはずである。
『――はい』
国際電話で少し時間は掛かったが、数日振りに聞いた父の声はひどく安心出来た。すぐ傍ではブチャラティが漏れ聞こえる会話を流し聞いている。
「父さん、少し前に頭痛とか起こってない?」
『? 今日は大丈夫だけどぉ?』
つまり父はトリッシュを殺そうとしたパッショーネのボスの、スタンド能力による干渉を受けていない。距離が遠すぎるからというのもあるだろうが、他にも理由があるのかどうかは分からなかった。とりあえず父は無事である。
「お願いがあるんだ。父さんの“ウォレットチェーン”を貸してくれる?」
『……怪我したのかぁ?』
「今の僕の怪我はそれじゃ治せないからね? 必要なのは僕じゃないんだ」
視線だけを動かしてブチャラティを見た。ブチャラティも会話が気になったのかこちらを見ている。
イブリスが言っていた言葉だ。『ウォレットチェーンで多少は安定させることは出来る』というそれは、おそらくトムではなくブチャラティの事である。
父のウォレットチェーンは持ち主である父でも未だに仕組みや効果が分からない代物だ。トムにはもっと分からないそれはしかし、父のシャドウであるイブリスが言うのなら効果があるのだろう。
『……雑に扱ってはいいけど、無くすなよぉ』
トムとブチャラティの間に炎の輪が燃え上がった。驚いて警戒するブチャラティの前でその輪の中からウォレットチェーンを持った手が出てくる。
それをトムが受け取るとすぐに手は引っ込んだ。炎の輪も消えてしまう。
「ありがとう父さん」
『あまり危険なことはするなよぉ。お前は俺と違うんだからなぁ』
「……うん。分かってる。また数日連絡できないかもしれないけど、仕事頑張ってね。愛してるよ」
通話を終わらせて受話器を置き、驚いていたブチャラティへ持っていたウォレットチェーンを差し出した。
「これは……?」
「今の貴方を安定させるものだ。本当は貴方も分かってるんでしょ? 僕は今貴方にいなくなられたら困る。ジョルノだってショックを受けるだろうし、組織を裏切るって決めたばかりで貴方が“消えたら”駄目だよ」
ブチャラティはしばらくウォレットチェーンを見つめていたが、ややあってそれを受け取る。
きっとこれ以外にトムの出来ることはない。これだって完璧ではないのだ。
『――はい』
国際電話で少し時間は掛かったが、数日振りに聞いた父の声はひどく安心出来た。すぐ傍ではブチャラティが漏れ聞こえる会話を流し聞いている。
「父さん、少し前に頭痛とか起こってない?」
『? 今日は大丈夫だけどぉ?』
つまり父はトリッシュを殺そうとしたパッショーネのボスの、スタンド能力による干渉を受けていない。距離が遠すぎるからというのもあるだろうが、他にも理由があるのかどうかは分からなかった。とりあえず父は無事である。
「お願いがあるんだ。父さんの“ウォレットチェーン”を貸してくれる?」
『……怪我したのかぁ?』
「今の僕の怪我はそれじゃ治せないからね? 必要なのは僕じゃないんだ」
視線だけを動かしてブチャラティを見た。ブチャラティも会話が気になったのかこちらを見ている。
イブリスが言っていた言葉だ。『ウォレットチェーンで多少は安定させることは出来る』というそれは、おそらくトムではなくブチャラティの事である。
父のウォレットチェーンは持ち主である父でも未だに仕組みや効果が分からない代物だ。トムにはもっと分からないそれはしかし、父のシャドウであるイブリスが言うのなら効果があるのだろう。
『……雑に扱ってはいいけど、無くすなよぉ』
トムとブチャラティの間に炎の輪が燃え上がった。驚いて警戒するブチャラティの前でその輪の中からウォレットチェーンを持った手が出てくる。
それをトムが受け取るとすぐに手は引っ込んだ。炎の輪も消えてしまう。
「ありがとう父さん」
『あまり危険なことはするなよぉ。お前は俺と違うんだからなぁ』
「……うん。分かってる。また数日連絡できないかもしれないけど、仕事頑張ってね。愛してるよ」
通話を終わらせて受話器を置き、驚いていたブチャラティへ持っていたウォレットチェーンを差し出した。
「これは……?」
「今の貴方を安定させるものだ。本当は貴方も分かってるんでしょ? 僕は今貴方にいなくなられたら困る。ジョルノだってショックを受けるだろうし、組織を裏切るって決めたばかりで貴方が“消えたら”駄目だよ」
ブチャラティはしばらくウォレットチェーンを見つめていたが、ややあってそれを受け取る。
きっとこれ以外にトムの出来ることはない。これだって完璧ではないのだ。