五部
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組織のボスは自身の正体がバレることを恐れて、そのきっかけや可能性をもつ娘のトリッシュを殺そうとした。けれどもそれは、何も知らない無知な者を利己的な理由で利用するだけの、邪悪な行為としてブチャラティの『正義』へと触れたのである。
ギャングが本来なら一般人へ手を出さないというルールさえも破り、実の父が娘を殺すという傲慢に激怒したブチャラティは、トリッシュを助けてボスを裏切ることにした。
「オレは『正しい』と思ったからやったんだ。後悔はない……。こんな世界とはいえオレは自分の『信じられる道』を歩いていたい!」
それを聞いてトムが思ったのは、父のアマネに似ているなということだ。
父のアマネはいつも自分の考えで選んだ道を進む。その先へ後悔があっても何度も後悔はしないかと悩むことがあっても、決して選択した道について悔やみはしない。
やろうとすれば最善の道を選ぶことも投げ捨てる事も出来る。父はけれどもそれをすることはなかった。
トムは。
トムは分からない。そこまで人生経験はないし、そこまで選択を迫られたこともなかった。今だってボートへ乗っているのは迫られた選択ではない。
皆、散々悩んでいたようだが、アバッキオがボートへと乗ってくる。それに続いてミスタが。ただミスタは少し楽観しているようではあるなと思った。
フーゴとナランチャは動かない。ブチャラティとジョルノが乗り込んでくる。
「トム。君はパッショーネとも無関係だが」
「僕はジョルノと友達になりたいんだ。それからブチャラティお兄さんとも取り引きしてたね。本当にヤバくなったらいつだって僕は逃げられる。君達を見捨てることだってきっと出来るだろうね」
トムはギャングではない。だからジョルノ以外はいつでも見捨てられる。ジョルノの事だって、死んだら死んだ事を父か承太郎へ教えればそれで終わるだろう。
「でも、僕はいつだって僕がしたいことをしたいようにする。そう『覚悟』して生きてるんだ」
「……そうか。分かった」
ボートが発進する。ナギニが意識のないトリッシュを気にして顔を覗き込んでいた。それを撫でていると背後で水が盛大に跳ねる音がする。
振り返ればナランチャが泳いでボートを追いかけてきていた。泣きながら泳いでくるナランチャの姿にブチャラティがボートを停める。
フーゴは、岸辺でじっと動かなかった。
「まずは何処へ行くんだ」
「ヴェネツィアを出る方法を考えないとな」
「――ボート降りたら、今度こそ父さんに連絡させてね」
ギャングが本来なら一般人へ手を出さないというルールさえも破り、実の父が娘を殺すという傲慢に激怒したブチャラティは、トリッシュを助けてボスを裏切ることにした。
「オレは『正しい』と思ったからやったんだ。後悔はない……。こんな世界とはいえオレは自分の『信じられる道』を歩いていたい!」
それを聞いてトムが思ったのは、父のアマネに似ているなということだ。
父のアマネはいつも自分の考えで選んだ道を進む。その先へ後悔があっても何度も後悔はしないかと悩むことがあっても、決して選択した道について悔やみはしない。
やろうとすれば最善の道を選ぶことも投げ捨てる事も出来る。父はけれどもそれをすることはなかった。
トムは。
トムは分からない。そこまで人生経験はないし、そこまで選択を迫られたこともなかった。今だってボートへ乗っているのは迫られた選択ではない。
皆、散々悩んでいたようだが、アバッキオがボートへと乗ってくる。それに続いてミスタが。ただミスタは少し楽観しているようではあるなと思った。
フーゴとナランチャは動かない。ブチャラティとジョルノが乗り込んでくる。
「トム。君はパッショーネとも無関係だが」
「僕はジョルノと友達になりたいんだ。それからブチャラティお兄さんとも取り引きしてたね。本当にヤバくなったらいつだって僕は逃げられる。君達を見捨てることだってきっと出来るだろうね」
トムはギャングではない。だからジョルノ以外はいつでも見捨てられる。ジョルノの事だって、死んだら死んだ事を父か承太郎へ教えればそれで終わるだろう。
「でも、僕はいつだって僕がしたいことをしたいようにする。そう『覚悟』して生きてるんだ」
「……そうか。分かった」
ボートが発進する。ナギニが意識のないトリッシュを気にして顔を覗き込んでいた。それを撫でていると背後で水が盛大に跳ねる音がする。
振り返ればナランチャが泳いでボートを追いかけてきていた。泣きながら泳いでくるナランチャの姿にブチャラティがボートを停める。
フーゴは、岸辺でじっと動かなかった。
「まずは何処へ行くんだ」
「ヴェネツィアを出る方法を考えないとな」
「――ボート降りたら、今度こそ父さんに連絡させてね」