五部
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『お前の魂は特別だが、それ故お前はすぐに気付いてしまうだろう。お前の力でも“アイツ”の力でもどうにもならん』
当たり前だ。こんなのどうにもなる訳がない。かつてはやったのかもしれないけれど今のトムはただの魔法使いだ。父のアマネだって“それ”を禁忌にしている。
トムに気付いたジョルノが振り返った。その視線を追ってブチャラティもトムを見る。分かっているかどうかまでは分からないが、トムは黙ってジョルノ達へ駆け寄った。
追求するのは後でいい。
「脱出するんだッ! トム! 手を貸してくれ!」
「ぅ――うん!」
立ち上がったブチャラティが気絶しているトリッシュを抱き上げる。トムの後ろから追いかけてきたアバッキオ達が追いついてきた。トリッシュの姿と怪我を見て驚いている。
「ボスには勝てない! 今は脱出するんだ! 『正体』か――もしも仮にあるのならだが――あの『能力の弱点』を掴むまではッ!」
ブチャラティはトリッシュを抱えたまま走っていた。それを周囲を警戒しつつトムも一緒に走りながら、トムはブチャラティの横顔を見つめる。
『罪深いモノ』とは『何』なのか分からないでいたが、なるほどこれは罪深いだろう。『前世』のトムがやろうとしたことであり、父のアマネもがやってはいけないと戒めている行為。
きっとジョルノは意識してそれをやろうとは思っていなかった筈だ。ブチャラティの怪我を治そうとしてそうした。その結果がこうなってしまったというだけだ。
けれどもジョルノの能力はそれでは済まなかった。
『罪深いモノを生み出す可能性』
それにジョルノが気付いたら。
塔を出てボートへまで戻ってくる。ブチャラティがトリッシュをボートへ乗せるのに、トムもその隣へと腰を下ろした。ブチャラティは何も言わずにトムを見ただけだ。
そうして振り返って、状況を理解出来ていないアバッキオ達を見た。
「トリッシュを連れ帰ったのはたった今! オレが『ボス』を『裏切った』からだッ!」
ナランチャ達はすぐにはその言葉を理解できないようだったが、それも仕方ないだろう。ほんの数十分前まではブチャラティも忠実に組織の一員としてボスの命令を聞いていた。
それが何があったのかも分からないままに『自分はこれから裏切ります』なんて宣言されれば理解しにくいというものだ。
ブチャラティがふらついて地面に手を突く。
「ブチャラティお兄さん」
「……大丈夫だ」
大丈夫には見えなかったが、ブチャラティはしっかりと立ち直した。
当たり前だ。こんなのどうにもなる訳がない。かつてはやったのかもしれないけれど今のトムはただの魔法使いだ。父のアマネだって“それ”を禁忌にしている。
トムに気付いたジョルノが振り返った。その視線を追ってブチャラティもトムを見る。分かっているかどうかまでは分からないが、トムは黙ってジョルノ達へ駆け寄った。
追求するのは後でいい。
「脱出するんだッ! トム! 手を貸してくれ!」
「ぅ――うん!」
立ち上がったブチャラティが気絶しているトリッシュを抱き上げる。トムの後ろから追いかけてきたアバッキオ達が追いついてきた。トリッシュの姿と怪我を見て驚いている。
「ボスには勝てない! 今は脱出するんだ! 『正体』か――もしも仮にあるのならだが――あの『能力の弱点』を掴むまではッ!」
ブチャラティはトリッシュを抱えたまま走っていた。それを周囲を警戒しつつトムも一緒に走りながら、トムはブチャラティの横顔を見つめる。
『罪深いモノ』とは『何』なのか分からないでいたが、なるほどこれは罪深いだろう。『前世』のトムがやろうとしたことであり、父のアマネもがやってはいけないと戒めている行為。
きっとジョルノは意識してそれをやろうとは思っていなかった筈だ。ブチャラティの怪我を治そうとしてそうした。その結果がこうなってしまったというだけだ。
けれどもジョルノの能力はそれでは済まなかった。
『罪深いモノを生み出す可能性』
それにジョルノが気付いたら。
塔を出てボートへまで戻ってくる。ブチャラティがトリッシュをボートへ乗せるのに、トムもその隣へと腰を下ろした。ブチャラティは何も言わずにトムを見ただけだ。
そうして振り返って、状況を理解出来ていないアバッキオ達を見た。
「トリッシュを連れ帰ったのはたった今! オレが『ボス』を『裏切った』からだッ!」
ナランチャ達はすぐにはその言葉を理解できないようだったが、それも仕方ないだろう。ほんの数十分前まではブチャラティも忠実に組織の一員としてボスの命令を聞いていた。
それが何があったのかも分からないままに『自分はこれから裏切ります』なんて宣言されれば理解しにくいというものだ。
ブチャラティがふらついて地面に手を突く。
「ブチャラティお兄さん」
「……大丈夫だ」
大丈夫には見えなかったが、ブチャラティはしっかりと立ち直した。