四部
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億泰視点
港へ到着し、繋げられたタラップを渡ろうとしたじいさんがよろけるのを仗助が支える。仗助達の妨害をかいくぐり海を泳いで船へ潜入した音石が、白い大蛇に襲われて倒れた際にじいさんの杖は壊れていた。
仗助が直せばいいのにと言おうとしたら、白い大蛇を首に巻いた子供と康一に止められる。
「今回だけはね、直さないからいいんじゃないか」
「空気を読んだらどう? 杖とかそういう問題じゃないんだよ」
どちらもどういう意味か分からないでいれば、承太郎と何事かと話していたアマネがこちらへ向かって駆けてきた。そうして首に大蛇を巻いた少年を抱きしめる。
康一が驚いているが億泰も驚いた。しかし驚いていたのは億泰達だけで仗助とじいさんも、承太郎も船のスタッフも気にしている様子はない。
とはいえ仗助はじいさんが気になってこちらへまで気が回らないだけのようだったが。
少年を抱きしめていたアマネは、少年に頬摺りしてから少しだけ身を離して少年の顔を覗き込む。
「船酔いはしなかったかぁ? お前は繊細なところがあるから心配だよ」
「船酔いも陸酔いも無いよ。それよりナギニにも挨拶のキスをしてあげてくれる?」
「お安い御用! 久しぶりだなぁナギニ。お前も船酔いはしてねぇかぁ?」
白い大蛇がチロチロと舌を出す口へ、アマネは臆することなくキスを送っていた。蛇にしたこともだが、キスをしたということ自体にも驚いた。
だって普通キスなんてしないだろう。相手は蛇だし、キスってそんな簡単にするもんじゃない。
外国人には挨拶のキスをするヤツもいるとは億泰だって知ってはいる。そこまで考えて、じいさんが外国人なら仗助はハーフなのかと気付いた。
「斑鳩、康一君達にも彼を紹介したらどうだ」
「そっか。二人とも、この子は俺の息子で斑鳩トム。今回はジョセフさんのお世話係と護衛を兼ねて一緒に来てくれたんだぁ」
「む――息子ぉ!?」
「父さんに似てないとかは思っても良いけど口に出さないでもらえます? 血の繋がりは無い養子だからそれは仕方ないんです」
そう言って黒髪の美少年のトムは後ろに立っていたアマネを振り返る。血の繋がりが無いにしても、種類は違うがどちらも美形に連なる事は変わりない。だがそれを言ったら、承太郎だって彫りの深い美男子だ。
「それから、僕はジョセフさんの世話係じゃなくて父さんに悪い虫が付かないように守りに来たんです。貴方は放っておくと誰にでも愛想を振りまくでしょう」
「ふふ、悪い虫だなんて付いたところで俺は独身主義だぜぇ?」
「……もう既に一匹悪い虫をくっつけてる癖に」
港へ到着し、繋げられたタラップを渡ろうとしたじいさんがよろけるのを仗助が支える。仗助達の妨害をかいくぐり海を泳いで船へ潜入した音石が、白い大蛇に襲われて倒れた際にじいさんの杖は壊れていた。
仗助が直せばいいのにと言おうとしたら、白い大蛇を首に巻いた子供と康一に止められる。
「今回だけはね、直さないからいいんじゃないか」
「空気を読んだらどう? 杖とかそういう問題じゃないんだよ」
どちらもどういう意味か分からないでいれば、承太郎と何事かと話していたアマネがこちらへ向かって駆けてきた。そうして首に大蛇を巻いた少年を抱きしめる。
康一が驚いているが億泰も驚いた。しかし驚いていたのは億泰達だけで仗助とじいさんも、承太郎も船のスタッフも気にしている様子はない。
とはいえ仗助はじいさんが気になってこちらへまで気が回らないだけのようだったが。
少年を抱きしめていたアマネは、少年に頬摺りしてから少しだけ身を離して少年の顔を覗き込む。
「船酔いはしなかったかぁ? お前は繊細なところがあるから心配だよ」
「船酔いも陸酔いも無いよ。それよりナギニにも挨拶のキスをしてあげてくれる?」
「お安い御用! 久しぶりだなぁナギニ。お前も船酔いはしてねぇかぁ?」
白い大蛇がチロチロと舌を出す口へ、アマネは臆することなくキスを送っていた。蛇にしたこともだが、キスをしたということ自体にも驚いた。
だって普通キスなんてしないだろう。相手は蛇だし、キスってそんな簡単にするもんじゃない。
外国人には挨拶のキスをするヤツもいるとは億泰だって知ってはいる。そこまで考えて、じいさんが外国人なら仗助はハーフなのかと気付いた。
「斑鳩、康一君達にも彼を紹介したらどうだ」
「そっか。二人とも、この子は俺の息子で斑鳩トム。今回はジョセフさんのお世話係と護衛を兼ねて一緒に来てくれたんだぁ」
「む――息子ぉ!?」
「父さんに似てないとかは思っても良いけど口に出さないでもらえます? 血の繋がりは無い養子だからそれは仕方ないんです」
そう言って黒髪の美少年のトムは後ろに立っていたアマネを振り返る。血の繋がりが無いにしても、種類は違うがどちらも美形に連なる事は変わりない。だがそれを言ったら、承太郎だって彫りの深い美男子だ。
「それから、僕はジョセフさんの世話係じゃなくて父さんに悪い虫が付かないように守りに来たんです。貴方は放っておくと誰にでも愛想を振りまくでしょう」
「ふふ、悪い虫だなんて付いたところで俺は独身主義だぜぇ?」
「……もう既に一匹悪い虫をくっつけてる癖に」