五部
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熱とは原子の振動だと父のアマネはよく言う。だから父は活性の性質を持つ晴の炎で気温を上げることも出来るし、鎮静の性質を持つ雨の炎で気温を下げることも出来る。尤も、怒って何かを凍らせる時は大空の炎による零点突破を使っているが。
当然だがトムにはそんなこと出来やしない。トムが持っている炎の性質は活性でも鎮静もないし、そもそも原子へ干渉できる程死ぬ気の炎を扱える者なんて父くらいだ。その辺りの認識は父が間違っている。
でも父なら、車を覆う氷を溶かすくらいそれがスタンド能力によるものであったとしても出来ただろう。トムには出来ない。
出来ないから自然の力を借りる。魔法使いはより深く自然と共存する者だ。
リベルタ橋に炎が燃え上がる。トムの雲の炎で増殖したそれは橋を通る者が例外なく通過しなければならないように橋を横断し、ジョルノ達の乗る車がその炎の壁を通り抜けた。
これで少しは車を覆う氷が溶ける筈である。
車内のミスタ達が応戦したのかその前に転がり落ちていた男がやはりスピードスケートの様に地面を蹴って追いかけていく。未だに燃えている炎の壁へ躊躇するかと思ったが、男はスピードを下げることなく炎の壁へと突っ込んで通過した。
男が通った辺りだけ炎が消えている。普通に考えれば氷が溶けた水によって消えただけだろうが、それにしては様子がおかしかった。
「……水の跡がない」
炎は、どうも水によって消された訳ではないらしい。車と男が充分に離れていったのを確認して道路へ降り立ち、まだ燃え残っている火に気を付けながら消えた辺りを確かめる。
そこだけ、非常に空気が冷たい。
「水を凍らせるだけの能力じゃない? ……違うな。“父さんと同じ”か」
箒に跨がって再び空へ飛び上がる。速度を上げて車を追いかけながら考察は続けた。
父のアマネはどんな原子にも干渉できる。それは父にしか出来ないことではあるが、一点特化な能力を有するスタンドの中には出来る者もいるかもしれない。
炎が水ではなく消えていた。つまり延焼していられるだけの空気が熱量を奪われたのだ。空気は無尽蔵で男が通った場所だけ無酸素空間にしたと言うことはあるまい。何故なら男のスタンド能力は凍らせることが出来るものであって窒息死させるものではなかったからだ。
では熱量を奪われたと仮定して。それならなんとか説明が出来なくもない。
空気中の水分の“温度を下げて”凍らせ、火の“熱を下げて”消した。
つまり男のスタンド能力は何もないところから氷を生み出している訳ではない。水の温度をひたすらに下げているのだ。
当然だがトムにはそんなこと出来やしない。トムが持っている炎の性質は活性でも鎮静もないし、そもそも原子へ干渉できる程死ぬ気の炎を扱える者なんて父くらいだ。その辺りの認識は父が間違っている。
でも父なら、車を覆う氷を溶かすくらいそれがスタンド能力によるものであったとしても出来ただろう。トムには出来ない。
出来ないから自然の力を借りる。魔法使いはより深く自然と共存する者だ。
リベルタ橋に炎が燃え上がる。トムの雲の炎で増殖したそれは橋を通る者が例外なく通過しなければならないように橋を横断し、ジョルノ達の乗る車がその炎の壁を通り抜けた。
これで少しは車を覆う氷が溶ける筈である。
車内のミスタ達が応戦したのかその前に転がり落ちていた男がやはりスピードスケートの様に地面を蹴って追いかけていく。未だに燃えている炎の壁へ躊躇するかと思ったが、男はスピードを下げることなく炎の壁へと突っ込んで通過した。
男が通った辺りだけ炎が消えている。普通に考えれば氷が溶けた水によって消えただけだろうが、それにしては様子がおかしかった。
「……水の跡がない」
炎は、どうも水によって消された訳ではないらしい。車と男が充分に離れていったのを確認して道路へ降り立ち、まだ燃え残っている火に気を付けながら消えた辺りを確かめる。
そこだけ、非常に空気が冷たい。
「水を凍らせるだけの能力じゃない? ……違うな。“父さんと同じ”か」
箒に跨がって再び空へ飛び上がる。速度を上げて車を追いかけながら考察は続けた。
父のアマネはどんな原子にも干渉できる。それは父にしか出来ないことではあるが、一点特化な能力を有するスタンドの中には出来る者もいるかもしれない。
炎が水ではなく消えていた。つまり延焼していられるだけの空気が熱量を奪われたのだ。空気は無尽蔵で男が通った場所だけ無酸素空間にしたと言うことはあるまい。何故なら男のスタンド能力は凍らせることが出来るものであって窒息死させるものではなかったからだ。
では熱量を奪われたと仮定して。それならなんとか説明が出来なくもない。
空気中の水分の“温度を下げて”凍らせ、火の“熱を下げて”消した。
つまり男のスタンド能力は何もないところから氷を生み出している訳ではない。水の温度をひたすらに下げているのだ。