五部
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ナギニがトムの肩でうとうととしている。トムも少し眠かった。
サービスエリアで車を盗んで走り出し、それからもう四時間近く走り続けている。サービスエリアへ至った時点でもうほぼ夜と変わらなかったが、今はもう普段であれば寝ている時間だ。
精神的には大人であっても、肉体的には結局トムも十二歳の子供である。当然身体が求める栄養や睡眠は子供のそれだし、ましてや今日は朝から色々あって疲れてもいた。
同じ子供であってもトムに次いで年少であるジョルノやトリッシュは平気そうだ。いくつかしか変わらない筈なのにこの差は少し釈然としない。
「トム? 眠いのか」
「……少しね」
「眠いのなら寝ても構わない」
「舐めた口利いてても結局お子さまだな」
「列車で襲撃された時ずっと気付かずに寝てた人に言われたくない。スタンド使いじゃない僕だってあの時は動いてたのに」
そう言えばアバッキオが憎らしげに顔をゆがめる。ナランチャが笑うのを我慢していたが、あの時はナランチャが一番使えなくなっていたのだということを思い出せばアバッキオのことは笑えまい。
だが眠いのは確かである。
「ブチャラティお兄さんも構わないっていうし、じゃあ寝かせてもらっていい? 何かあったら絶対起こしてね」
「ああ」
亀の外では確かジョルノが運転しているはずだ。ナギニを服の下へ潜りこませ、ソファで目を閉じるとすぐに意識が途切れる。
筈だった。
青い部屋。
青いテーブルに青い椅子。
青い扉の並ぶ空間にある長ソファに、一人の人物が横たわっている。
トムが周囲を見回してから椅子へ座ると、肘掛け部分を枕にして寝そべっていた人物が起き上がった。長い黒髪を手櫛で整え、面倒そうにトムを見る。
薄暗い金色の眼。
「“アイツ”がお前を心配している」
「……今連絡が取れない状況なんだ」
「そうか。ならば仕方ないな。“アイツ”も手がかりが無いと仕事に息詰まっているしよ」
父のアマネの『シャドウ』である“イブリス”は、そう言うと再びソファへ寝そべった。いつ会っても怠そうにしているが、実際は怠いのではなくやることがないだけなのだろう。
青い部屋ことこの『ベルベットルーム』は、生まれていない時のトムがいつも拠点にしている部屋だ。つまり魂だけの時にいる場所なのだけれど、眠っている時なら干渉出来なくはないしされなくもない。
「『ジョルノ・ジョバァーナ』だったか? あのお前が気にしている少年は命を作り出す能力を持っているのでしたね」
サービスエリアで車を盗んで走り出し、それからもう四時間近く走り続けている。サービスエリアへ至った時点でもうほぼ夜と変わらなかったが、今はもう普段であれば寝ている時間だ。
精神的には大人であっても、肉体的には結局トムも十二歳の子供である。当然身体が求める栄養や睡眠は子供のそれだし、ましてや今日は朝から色々あって疲れてもいた。
同じ子供であってもトムに次いで年少であるジョルノやトリッシュは平気そうだ。いくつかしか変わらない筈なのにこの差は少し釈然としない。
「トム? 眠いのか」
「……少しね」
「眠いのなら寝ても構わない」
「舐めた口利いてても結局お子さまだな」
「列車で襲撃された時ずっと気付かずに寝てた人に言われたくない。スタンド使いじゃない僕だってあの時は動いてたのに」
そう言えばアバッキオが憎らしげに顔をゆがめる。ナランチャが笑うのを我慢していたが、あの時はナランチャが一番使えなくなっていたのだということを思い出せばアバッキオのことは笑えまい。
だが眠いのは確かである。
「ブチャラティお兄さんも構わないっていうし、じゃあ寝かせてもらっていい? 何かあったら絶対起こしてね」
「ああ」
亀の外では確かジョルノが運転しているはずだ。ナギニを服の下へ潜りこませ、ソファで目を閉じるとすぐに意識が途切れる。
筈だった。
青い部屋。
青いテーブルに青い椅子。
青い扉の並ぶ空間にある長ソファに、一人の人物が横たわっている。
トムが周囲を見回してから椅子へ座ると、肘掛け部分を枕にして寝そべっていた人物が起き上がった。長い黒髪を手櫛で整え、面倒そうにトムを見る。
薄暗い金色の眼。
「“アイツ”がお前を心配している」
「……今連絡が取れない状況なんだ」
「そうか。ならば仕方ないな。“アイツ”も手がかりが無いと仕事に息詰まっているしよ」
父のアマネの『シャドウ』である“イブリス”は、そう言うと再びソファへ寝そべった。いつ会っても怠そうにしているが、実際は怠いのではなくやることがないだけなのだろう。
青い部屋ことこの『ベルベットルーム』は、生まれていない時のトムがいつも拠点にしている部屋だ。つまり魂だけの時にいる場所なのだけれど、眠っている時なら干渉出来なくはないしされなくもない。
「『ジョルノ・ジョバァーナ』だったか? あのお前が気にしている少年は命を作り出す能力を持っているのでしたね」