五部
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ローマまで南東十二キロの、旧アッピア街道を徒歩で向かう。ブチャラティとトリッシュは亀の中で待機だが、トムまで警戒の為に外へ出されてしまったのは正直予想外だった。
「荷物の中にマウンテンバイクならあるんだけどね」
「おま、フザケるのも大概にしろよ? メッセンジャーバッグしか持ってないのにドコに持ってるってんだよ!」
ナランチャに言われて肩を竦める。フーゴはトムの話を端から冗談だとしか思っていない。
「そういえば君、初めて出会った時から荷物はそのバッグだけだったね」
初めてジョルノと出会ったのはネアポリスの空港前だ。まだ数日しか経っていないのにもう何日も経ったような気がしていた。それはそれで父と連絡を取っていないからかも知れない。
魂だけの存在であるときはいくら連絡をしなくても大丈夫なのだが、肉体を持っている今は、どうにも父の様子が知りたくて仕方がなかった。それはおそらくトムが父の為にこの世界へ生まれたからだとも分かっているが、理解と感情は別である。
さておきバッグの話だ。
「着替えとか荷物は匣へ入れてあるんだ。オリジナルじゃなくてコピーなら父さんでも作れるからね。色々入ってるよ」
「ハコ?」
「ナギニの匣と同じ……そっか。ジョルノには見せてなかったね」
不思議がるジョルノにトムは腰へチェーンで提げていた匣を手に取る。ナランチャは既に飽きて先に進んでいるフーゴの傍へ行っていた。
匣を持ったトムにナギニが心得た様子で腕を経由して匣へ近づき、匣の中へと戻る。ジョルノが声を我慢するように両手で口を押さえて匣を見下ろした。
指輪を填めて雲の炎を匣へ注入すれば、ナギニが匣へ戻る前と変わらない姿で出てくる。トムの腕にやんわりと巻き付き、驚いているジョルノへ向けて舌を鳴らしていた。
「……スタンド?」
「じゃないよ。でもそうだね、オーパーツってヤツが近いかな。本来現在の文化水準じゃどこの科学力でも作れない、『場違いな創造物』の一つさ」
「何でも入れられるのかい?」
「ううん。ナギニはこの匣に最初から入ってたから入れるだけで、基本生き物は無理だよ。僕が持ってるのは父さんが設計書を元に手を加えながら作ったものだから色々入れられるけど、本来は着替えとかは入れられない」
その辺りの仕組みはトムにもどうなっているのか分からない。ただ父は初めて自力で匣を作った後、『×××』の使い過ぎで二ヶ月ほど寝込んだと聞いている。そのくせ作った理由は特にないのだから、あの人の考えは読めない。
「荷物の中にマウンテンバイクならあるんだけどね」
「おま、フザケるのも大概にしろよ? メッセンジャーバッグしか持ってないのにドコに持ってるってんだよ!」
ナランチャに言われて肩を竦める。フーゴはトムの話を端から冗談だとしか思っていない。
「そういえば君、初めて出会った時から荷物はそのバッグだけだったね」
初めてジョルノと出会ったのはネアポリスの空港前だ。まだ数日しか経っていないのにもう何日も経ったような気がしていた。それはそれで父と連絡を取っていないからかも知れない。
魂だけの存在であるときはいくら連絡をしなくても大丈夫なのだが、肉体を持っている今は、どうにも父の様子が知りたくて仕方がなかった。それはおそらくトムが父の為にこの世界へ生まれたからだとも分かっているが、理解と感情は別である。
さておきバッグの話だ。
「着替えとか荷物は匣へ入れてあるんだ。オリジナルじゃなくてコピーなら父さんでも作れるからね。色々入ってるよ」
「ハコ?」
「ナギニの匣と同じ……そっか。ジョルノには見せてなかったね」
不思議がるジョルノにトムは腰へチェーンで提げていた匣を手に取る。ナランチャは既に飽きて先に進んでいるフーゴの傍へ行っていた。
匣を持ったトムにナギニが心得た様子で腕を経由して匣へ近づき、匣の中へと戻る。ジョルノが声を我慢するように両手で口を押さえて匣を見下ろした。
指輪を填めて雲の炎を匣へ注入すれば、ナギニが匣へ戻る前と変わらない姿で出てくる。トムの腕にやんわりと巻き付き、驚いているジョルノへ向けて舌を鳴らしていた。
「……スタンド?」
「じゃないよ。でもそうだね、オーパーツってヤツが近いかな。本来現在の文化水準じゃどこの科学力でも作れない、『場違いな創造物』の一つさ」
「何でも入れられるのかい?」
「ううん。ナギニはこの匣に最初から入ってたから入れるだけで、基本生き物は無理だよ。僕が持ってるのは父さんが設計書を元に手を加えながら作ったものだから色々入れられるけど、本来は着替えとかは入れられない」
その辺りの仕組みはトムにもどうなっているのか分からない。ただ父は初めて自力で匣を作った後、『×××』の使い過ぎで二ヶ月ほど寝込んだと聞いている。そのくせ作った理由は特にないのだから、あの人の考えは読めない。