五部
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外へ飛び出すと同時にもう一度チャクラムを振り上げ、投げる。フリスビーの様に回転しながら飛んでいったチャクラムに、モヒカンの男が気付いてよろけながらもかわした。
その一瞬を突いてブチャラティが動く。
何にも当たらなかったチャクラムがトムの手元へと戻ってきた。後ろでトムが壊した扉からミスタが顔を覗かせる。
ブチャラティによってモヒカンの男がバラバラになった。それを確認してからトムもミスタを振り返り、列車からブチャラティ達の元へと向かっていく。ふと見れば列車に挟まれていた男も地面へ落ちて死んでいるようだった。
「列車をこれ以上走らせることは無理だと思うよ。機関室を直せる人でもいない限りはね」
「……予想していたことだが、やはりこのまま列車には乗って行けないな」
トムが地面を歩いていた亀を拾い上げるとブチャラティは列車傍で死んでいる男へと近寄る。そうして懐を漁り男が持っていた通信機を取り出していた。
スタンド能力を使っていたとしても通信くらい出来るだろう。だから追っ手に情報は当然漏れていると考えた方がいい。
「『亀の中』に隠れるのは続けてもいいが、ここからは別の方法で移動しなければならない。あと四五時間あまりでヴェネツィアへ到着できると思ったが……何日かかかる旅になるかも知れない」
壊れた列車は、おそらく数日は動かないだろう。移動手段を車へ変えたとしても慎重に周りを警戒しながらとなれば、やはりそのくらい掛かる。
座り込んで地面を眺めていたトリッシュが、こちらを見ながら立ち上がった。
「聞きたいことがあるんだけど、答えてもらえるかしら」
「君の方からの質問に答えることは許されていない。何度も言うがオレたちの任務は君の護衛だけだ」
「僕は別に答えられるなら答えてあげてもいいけどね」
「トム」
「どうしても答えてもらうわ……。あたしいったい『何者』なの!?」
漠然とした質問に、見ればトリッシュのしゃがんでいた辺りには怪物の手形のようなへこみが増えている。
「なぜ急に奇妙な物が見えるようになったの? 何よこれは!? この地面はなに?」
「おねーさんが手を突いた跡じゃない?」
「ふざけないで! なぜあたしは知らない父親の為に追われるのよッ! 答えなさいッ!」
甲高い悲鳴のような怒鳴り声にトムは辟易して耳を塞ぎかける。仕方ないのだろうと分かっていても女のヒステリックな声は大嫌いだ。
おそらくトリッシュは、スタンド使いとして目覚めつつあるのだろう。彼女の様子からしてまだ完全には目覚めていない。けれどもその一角が足下の手形のように現れつつある。だから得体の知れないそれに怯えているといったところか。
トムがブチャラティを見やれば、同じ事を考えていたのか彼もトムを見ていた。このチームの中でスタンドについて一番知識を持っているのは、勝手に話すことも出来るトムだ。
その一瞬を突いてブチャラティが動く。
何にも当たらなかったチャクラムがトムの手元へと戻ってきた。後ろでトムが壊した扉からミスタが顔を覗かせる。
ブチャラティによってモヒカンの男がバラバラになった。それを確認してからトムもミスタを振り返り、列車からブチャラティ達の元へと向かっていく。ふと見れば列車に挟まれていた男も地面へ落ちて死んでいるようだった。
「列車をこれ以上走らせることは無理だと思うよ。機関室を直せる人でもいない限りはね」
「……予想していたことだが、やはりこのまま列車には乗って行けないな」
トムが地面を歩いていた亀を拾い上げるとブチャラティは列車傍で死んでいる男へと近寄る。そうして懐を漁り男が持っていた通信機を取り出していた。
スタンド能力を使っていたとしても通信くらい出来るだろう。だから追っ手に情報は当然漏れていると考えた方がいい。
「『亀の中』に隠れるのは続けてもいいが、ここからは別の方法で移動しなければならない。あと四五時間あまりでヴェネツィアへ到着できると思ったが……何日かかかる旅になるかも知れない」
壊れた列車は、おそらく数日は動かないだろう。移動手段を車へ変えたとしても慎重に周りを警戒しながらとなれば、やはりそのくらい掛かる。
座り込んで地面を眺めていたトリッシュが、こちらを見ながら立ち上がった。
「聞きたいことがあるんだけど、答えてもらえるかしら」
「君の方からの質問に答えることは許されていない。何度も言うがオレたちの任務は君の護衛だけだ」
「僕は別に答えられるなら答えてあげてもいいけどね」
「トム」
「どうしても答えてもらうわ……。あたしいったい『何者』なの!?」
漠然とした質問に、見ればトリッシュのしゃがんでいた辺りには怪物の手形のようなへこみが増えている。
「なぜ急に奇妙な物が見えるようになったの? 何よこれは!? この地面はなに?」
「おねーさんが手を突いた跡じゃない?」
「ふざけないで! なぜあたしは知らない父親の為に追われるのよッ! 答えなさいッ!」
甲高い悲鳴のような怒鳴り声にトムは辟易して耳を塞ぎかける。仕方ないのだろうと分かっていても女のヒステリックな声は大嫌いだ。
おそらくトリッシュは、スタンド使いとして目覚めつつあるのだろう。彼女の様子からしてまだ完全には目覚めていない。けれどもその一角が足下の手形のように現れつつある。だから得体の知れないそれに怯えているといったところか。
トムがブチャラティを見やれば、同じ事を考えていたのか彼もトムを見ていた。このチームの中でスタンドについて一番知識を持っているのは、勝手に話すことも出来るトムだ。