五部
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亀の外の出来事はやはり亀の中にいる限り分からないらしい。トムが天井から外へと身を乗り出せば、こちらへ背を向けた“老けていない”男が足下へ転がっている一般人と思われる老人の首へ足をかけていた。
「分かったよプロシュート兄ィ! 兄貴の覚悟が! 『言葉』ではなく『心』で理解できた! ぶっ殺すって思った時は兄貴!」
男が踏みつけていた足へと力と体重をかける。老いて筋力も何もかもが衰えていた一般客の首が鈍い音を立てていた。
「既に行動は終わっているんだね」
トムは男が振り返る前に亀の外へと出る。
「ふぅー……。初めて、人をやっちまったぁ~。でも想像してたよりなんて事はないな」
深い息を吐いて男がしみじみと呟いていた。
「そしてオレに向かって『マンモーニ』だなんて言える奴は、もうこれで誰一人いねーからな……」
「やあ『マンモーニ』! ママンへ初めて人を殺した報告は済んだかい?」
男が驚いて振り返る前に、匣から出して武器化させていたナギニを振り払う。
匣兵器として、ナギニは己の尾をくわえてチャクラムになれる。
使いこなすのには修練が必要だったが、今やトムが魔法に頼るしかない能なしであるとはそれこそ誰にも言わせない。聞けばトムが覚えていない『前世のトム』は、全てを魔法へ頼りすぎたことが敗因の一つだったと父のアマネが言っていた。
そりゃあ白兵戦を得意とする上に魔法も使えるアマネから見たら、魔法使いなんて全員が魔法がなければ生きていけない人種だろう。そんな父を持ったら当然トムだって鍛えられる。
振り回すには少し小さいチャクラムが男の腹を切り裂いた。トムが現れた事にか攻撃されたことにか、驚いて避ける事すら出来なかった男がよろける。
「でも君のママンは、初めて人を殺した程度でそんな悟ったつもりになるなって言うだろうね。せめて三十人以上殺してから厚かましい顔してよ」
「な、誰だ……テメエ」
「人へ物を訊ねる時は礼儀正しくってママンは教えてくれなかったの? ママッ子って言われてたみたいだけれど、案外ただの子供ってだけみたいだ」
そう言っている間にもトムの身へも老化が始まっていた。ポケットの中へ忍ばせてきていた氷へ手を触れさせれば、男はトムを見て苛立っているようである。何かを持っているような手の構えをしているがトムには見えず、ということはスタンドか。
その男が何かをする前にもう一度チャクラムを振り回した。狭い列車の中でチャクラムを振り回すのは骨が折れる。
「分かったよプロシュート兄ィ! 兄貴の覚悟が! 『言葉』ではなく『心』で理解できた! ぶっ殺すって思った時は兄貴!」
男が踏みつけていた足へと力と体重をかける。老いて筋力も何もかもが衰えていた一般客の首が鈍い音を立てていた。
「既に行動は終わっているんだね」
トムは男が振り返る前に亀の外へと出る。
「ふぅー……。初めて、人をやっちまったぁ~。でも想像してたよりなんて事はないな」
深い息を吐いて男がしみじみと呟いていた。
「そしてオレに向かって『マンモーニ』だなんて言える奴は、もうこれで誰一人いねーからな……」
「やあ『マンモーニ』! ママンへ初めて人を殺した報告は済んだかい?」
男が驚いて振り返る前に、匣から出して武器化させていたナギニを振り払う。
匣兵器として、ナギニは己の尾をくわえてチャクラムになれる。
使いこなすのには修練が必要だったが、今やトムが魔法に頼るしかない能なしであるとはそれこそ誰にも言わせない。聞けばトムが覚えていない『前世のトム』は、全てを魔法へ頼りすぎたことが敗因の一つだったと父のアマネが言っていた。
そりゃあ白兵戦を得意とする上に魔法も使えるアマネから見たら、魔法使いなんて全員が魔法がなければ生きていけない人種だろう。そんな父を持ったら当然トムだって鍛えられる。
振り回すには少し小さいチャクラムが男の腹を切り裂いた。トムが現れた事にか攻撃されたことにか、驚いて避ける事すら出来なかった男がよろける。
「でも君のママンは、初めて人を殺した程度でそんな悟ったつもりになるなって言うだろうね。せめて三十人以上殺してから厚かましい顔してよ」
「な、誰だ……テメエ」
「人へ物を訊ねる時は礼儀正しくってママンは教えてくれなかったの? ママッ子って言われてたみたいだけれど、案外ただの子供ってだけみたいだ」
そう言っている間にもトムの身へも老化が始まっていた。ポケットの中へ忍ばせてきていた氷へ手を触れさせれば、男はトムを見て苛立っているようである。何かを持っているような手の構えをしているがトムには見えず、ということはスタンドか。
その男が何かをする前にもう一度チャクラムを振り回した。狭い列車の中でチャクラムを振り回すのは骨が折れる。