五部
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暫くするとブチャラティが何かへ気付いたように顔を上げた。トムには見えないが何かへ話しかけている様子に、ミスタのスタンドが戻ってきたのかと思う。
「すまないトム。少しの間トリッシュを任せてもいいだろうか」
「ミスタおにーさんに何かあった?」
「スタンド使いは二人いたらしい。もう一人と戦闘中不意を突かれてこの老化を引き起こしている奴に襲われた」
「……僕も行こうか?」
「いや、君はここへ残れ」
外へ行けばナギニを匣から出すことは可能だ。氷によって空気を冷やしている亀の中と違って外ではトムも老化が始まってしまうだろうが、少しの間ならトムだって問題なく動けるはずである。
ブチャラティが外へ出て行く。残されたトムはトリッシュを見てから天井を見上げた。
この亀の中は天井だけが外界と繋がっている。敵が入ってくるのも味方が戻ってくるのも天井で、では外から亀の中を確かめることは出来るのか。
ポンペイで手に入れた鍵を思い出す。あれは石の部分が透かすことが出来た。亀の中もあの透かし部分から入らずとも確認することが出来るとしたら。
「……ねえトリッシュお姉さん。凍える覚悟は出来る?」
「何をするつもり?」
怪訝そうにトリッシュが聞いてくるが答える余裕はない。ミスタがやられたということはきっと亀の居場所がバレている。それでブチャラティが外へ出たとしても、二人のスタンド使いを相手にするのは骨が折れるだろう。
ならどうするか。
部屋を見回してナプキンを見つける。それに雲の炎をたたき込むように注いで大きくした。それ広げてジョルノ達ごと部屋全体を覆い隠す。これで小さい亀の背中から覗き込むことが出来たとしても、すぐには部屋の中の様子を分かることはない筈だ。
トリッシュにはそのナプキンの下へ隠れていてもらう。念の為氷をもう一度増やしておいて、それもナプキンの下へ散らばらせた。
それからトム自身は壁へ背中を預けて息を潜める。ナプキンの存在へ気付かせる訳にもいかない。
トムの存在には気付いても良かった。むしろそれが目的だ。
「怪しい人物を見つけたら囮、だったかな。この僕を囮にするなんてあの男も大概だよ」
カプリ島でのことを思い出して一人ごちる。トムの肌が顔から老化して皺が増えかけたが、冷気へ触れるとそれが元通りになった。
ナプキンで冷気を下へ停滞させているとはいえ狭い亀の中で、老化進度はそう速まる筈がない。なのに一瞬速まったということは能力を使っている本体が亀の外ですぐ近くへまで来たということだ。
だがそれが再び元の速度へ戻った。つまりブチャラティが襲撃者を見つけて妨害なり交戦なりを始めたのだろう。
「すまないトム。少しの間トリッシュを任せてもいいだろうか」
「ミスタおにーさんに何かあった?」
「スタンド使いは二人いたらしい。もう一人と戦闘中不意を突かれてこの老化を引き起こしている奴に襲われた」
「……僕も行こうか?」
「いや、君はここへ残れ」
外へ行けばナギニを匣から出すことは可能だ。氷によって空気を冷やしている亀の中と違って外ではトムも老化が始まってしまうだろうが、少しの間ならトムだって問題なく動けるはずである。
ブチャラティが外へ出て行く。残されたトムはトリッシュを見てから天井を見上げた。
この亀の中は天井だけが外界と繋がっている。敵が入ってくるのも味方が戻ってくるのも天井で、では外から亀の中を確かめることは出来るのか。
ポンペイで手に入れた鍵を思い出す。あれは石の部分が透かすことが出来た。亀の中もあの透かし部分から入らずとも確認することが出来るとしたら。
「……ねえトリッシュお姉さん。凍える覚悟は出来る?」
「何をするつもり?」
怪訝そうにトリッシュが聞いてくるが答える余裕はない。ミスタがやられたということはきっと亀の居場所がバレている。それでブチャラティが外へ出たとしても、二人のスタンド使いを相手にするのは骨が折れるだろう。
ならどうするか。
部屋を見回してナプキンを見つける。それに雲の炎をたたき込むように注いで大きくした。それ広げてジョルノ達ごと部屋全体を覆い隠す。これで小さい亀の背中から覗き込むことが出来たとしても、すぐには部屋の中の様子を分かることはない筈だ。
トリッシュにはそのナプキンの下へ隠れていてもらう。念の為氷をもう一度増やしておいて、それもナプキンの下へ散らばらせた。
それからトム自身は壁へ背中を預けて息を潜める。ナプキンの存在へ気付かせる訳にもいかない。
トムの存在には気付いても良かった。むしろそれが目的だ。
「怪しい人物を見つけたら囮、だったかな。この僕を囮にするなんてあの男も大概だよ」
カプリ島でのことを思い出して一人ごちる。トムの肌が顔から老化して皺が増えかけたが、冷気へ触れるとそれが元通りになった。
ナプキンで冷気を下へ停滞させているとはいえ狭い亀の中で、老化進度はそう速まる筈がない。なのに一瞬速まったということは能力を使っている本体が亀の外ですぐ近くへまで来たということだ。
だがそれが再び元の速度へ戻った。つまりブチャラティが襲撃者を見つけて妨害なり交戦なりを始めたのだろう。