五部
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トリッシュをブドウ畑の一角にあった隠れ家へ一度隠すことにしたブチャラティ達へくっついて行ったトムの評価は、ブチャラティ以外からは最低な様だった。
初対面のアバッキオを苦しめたこともさることながら、ギャングでもないのにくっついてきたのが要因だろう。トムとしては誰に嫌われようが構わないが、それでジョルノの観察が出来なくなったら少し困る。
父のアマネであったならもう少し円満に仲間に加わっていただろうが、トムはアマネほど親切でも妥協したくもなかった。
ブドウ農家の老人に分けてもらったブドウをナギニと食べながら、フーゴがナランチャへ買い出しを頼んでいるのを眺める。
「いいですか。買い物が済んだら、まず車で同じ道を何度も何度もぐるぐる回ったりしてみてください」
嗚呼尾行を警戒する話か、と少し子供へ教え込むような説明を聞いていると上の階からジョルノとアバッキオが降りてきた。持ってきたブドウを差し出してみるもアバッキオには一瞥して無視される。
ジョルノは一粒だけ摘んで口に運んでいた。
「……あれ、このブドウ美味しいですね」
「甘みを増やしたんだ。ワイン用のブドウは食べるのには向いてないからね」
美味しいと聞いてナランチャがこちらを振り返り、フーゴに車の鍵で脇腹を突かれている。
年が若いからか馬鹿だからか、やはりナランチャはトムが何もしなければ警戒心がすぐに和らいでいた。フーゴは理性的なのかアバッキオ同様警戒心を上手く隠していて、ジョルノも似たようなものである。
ただしジョルノはトムが助けた覚えもあるからか、信用はしているようだった。
ナランチャが文句を言いながらも買い出しへ出発する。それを静かに見送ったフーゴが玄関を閉め、やっとトムへと向き直った。
「さてトム。色々聞かせてもらえますか」
「答えられることと答えられない事があるよ」
「ブチャラティは貴方を信用してるようですが、ボク達はそうはいきません。少なくとも君を信頼できる証拠を手に入れるまではね」
ナランチャと話していたときとは違い、凄みのある殺気だ。けれども父のアマネ程ではない。
「信頼がたったいくつかの質問で成立するとは思えないけど」
「ええその通りです。ですが答えなさい」
「今は五個までなら答えてあげる」
最後の一粒だったブドウをフーゴへ差し出すがフーゴは食べなかった。トムの腕を這い上ったナギニがそのブドウを丸飲みにする。
ナギニの喉の辺りで小さくブドウが潰れる音がした。
初対面のアバッキオを苦しめたこともさることながら、ギャングでもないのにくっついてきたのが要因だろう。トムとしては誰に嫌われようが構わないが、それでジョルノの観察が出来なくなったら少し困る。
父のアマネであったならもう少し円満に仲間に加わっていただろうが、トムはアマネほど親切でも妥協したくもなかった。
ブドウ農家の老人に分けてもらったブドウをナギニと食べながら、フーゴがナランチャへ買い出しを頼んでいるのを眺める。
「いいですか。買い物が済んだら、まず車で同じ道を何度も何度もぐるぐる回ったりしてみてください」
嗚呼尾行を警戒する話か、と少し子供へ教え込むような説明を聞いていると上の階からジョルノとアバッキオが降りてきた。持ってきたブドウを差し出してみるもアバッキオには一瞥して無視される。
ジョルノは一粒だけ摘んで口に運んでいた。
「……あれ、このブドウ美味しいですね」
「甘みを増やしたんだ。ワイン用のブドウは食べるのには向いてないからね」
美味しいと聞いてナランチャがこちらを振り返り、フーゴに車の鍵で脇腹を突かれている。
年が若いからか馬鹿だからか、やはりナランチャはトムが何もしなければ警戒心がすぐに和らいでいた。フーゴは理性的なのかアバッキオ同様警戒心を上手く隠していて、ジョルノも似たようなものである。
ただしジョルノはトムが助けた覚えもあるからか、信用はしているようだった。
ナランチャが文句を言いながらも買い出しへ出発する。それを静かに見送ったフーゴが玄関を閉め、やっとトムへと向き直った。
「さてトム。色々聞かせてもらえますか」
「答えられることと答えられない事があるよ」
「ブチャラティは貴方を信用してるようですが、ボク達はそうはいきません。少なくとも君を信頼できる証拠を手に入れるまではね」
ナランチャと話していたときとは違い、凄みのある殺気だ。けれども父のアマネ程ではない。
「信頼がたったいくつかの質問で成立するとは思えないけど」
「ええその通りです。ですが答えなさい」
「今は五個までなら答えてあげる」
最後の一粒だったブドウをフーゴへ差し出すがフーゴは食べなかった。トムの腕を這い上ったナギニがそのブドウを丸飲みにする。
ナギニの喉の辺りで小さくブドウが潰れる音がした。