五部
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「彼はオレが頼んで来てもらったんだ。無事幹部へなれたら紹介しようと思ってな」
ブチャラティの説明に、ジョルノ達が怪訝そうにトムを眺める。上司であるブチャラティがトムへ敵意を向けていないから今のところ静観している、といった風ではあるが、油断するとトムのことを痛めつけてやろうとばかりの雰囲気ではあった。
実際、仲間を攻撃されて怒っているところもあるにはあるのだろう。
「彼はスタンドに詳しいヤツでな。ポルポも居なくなってスタンド使いの選定が出来なくなった今、彼に協力を求めることにしたんだ」
それらしい説明に納得したのは公衆トイレ前へいる二人だけだった。アバッキオは苦しめられたことから、ジョルノはトムの事を知っているから、もう一人穴だらけのスーツを着た男はよく分からない。
トムとしてはジョルノの観察が出来ればどうでも良かった。
「だがトム。すまないが仕事が入ってしまった」
「話はナギニが聞いてたよ。そこの女性の護衛だっけ」
示した先ではトイレからショートカットの女性が出てきたところで、女性は増えているトムの姿へ不思議そうにしている。ナギニから聞いた、といっても実際は現在進行形でナギニがトムの耳元で状況を説明してくれているだけだ。
ギャング組織のボスの娘の護衛。過去にボスが作った子供が彼女で、彼女の母親が死んだことで彼女の存在が明るみに出た。そうして組織の中にいる裏切り者が彼女からボスの正体を探ろうと狙っている。
なんというか、ジョルノといい彼女といい父親がどうしようもないなと思った。
「父親には苦労させられるね。ジョルノも僕も」
「え……?」
「でも面白そうだ」
「あの……貴方も護衛なの?」
ジョルノが不思議そうな声を漏らすのを無視して、トムへ問いかけてきた組織ボスの娘にトムはブチャラティを見る。
「お兄さん! 僕も手伝うよ!」
「いや、君は部外者だ」
「駄目って言っても勝手について行くよ。ギャングにも組織のボスにも全く興味はないけれど、この“変な”任務には興味が出てきた」
「トム!」
「こんにちはお姉さん。僕はトム」
ブチャラティの制止を無視してボスの娘へと歩み寄った。ナギニの話では“トリッシュ”というらしい彼女はトムの顔立ちに見惚れていて、トムが子供だというのにここへいる事への違和感など吹き飛んでしまっているらしい。
そんな彼女へこっそり開心術を掛けてみる。トムの興味を引くような情報は殆どないが、一つだけ気になることがあった。
「あ、えっと……よろしく」
「よろしく。でも握手はしないから。淑女のくせにハンカチを持ち歩かないのはどうかと思うし、目下の着替えの買い出しはともかく嗜好品にまで文句を付けても僕は動かないよ」
トリッシュが目を丸くする。
「ブチャラティお兄さん達は護衛であって君の部下じゃない。彼等の役割は君を守る事であって面倒を見ることじゃない」
ブチャラティの説明に、ジョルノ達が怪訝そうにトムを眺める。上司であるブチャラティがトムへ敵意を向けていないから今のところ静観している、といった風ではあるが、油断するとトムのことを痛めつけてやろうとばかりの雰囲気ではあった。
実際、仲間を攻撃されて怒っているところもあるにはあるのだろう。
「彼はスタンドに詳しいヤツでな。ポルポも居なくなってスタンド使いの選定が出来なくなった今、彼に協力を求めることにしたんだ」
それらしい説明に納得したのは公衆トイレ前へいる二人だけだった。アバッキオは苦しめられたことから、ジョルノはトムの事を知っているから、もう一人穴だらけのスーツを着た男はよく分からない。
トムとしてはジョルノの観察が出来ればどうでも良かった。
「だがトム。すまないが仕事が入ってしまった」
「話はナギニが聞いてたよ。そこの女性の護衛だっけ」
示した先ではトイレからショートカットの女性が出てきたところで、女性は増えているトムの姿へ不思議そうにしている。ナギニから聞いた、といっても実際は現在進行形でナギニがトムの耳元で状況を説明してくれているだけだ。
ギャング組織のボスの娘の護衛。過去にボスが作った子供が彼女で、彼女の母親が死んだことで彼女の存在が明るみに出た。そうして組織の中にいる裏切り者が彼女からボスの正体を探ろうと狙っている。
なんというか、ジョルノといい彼女といい父親がどうしようもないなと思った。
「父親には苦労させられるね。ジョルノも僕も」
「え……?」
「でも面白そうだ」
「あの……貴方も護衛なの?」
ジョルノが不思議そうな声を漏らすのを無視して、トムへ問いかけてきた組織ボスの娘にトムはブチャラティを見る。
「お兄さん! 僕も手伝うよ!」
「いや、君は部外者だ」
「駄目って言っても勝手について行くよ。ギャングにも組織のボスにも全く興味はないけれど、この“変な”任務には興味が出てきた」
「トム!」
「こんにちはお姉さん。僕はトム」
ブチャラティの制止を無視してボスの娘へと歩み寄った。ナギニの話では“トリッシュ”というらしい彼女はトムの顔立ちに見惚れていて、トムが子供だというのにここへいる事への違和感など吹き飛んでしまっているらしい。
そんな彼女へこっそり開心術を掛けてみる。トムの興味を引くような情報は殆どないが、一つだけ気になることがあった。
「あ、えっと……よろしく」
「よろしく。でも握手はしないから。淑女のくせにハンカチを持ち歩かないのはどうかと思うし、目下の着替えの買い出しはともかく嗜好品にまで文句を付けても僕は動かないよ」
トリッシュが目を丸くする。
「ブチャラティお兄さん達は護衛であって君の部下じゃない。彼等の役割は君を守る事であって面倒を見ることじゃない」