五部
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ナギニの匣を手の上で転がしながら、トムは受話器の向こうから聞こえる声に耳を澄ませる。
「……うん。大丈夫だよ父さん。僕がその辺のゴロツキに負ける訳がないじゃないか」
『それならいいけど、お前は可愛いから心配だなぁ』
「可愛いなんて言うの父さんくらいだからね? それに父さんの故郷だもの。イタリアが僕へ悪いことをするなんて思えないよ」
『……まぁ、怪我は出来るだけしないようになさい』
「僕は治せないからね」
『治せたとしても傷ついたのを見るのは嫌だぜぇ。トム』
「分かってるよ。心配しないで」
フランスへいる父のアマネへ、友達が出来るかもしれないという報告の最中だった。
康一の護衛としてイタリアへ来ているトムだが、せっかくイタリアへ行くのならと康一が目的達成した後は別行動を取る予定だったのである。別行動の目的は父の母、つまりトムにとっては祖母に当たる人の墓参りだ。
その為トムのビザは最初から長期滞在で申請してあったが、ジョルノの事があって更に長期になるかも知れないと相談することにしたのである。捜査で忙しい合間をぬってトムの電話へ出てくれた父は、やはり少し疲れているようだった。
「そっちの仕事が終わったら休暇で来ればいいんだよ。じゃあね父さん。愛してるよ」
電話を切って後ろを振り返れば、街灯へ寄りかかって食べかけのピザを持ったブチャラティがいる。電話の途中から近くに来ていたことは気付いていたが、一応電話が終わるまで待っていてくれたらしい。
まだトムの事なんて信頼どころか信用すら出来ていないだろうに、そういうところは紳士的だ。
「美味しそうなピザだ」
「少し通りを戻ったところのヤツだ。美味しそうじゃなくて美味しいんだぜ」
そんなことはどうでもいい。
「僕の監視? お兄さん」
「ブチャラティでいい。たまたま見つけただけさ」
「その割には顔色が悪い」
「……そうだな」
「そういう顔色、見たことあるよ。貴方が“良い”ギャングであることを前提にするならだけれど、何処かで麻薬売買の現場でも見たのかな」
「――ッ」
「え? まさか正解?」
『前世』に親戚だったマフィア達のことを思い出しながら言った当てずっぽうだったのだが、どうやら当たっていたらしい。それには流石のトムも驚いて目を丸くしたのだが、ブチャラティはそんなトムの様子からトムが本当に冗談で言ったのだと理解したようだった。
「……現場じゃない、話を聞いただけだ」
「それでも嫌いな人は嫌いだ。今のは僕が悪かった」
素直に謝ったのはトムも麻薬が嫌いだったからである。
「……うん。大丈夫だよ父さん。僕がその辺のゴロツキに負ける訳がないじゃないか」
『それならいいけど、お前は可愛いから心配だなぁ』
「可愛いなんて言うの父さんくらいだからね? それに父さんの故郷だもの。イタリアが僕へ悪いことをするなんて思えないよ」
『……まぁ、怪我は出来るだけしないようになさい』
「僕は治せないからね」
『治せたとしても傷ついたのを見るのは嫌だぜぇ。トム』
「分かってるよ。心配しないで」
フランスへいる父のアマネへ、友達が出来るかもしれないという報告の最中だった。
康一の護衛としてイタリアへ来ているトムだが、せっかくイタリアへ行くのならと康一が目的達成した後は別行動を取る予定だったのである。別行動の目的は父の母、つまりトムにとっては祖母に当たる人の墓参りだ。
その為トムのビザは最初から長期滞在で申請してあったが、ジョルノの事があって更に長期になるかも知れないと相談することにしたのである。捜査で忙しい合間をぬってトムの電話へ出てくれた父は、やはり少し疲れているようだった。
「そっちの仕事が終わったら休暇で来ればいいんだよ。じゃあね父さん。愛してるよ」
電話を切って後ろを振り返れば、街灯へ寄りかかって食べかけのピザを持ったブチャラティがいる。電話の途中から近くに来ていたことは気付いていたが、一応電話が終わるまで待っていてくれたらしい。
まだトムの事なんて信頼どころか信用すら出来ていないだろうに、そういうところは紳士的だ。
「美味しそうなピザだ」
「少し通りを戻ったところのヤツだ。美味しそうじゃなくて美味しいんだぜ」
そんなことはどうでもいい。
「僕の監視? お兄さん」
「ブチャラティでいい。たまたま見つけただけさ」
「その割には顔色が悪い」
「……そうだな」
「そういう顔色、見たことあるよ。貴方が“良い”ギャングであることを前提にするならだけれど、何処かで麻薬売買の現場でも見たのかな」
「――ッ」
「え? まさか正解?」
『前世』に親戚だったマフィア達のことを思い出しながら言った当てずっぽうだったのだが、どうやら当たっていたらしい。それには流石のトムも驚いて目を丸くしたのだが、ブチャラティはそんなトムの様子からトムが本当に冗談で言ったのだと理解したようだった。
「……現場じゃない、話を聞いただけだ」
「それでも嫌いな人は嫌いだ。今のは僕が悪かった」
素直に謝ったのはトムも麻薬が嫌いだったからである。