五部
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「……自己紹介が遅れたな。オレはブローノ・ブチャラティだ」
「トム。トム・オルカ・グラマト」
「“海のギャング”か。それはパッショーネ全体へ対する取り引きか?」
「違うよ。ジョルノが信用したお兄さんにだけ持ちかけた取り引きだ」
ブチャラティはトムを見つめたまま考え込んでいるようだった。念の為自分へ閉心術をかけてはいたけれど、この態度からして必要は無かったかも知れない。
父であったならもっと簡単に彼の警戒を解いてしまっていただろう。アマネの動植物へ好かれる体質というのは“人間にも適用する”。
アマネは気付いているのかいないのか分からないが、そうでもなければ説明のつかない相手の態度の軟化を今までに何度見たことか。どんな敵意を持っていようとどんな悪意を抱えていようと、アマネを前にすればその警戒心や敵意は霧散してしまう。霧散せずとも気付くとアマネとごく普通に話をするようになってしまうのだ。
あれを無理にでもカリスマ性と言うのならトムは人身掌握が下手だと言える。トムは魔法が使えてもただの人間だ。
やがて深く息を吐き出したブチャラティが、呆れたようにジョルノを見た。
「随分な友達がいるようだな」
「いえ、彼は友達じゃ」
「だが度胸だけは大人顔負けじゃないか。『何を考えているのか』全く分からないが……。つまりコイツはギャングにならないままギャングの行動を見ようとしてるんだ」
「コイツじゃない。トムだ。せっかく名乗った名前を忘れたというのならその記憶力を哀れんであげるよ」
「すまないな。それで、その取り引きは何に誓うんだ?」
「オメルタがあればそれでもいいね。でもギャングにオメルタは無いから」
「ならどうする」
「僕が唯一信じる悪魔。原始の魔法リリスの子。さかさまの悪魔『イブリス』へ誓おう」
トムは神様を信じない。存在は信じていても信仰はしない。そんなものを信仰するくらいなら父のアマネへハグをする。
キリスト教の総本山が近くにあるイタリアで、この発言はもしかしたら駄目だったかと少し思ったが、ブチャラティは面白そうに笑うだけだった。
ジョルノはブチャラティが笑った事に驚きながらもトムに対して怒っているらしい。けれども、少なくともブチャラティが行動の観察を許可してくれたならジョルノへ近付く機会は増えるので構わない。
「なるほど、魔法使いらしい誓い方だ。惜しむらくはサタンじゃなかったことくらいか?」
どうやら彼は、イブリスがサタンと同義であることまでは知らない様だった。
「トム。トム・オルカ・グラマト」
「“海のギャング”か。それはパッショーネ全体へ対する取り引きか?」
「違うよ。ジョルノが信用したお兄さんにだけ持ちかけた取り引きだ」
ブチャラティはトムを見つめたまま考え込んでいるようだった。念の為自分へ閉心術をかけてはいたけれど、この態度からして必要は無かったかも知れない。
父であったならもっと簡単に彼の警戒を解いてしまっていただろう。アマネの動植物へ好かれる体質というのは“人間にも適用する”。
アマネは気付いているのかいないのか分からないが、そうでもなければ説明のつかない相手の態度の軟化を今までに何度見たことか。どんな敵意を持っていようとどんな悪意を抱えていようと、アマネを前にすればその警戒心や敵意は霧散してしまう。霧散せずとも気付くとアマネとごく普通に話をするようになってしまうのだ。
あれを無理にでもカリスマ性と言うのならトムは人身掌握が下手だと言える。トムは魔法が使えてもただの人間だ。
やがて深く息を吐き出したブチャラティが、呆れたようにジョルノを見た。
「随分な友達がいるようだな」
「いえ、彼は友達じゃ」
「だが度胸だけは大人顔負けじゃないか。『何を考えているのか』全く分からないが……。つまりコイツはギャングにならないままギャングの行動を見ようとしてるんだ」
「コイツじゃない。トムだ。せっかく名乗った名前を忘れたというのならその記憶力を哀れんであげるよ」
「すまないな。それで、その取り引きは何に誓うんだ?」
「オメルタがあればそれでもいいね。でもギャングにオメルタは無いから」
「ならどうする」
「僕が唯一信じる悪魔。原始の魔法リリスの子。さかさまの悪魔『イブリス』へ誓おう」
トムは神様を信じない。存在は信じていても信仰はしない。そんなものを信仰するくらいなら父のアマネへハグをする。
キリスト教の総本山が近くにあるイタリアで、この発言はもしかしたら駄目だったかと少し思ったが、ブチャラティは面白そうに笑うだけだった。
ジョルノはブチャラティが笑った事に驚きながらもトムに対して怒っているらしい。けれども、少なくともブチャラティが行動の観察を許可してくれたならジョルノへ近付く機会は増えるので構わない。
「なるほど、魔法使いらしい誓い方だ。惜しむらくはサタンじゃなかったことくらいか?」
どうやら彼は、イブリスがサタンと同義であることまでは知らない様だった。