五部
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ジョルノ視点
妙なことになった、と思った。
ジョルノの目の前には黒髪に紅眼の美少年。牢獄でポルポへライターを返しに行き、ブチャラティと会う約束にジョルノが待ち合わせの場所へ向かっていたところで遭遇したのだ。
そのまま良いとも言っていないのに付いてきたトムに、どうやって彼を遠ざければいいのかという方法が思いつかない。
「……コーイチ君はどうしたんだ?」
「康一さんならホテルだよ。僕のお金を少し置いてきたから観光へ行ったかも知れない」
「また盗まれるかも知れないよ」
「一度経験して学んでいるのに盗まれるのは自業自得さ。そこまで面倒見るつもりはないよ」
無碍無く言ってカプチーノを飲んでいる。通りを歩いている女性観光客が彼を見て頬を染めていた。
彼は昨日、ジョルノと友達になりたいと言ったのである。
接点なんて何もない。せいぜいが彼の連れの荷物をジョルノが盗んだことで、それが理由なら友達になりたいなんて普通は言い出さないだろう。
ポルポのスタンドとの戦いでジョルノへ加勢してくれたが、それだって別段理由となるとは思えなかった。本当に、トムはジョルノの知らない何かを知っていて、そこから導き出された彼の思考から、友達になりたいなんて言葉が出てきたのだ。
首筋の襟の隙間から白い蛇が顔を覗かせる。昨日はスタンド使いとの戦いで落ち着いて考えられなかったが、この蛇も謎といえば謎だ。
「君は……」
「トムだよ」
「トムは、どうしてボクと友達になりたいんだ?」
カップを下ろしたトムが笑みを浮かべる。
「楽しいからさ」
「楽しい?」
「君が僕の選ばないであろう選択をしたのが楽しくて仕方がない。その結果で君がどうなるのかが僕は知りたいんだ」
「訳が分からないな。君が選ばなかった選択ってどういうことだ?」
「友達になってくれたら話してあげてもいいよ」
つまりは話すつもりなんて殆ど無いんじゃあないかと思ったところで、待ち合わせしていたブチャラティが姿を見せた。ギャングになる為の試験を合格したという事でギャンクの説明をしてくれるという話だったのだけれど、予定にないトムの姿へ訝しげにしている。
それに気付いたトムがブチャラティを振り返って手を振った。ジョルノとしては、ギャングになれた初っ端から悪印象を与えることになるなと気まずく思う。
トムがジョルノの知り合いだと悟ったらしいブチャラティが、警戒しながら空いていた椅子へ座った。
「ジョルノ? 君の友達か?」
「こんにちはお兄さん。僕はトム。ジョルノと友達になりたい魔法使いさ」
妙なことになった、と思った。
ジョルノの目の前には黒髪に紅眼の美少年。牢獄でポルポへライターを返しに行き、ブチャラティと会う約束にジョルノが待ち合わせの場所へ向かっていたところで遭遇したのだ。
そのまま良いとも言っていないのに付いてきたトムに、どうやって彼を遠ざければいいのかという方法が思いつかない。
「……コーイチ君はどうしたんだ?」
「康一さんならホテルだよ。僕のお金を少し置いてきたから観光へ行ったかも知れない」
「また盗まれるかも知れないよ」
「一度経験して学んでいるのに盗まれるのは自業自得さ。そこまで面倒見るつもりはないよ」
無碍無く言ってカプチーノを飲んでいる。通りを歩いている女性観光客が彼を見て頬を染めていた。
彼は昨日、ジョルノと友達になりたいと言ったのである。
接点なんて何もない。せいぜいが彼の連れの荷物をジョルノが盗んだことで、それが理由なら友達になりたいなんて普通は言い出さないだろう。
ポルポのスタンドとの戦いでジョルノへ加勢してくれたが、それだって別段理由となるとは思えなかった。本当に、トムはジョルノの知らない何かを知っていて、そこから導き出された彼の思考から、友達になりたいなんて言葉が出てきたのだ。
首筋の襟の隙間から白い蛇が顔を覗かせる。昨日はスタンド使いとの戦いで落ち着いて考えられなかったが、この蛇も謎といえば謎だ。
「君は……」
「トムだよ」
「トムは、どうしてボクと友達になりたいんだ?」
カップを下ろしたトムが笑みを浮かべる。
「楽しいからさ」
「楽しい?」
「君が僕の選ばないであろう選択をしたのが楽しくて仕方がない。その結果で君がどうなるのかが僕は知りたいんだ」
「訳が分からないな。君が選ばなかった選択ってどういうことだ?」
「友達になってくれたら話してあげてもいいよ」
つまりは話すつもりなんて殆ど無いんじゃあないかと思ったところで、待ち合わせしていたブチャラティが姿を見せた。ギャングになる為の試験を合格したという事でギャンクの説明をしてくれるという話だったのだけれど、予定にないトムの姿へ訝しげにしている。
それに気付いたトムがブチャラティを振り返って手を振った。ジョルノとしては、ギャングになれた初っ端から悪印象を与えることになるなと気まずく思う。
トムがジョルノの知り合いだと悟ったらしいブチャラティが、警戒しながら空いていた椅子へ座った。
「ジョルノ? 君の友達か?」
「こんにちはお兄さん。僕はトム。ジョルノと友達になりたい魔法使いさ」