ペルソナ4
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「……クマには聞かなかったのかぁ?」
「クマ?」
「あ、えっと時々来る人がいるって。あれって先輩のことだったんすか?」
「昨日で四度。うち二回はクマと話をしただけだぁ。最初に入ったのは里中さんがペルソナを手に入れた時、かぁ?」
「! ペルソナも知ってるの!?」
身を乗り出す里中と花村を月森が宥める。同時に『ペルソナ』と口にしたのは失敗だったと思った。そもそも彼らが何を何処まで知っているのかも知らないのだ。知っている前提で話してはいけない。
「あー……、答えるから聞いてくれぇ」
「先輩が犯人なんですか?」
単刀直入過ぎてアイスコーヒーを吹き出しかけた。
「違げぇよ。そもそも俺は旅館の娘さんがマヨナカテレビに写るまで、誰かが中に入れられてるなんて知らなかった。彼女の前に二人犠牲者がいるってのも、クマに聞いて知ったくらいだぜぇ」
「じゃあ小西先輩は」
「誰……ああ、この前亡くなった三年の。普通に殺人事件に巻き込まれたと思ってたなぁ」
花村が少しばかりショックを受けたような顔をしたが今は気にしないでおく。その小西という被害者と知り合いだったのかもしれない。
「テレビに入れるのを知ったのは?」
「里中さんが家電売り場の前で座り込んでた日の前日。お前等が三人揃ってテレビに入る瞬間を見てたんだぁ。触ったら俺も手がすり抜けた」
「……じゃあ、山野アナや小西先輩と関係、無い?」
里中が考えながら呟く。俺が嘘を吐いている可能性もちゃんと考慮しているのだろうか。
いや今のところ嘘は吐いていないが。
「どうして入ったんですか?」
「興味があったから」
これも正直に答える。あの場所が影時間のタルタロスの様な場所であれば、もしかしたら『あの人』を救える何かがあるかも知れないと考えもした。
結局テレビの中は『あの人』のいる場所へ繋がっている様子は無かったけれど、あの空間が影時間のようなものだとは確認出来たし、あの空間で適正の無い者は自分のシャドウに襲われて死んでしまうことも新しい情報だ。
あの場所に長く居られるのは影時間の様にペルソナ使いだけ。そしてペルソナ使いの中には『愚者』のアルカナがいるかもしれない。
未だ適正に気付いていない者もいつかはテレビの中へ入ってくるかもしれないし、そうであればテレビの中を探すほうが効率はいいように思う。すぐに死ねば不適正者だが、長い時間居られればペルソナ使いの可能性がある。
そういえばコイツ等の誰かもベルベットルームに行ける人間なんだよなと思い出してそれぞれの顔を見る。見た目で分かれば苦労はしないが、なんとなく月森が『愚者』のような気がした。
「なんで昨日は逃げたんですか?」
「お前等がテレビの中へ何をしてるか知らなかったから。俺の考えだとあそこはシャドウに襲われず長時間居られる奴しか居られない。お前らはその条件をクリアしてた。何度も出入りして、それなりに長時間あの場所に居られる。クマがお前らは落とされた被害者を助ける為に出入りしてると言っても、アイツが知らないとこで違うことをしてるかもしれねぇっていう疑いは出来る」
「ちょっ、そんな」
「更にはこうも考えられる。入れるなら入れられもする訳で、自分達で落としておいて後から自分達で助ける。被害者に自分を助けてくれたヒーローだと思い込ませ、感謝されるのが目的だとかなぁ」
花村が俺を睨む。殺気も知らない高校生のきつい視線程度では俺は気にしない。
飲み干したアイスコーヒーのカップを置く。
「……だとしたら、どうして今、ここにいるんですか?」
「お前等が学校で俺を探したからだぁ。そんな人に知られる様な方法で俺を捕まえて、すぐに俺が行方不明にでもなればまずお前らにも調査の手が伸びる。どうして学校で俺を探していたのか。接点の無いお前等がだぁ。疑う奴は疑うなぁ」
三人は何も言わない。里中は少しだけ顔を青ざめさせているが、月森など表情一つ変えていなかった。そういうことを想定していたのかそれすらどうでもいいと思っていたのか。
まぁもっとも、この考えは今考えた嘘でしかないのだが。
「テレビのあるジュネスに来るのは賭けだったぜぇ。でもお前らは俺が聞く前に名乗った。もしお前等が何かを企ててるとしたら、テレビの中で会ったことから俺も自由にテレビへ出入り出来ることは分かってるんだから、名乗らずにテレビへ突き落とすなりするだろぉ。そうすれば証拠や手がかりはより少なくなる。万が一俺が死ぬ間際にダイイングメッセージを残していてもなぁ」
「でも、里中や花村が名乗った」
「そう。だから考え直した。もしかしたらコイツ等も俺と同じ興味があって入った側の人間なのかって。確かにそれだけじゃヒーローごっこ説は消せねぇが、さらに花村君の発言だぁ。『じゃあ小西先輩は』とは言った。ってことは『小西先輩のことには気付いていない』ではなく俺が『小西先輩のことは知らない』とも考えたように取れた。その後の里中さんが二人の犠牲者と関係無いのかと呟いた。つまり里中さんが俺は二人の犠牲者と何かしら関連があったんじゃないかっていう考えを持っていたということだぁ。つまりは俺を疑ってる。何故か。もしかしたらコイツ等はヒーローごっこではなくちゃんと人助けをしている。で、俺からお前等に質問」
アイスコーヒーがもう一杯飲みたい。
「お前等はどうしてテレビの中へ入ってんだぁ?」
「クマ?」
「あ、えっと時々来る人がいるって。あれって先輩のことだったんすか?」
「昨日で四度。うち二回はクマと話をしただけだぁ。最初に入ったのは里中さんがペルソナを手に入れた時、かぁ?」
「! ペルソナも知ってるの!?」
身を乗り出す里中と花村を月森が宥める。同時に『ペルソナ』と口にしたのは失敗だったと思った。そもそも彼らが何を何処まで知っているのかも知らないのだ。知っている前提で話してはいけない。
「あー……、答えるから聞いてくれぇ」
「先輩が犯人なんですか?」
単刀直入過ぎてアイスコーヒーを吹き出しかけた。
「違げぇよ。そもそも俺は旅館の娘さんがマヨナカテレビに写るまで、誰かが中に入れられてるなんて知らなかった。彼女の前に二人犠牲者がいるってのも、クマに聞いて知ったくらいだぜぇ」
「じゃあ小西先輩は」
「誰……ああ、この前亡くなった三年の。普通に殺人事件に巻き込まれたと思ってたなぁ」
花村が少しばかりショックを受けたような顔をしたが今は気にしないでおく。その小西という被害者と知り合いだったのかもしれない。
「テレビに入れるのを知ったのは?」
「里中さんが家電売り場の前で座り込んでた日の前日。お前等が三人揃ってテレビに入る瞬間を見てたんだぁ。触ったら俺も手がすり抜けた」
「……じゃあ、山野アナや小西先輩と関係、無い?」
里中が考えながら呟く。俺が嘘を吐いている可能性もちゃんと考慮しているのだろうか。
いや今のところ嘘は吐いていないが。
「どうして入ったんですか?」
「興味があったから」
これも正直に答える。あの場所が影時間のタルタロスの様な場所であれば、もしかしたら『あの人』を救える何かがあるかも知れないと考えもした。
結局テレビの中は『あの人』のいる場所へ繋がっている様子は無かったけれど、あの空間が影時間のようなものだとは確認出来たし、あの空間で適正の無い者は自分のシャドウに襲われて死んでしまうことも新しい情報だ。
あの場所に長く居られるのは影時間の様にペルソナ使いだけ。そしてペルソナ使いの中には『愚者』のアルカナがいるかもしれない。
未だ適正に気付いていない者もいつかはテレビの中へ入ってくるかもしれないし、そうであればテレビの中を探すほうが効率はいいように思う。すぐに死ねば不適正者だが、長い時間居られればペルソナ使いの可能性がある。
そういえばコイツ等の誰かもベルベットルームに行ける人間なんだよなと思い出してそれぞれの顔を見る。見た目で分かれば苦労はしないが、なんとなく月森が『愚者』のような気がした。
「なんで昨日は逃げたんですか?」
「お前等がテレビの中へ何をしてるか知らなかったから。俺の考えだとあそこはシャドウに襲われず長時間居られる奴しか居られない。お前らはその条件をクリアしてた。何度も出入りして、それなりに長時間あの場所に居られる。クマがお前らは落とされた被害者を助ける為に出入りしてると言っても、アイツが知らないとこで違うことをしてるかもしれねぇっていう疑いは出来る」
「ちょっ、そんな」
「更にはこうも考えられる。入れるなら入れられもする訳で、自分達で落としておいて後から自分達で助ける。被害者に自分を助けてくれたヒーローだと思い込ませ、感謝されるのが目的だとかなぁ」
花村が俺を睨む。殺気も知らない高校生のきつい視線程度では俺は気にしない。
飲み干したアイスコーヒーのカップを置く。
「……だとしたら、どうして今、ここにいるんですか?」
「お前等が学校で俺を探したからだぁ。そんな人に知られる様な方法で俺を捕まえて、すぐに俺が行方不明にでもなればまずお前らにも調査の手が伸びる。どうして学校で俺を探していたのか。接点の無いお前等がだぁ。疑う奴は疑うなぁ」
三人は何も言わない。里中は少しだけ顔を青ざめさせているが、月森など表情一つ変えていなかった。そういうことを想定していたのかそれすらどうでもいいと思っていたのか。
まぁもっとも、この考えは今考えた嘘でしかないのだが。
「テレビのあるジュネスに来るのは賭けだったぜぇ。でもお前らは俺が聞く前に名乗った。もしお前等が何かを企ててるとしたら、テレビの中で会ったことから俺も自由にテレビへ出入り出来ることは分かってるんだから、名乗らずにテレビへ突き落とすなりするだろぉ。そうすれば証拠や手がかりはより少なくなる。万が一俺が死ぬ間際にダイイングメッセージを残していてもなぁ」
「でも、里中や花村が名乗った」
「そう。だから考え直した。もしかしたらコイツ等も俺と同じ興味があって入った側の人間なのかって。確かにそれだけじゃヒーローごっこ説は消せねぇが、さらに花村君の発言だぁ。『じゃあ小西先輩は』とは言った。ってことは『小西先輩のことには気付いていない』ではなく俺が『小西先輩のことは知らない』とも考えたように取れた。その後の里中さんが二人の犠牲者と関係無いのかと呟いた。つまり里中さんが俺は二人の犠牲者と何かしら関連があったんじゃないかっていう考えを持っていたということだぁ。つまりは俺を疑ってる。何故か。もしかしたらコイツ等はヒーローごっこではなくちゃんと人助けをしている。で、俺からお前等に質問」
アイスコーヒーがもう一杯飲みたい。
「お前等はどうしてテレビの中へ入ってんだぁ?」