ペルソナ4
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旅館の娘さんが見つかったらしいと学校の噂やニュースで知って、ならテレビへ押し込んだ犯人も分かるだろうと興味を無くして家に帰る途中、ふと後ろから声を掛けられた。
聞き覚えの無い声に立ち止まって振り返ると、ジュネスの家電売り場やテレビの中で見た色素の薄い男子生徒が立っている。
「これ、落としましたよ」
そう言って差し出されたのは、二年前に『友達』から貰った京都土産である、ちりめん造りをした人形のキーホルダー。見れば金具の部分が壊れて馬鹿になっている。
「悪ぃなぁ。ありがとう」
「いえ」
受け取ってポケットにしまって彼を見れば、襟の部分の校章から二年だと分かった。年下かと思うも、三年の自分が見ない顔なら年下しかありえないだろうと思い直す。
「二年?」
「はい。先輩ですか?」
「三年の斑鳩」
「二年の月森です。まだ転校してきたばかりですけど」
それ以上話す事も無かったので彼とはそのまま別れた。縁があればまた会えるだろう。
というより、彼もあのテレビの中へと行き続けるなら確実に会うのだろう。事件はまだ本当に終わったのかどうか分かっていない。興味を無くしたのは『旅館の娘さん』の件だけ。
もし犯人が捕まり真実が分かれば、もしかしたら『愚者』のアルカナの人物がこの街で二人見つかる。湊さんと同じアルカナ。
仮定や都合のいい妄想でしかないけれど、もし『愚者』のアルカナがたくさん居て、それらが『宇宙』になれたなら、湊さんを救うとか、そうでなくともあの人の負担を軽くすることが出来るかもしれない。
そうすれば、湊さんは救える。
救える? 本当にか? どこにそんな根拠があるんだ? そうやって考えて失敗しただろうが。結局何も出来なかったくせに。
内心の遠く離れた場所に居る誰かがそう囁いてくる気がして、それから離れようと自然と足が速くなる。最近になってまたシャドウと対面することが増えたから、変なことを考えてしまうのはそのせいだ。そう思うことにした。
気を紛らわせようと鞄に入れていた音楽プレーヤーを取り出してイヤホンを耳に嵌めても、イヤホンの音の悪さが気になって仕方がない。
どうしてこんなに音が悪いんだろうか。音量を上げて誤魔化そうにも音の悪さが引き立つばかりでどうしようもなかった。
聞き覚えの無い声に立ち止まって振り返ると、ジュネスの家電売り場やテレビの中で見た色素の薄い男子生徒が立っている。
「これ、落としましたよ」
そう言って差し出されたのは、二年前に『友達』から貰った京都土産である、ちりめん造りをした人形のキーホルダー。見れば金具の部分が壊れて馬鹿になっている。
「悪ぃなぁ。ありがとう」
「いえ」
受け取ってポケットにしまって彼を見れば、襟の部分の校章から二年だと分かった。年下かと思うも、三年の自分が見ない顔なら年下しかありえないだろうと思い直す。
「二年?」
「はい。先輩ですか?」
「三年の斑鳩」
「二年の月森です。まだ転校してきたばかりですけど」
それ以上話す事も無かったので彼とはそのまま別れた。縁があればまた会えるだろう。
というより、彼もあのテレビの中へと行き続けるなら確実に会うのだろう。事件はまだ本当に終わったのかどうか分かっていない。興味を無くしたのは『旅館の娘さん』の件だけ。
もし犯人が捕まり真実が分かれば、もしかしたら『愚者』のアルカナの人物がこの街で二人見つかる。湊さんと同じアルカナ。
仮定や都合のいい妄想でしかないけれど、もし『愚者』のアルカナがたくさん居て、それらが『宇宙』になれたなら、湊さんを救うとか、そうでなくともあの人の負担を軽くすることが出来るかもしれない。
そうすれば、湊さんは救える。
救える? 本当にか? どこにそんな根拠があるんだ? そうやって考えて失敗しただろうが。結局何も出来なかったくせに。
内心の遠く離れた場所に居る誰かがそう囁いてくる気がして、それから離れようと自然と足が速くなる。最近になってまたシャドウと対面することが増えたから、変なことを考えてしまうのはそのせいだ。そう思うことにした。
気を紛らわせようと鞄に入れていた音楽プレーヤーを取り出してイヤホンを耳に嵌めても、イヤホンの音の悪さが気になって仕方がない。
どうしてこんなに音が悪いんだろうか。音量を上げて誤魔化そうにも音の悪さが引き立つばかりでどうしようもなかった。