後日談
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天田と桐条だけではなく、他の面々も神妙な表情で語る俺が寝ていた間の出来事。その説明を俺に似た男から受けて、二人がこうも感情を高ぶらせている理由を理解する。
桐条たちが見てきたらしい俺の『過去』
それは俺の最初の人生である『シルビ』が死ぬところだったらしい。
憎んでいたはずの相手に『庇われた』天田。『血の繋がった』父親を目の前で失った桐条。なるほどと納得するには少し無理があるが、どちらも俺が遺した『弟』と同じ立場だ。
だから見ていられなかった。だから助けようとした。
荒垣の時も桐条のご当主の時も、俺は変な事ばかりしていたから印象に残っていたのだろう。
でもそれは、俺の自己満足以外の何物でもない。
「でもまさか……前世の記憶がある、なんてねぇ」
不思議だわ、としみじみ呟く岳羽に、真田達も同意するように頷いていた。
「でも、納得は出来るよね。アマネ君、私たちより大人っぽいところ多いし」
「いやいや、よくそんなアッサリ……受け入れられんね。オレまだ無理だわー」
「じゃあ順平はどう思ってるの?」
「オレ? あー……なんか似てるなとは思ったよ」
「似てる?」
「チドリンとさ。チドリだって自分の命投げ出してオレのこと助けてくれたワケだろ? なんつーか、ありがたいんだけど、ありがたくないっつーか……」
考え込むように唸っている伊織が説明するのを待たずに、山岸が俺を見る。
「アマネ君は、たくさん頑張ってきたんだね」
「……頑張る?」
意味が分からなかった。
俺は頑張った事なんてない。今まで行なってきた事はただの自己満足で自分の願いどおりにする為に手を加え続けていただけの事で、誰かへ褒められるような、そもそも褒められる権利すら無い筈だ。自分のワガママを貫き通す事の何処へ褒める要素があったのか。
俺は褒められるに値しない。
あれだけ褒めてくれたあの人も救えず、こんなところで何もせずに堕落していた俺の何処を、山岸は褒めたというのか。そういう事は正しく頑張っている者へ向けるべきだ。
ぐずぐずと鼻を鳴らして天田が離れる。それを追いかけるように立ち上がって俺は俺そっくりの男を見た。
「……お前も、俺を褒めるべきだと思ってる?」
「今までの事に? それともこれからの事にですか? ……そうだな。『間違っている』という点では全く褒めようとは思えぬよ」
統一されない口調。
「初心へ帰るのも一つの手だとオレは思うぞ? 今のお前は傲慢すぎる。だから『こんな事』になっているんだろう?」
「初心……」
初心とはいつのことか。
近付いてきた男が何処のものかも分からない鍵を差し出してきた。俺の部屋でもベルベットルームでもなく、心当たりの無い鍵。
「それでもお前はきっと、あの日に戻りたいなんて考えているのだろうな」
桐条たちが見てきたらしい俺の『過去』
それは俺の最初の人生である『シルビ』が死ぬところだったらしい。
憎んでいたはずの相手に『庇われた』天田。『血の繋がった』父親を目の前で失った桐条。なるほどと納得するには少し無理があるが、どちらも俺が遺した『弟』と同じ立場だ。
だから見ていられなかった。だから助けようとした。
荒垣の時も桐条のご当主の時も、俺は変な事ばかりしていたから印象に残っていたのだろう。
でもそれは、俺の自己満足以外の何物でもない。
「でもまさか……前世の記憶がある、なんてねぇ」
不思議だわ、としみじみ呟く岳羽に、真田達も同意するように頷いていた。
「でも、納得は出来るよね。アマネ君、私たちより大人っぽいところ多いし」
「いやいや、よくそんなアッサリ……受け入れられんね。オレまだ無理だわー」
「じゃあ順平はどう思ってるの?」
「オレ? あー……なんか似てるなとは思ったよ」
「似てる?」
「チドリンとさ。チドリだって自分の命投げ出してオレのこと助けてくれたワケだろ? なんつーか、ありがたいんだけど、ありがたくないっつーか……」
考え込むように唸っている伊織が説明するのを待たずに、山岸が俺を見る。
「アマネ君は、たくさん頑張ってきたんだね」
「……頑張る?」
意味が分からなかった。
俺は頑張った事なんてない。今まで行なってきた事はただの自己満足で自分の願いどおりにする為に手を加え続けていただけの事で、誰かへ褒められるような、そもそも褒められる権利すら無い筈だ。自分のワガママを貫き通す事の何処へ褒める要素があったのか。
俺は褒められるに値しない。
あれだけ褒めてくれたあの人も救えず、こんなところで何もせずに堕落していた俺の何処を、山岸は褒めたというのか。そういう事は正しく頑張っている者へ向けるべきだ。
ぐずぐずと鼻を鳴らして天田が離れる。それを追いかけるように立ち上がって俺は俺そっくりの男を見た。
「……お前も、俺を褒めるべきだと思ってる?」
「今までの事に? それともこれからの事にですか? ……そうだな。『間違っている』という点では全く褒めようとは思えぬよ」
統一されない口調。
「初心へ帰るのも一つの手だとオレは思うぞ? 今のお前は傲慢すぎる。だから『こんな事』になっているんだろう?」
「初心……」
初心とはいつのことか。
近付いてきた男が何処のものかも分からない鍵を差し出してきた。俺の部屋でもベルベットルームでもなく、心当たりの無い鍵。
「それでもお前はきっと、あの日に戻りたいなんて考えているのだろうな」