後日談
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メンバー視点
荒れ果てた廃墟のような部屋。その部屋の主はメティスと一緒にラウンジへ居る。シルビがメティスへ頼んで斑鳩を引き止めてもらっている間にと、アイギスたちを連れて勝手に斑鳩の部屋へと来たのだ。
その部屋へ入り込んだ瞬間始まった、恐らく『彼の過去』は既に上映が終わり、今は本来であれば通常の状態へ戻るはずの部屋に、映像の背景だった光景が広がっている。
室内はおよそ人が住んでいたとか思えない。それどころか寮の一室ですらなく、女物の服を着た白骨死体。割れた水差し。折れた包丁。荒らされた家具。見たばかりの『彼の過去』を思い出してか桐条が口元を押さえる。
「……どういう、ことだ?」
目の前の光景へ絶句している桐条達の前へと進み出たシルビが、まるで舞台上の道化師のように、大げさに肩を竦めた。
「コレが、残った最後のメンバー。『斑鳩 周の過去』ってことだろう」
「生家って……でも、過去の記憶なら……」
「過去の記憶ならこれらは全て消えているはず。まぁお嬢さんの言いたい事も分かるよ」
そう言ってシルビは部屋の真ん中へ転がっている死体へと近付いていく。その後を追うように真田達も死体へと近付いた。
時代遅れも甚だしい服装。床へこびりついて残る血の跡から天田が目を逸らしている。岳羽や山岸だけではなく伊織も顔が青い。
しゃがんで、頬杖を突くように両手を頬へ寄せて、シルビは何の感慨も無さそうに白骨死体を見下ろす。その横から身を乗り出すようにして死体を見下ろした真田を、シルビが視線だけで見上げた。
「君は確か知っているな。アイツが『殺し屋』だった事を」
「こ、殺し屋っ!?」
「……ああ」
「待て明彦。何故……」
「ジン、だったかい? おこがましくも『復讐』代行なんて名乗っていた彼を助けた折に、アイツ本人が彼へバラして、そして君とお嬢さんも偶々知ってしまった。そうだったな」
言いよどんだ真田の代わりに答えたシルビは、まるでその場面を見たかのように話す。
「だがお嬢さんたちはアイツの経歴を調べて、『そんな過去は無い』とも知っている。アイツの『今の』両親は交通事故で亡くなられた。アイツの親はどうしていつも……いや、それはどうでもいいな。ええと……そう、確かに『今』の『斑鳩 周』にはそんな過去はありません」
シルビが白骨死体へ手を伸ばし、骨ではなくその傍へ転がっていた折れた包丁を拾い上げた。それを持ったままシルビが立ち上がると、包丁が落ちていた場所から塗り替えられるように周囲の光景が変わっていく。
「あるのは『シルビ』……斑鳩 周の『前世』における過去。先程母親を襲っていた強盗を、子供ながらに殺した少年の未来にこそある」
荒れ果てた廃墟のような部屋。その部屋の主はメティスと一緒にラウンジへ居る。シルビがメティスへ頼んで斑鳩を引き止めてもらっている間にと、アイギスたちを連れて勝手に斑鳩の部屋へと来たのだ。
その部屋へ入り込んだ瞬間始まった、恐らく『彼の過去』は既に上映が終わり、今は本来であれば通常の状態へ戻るはずの部屋に、映像の背景だった光景が広がっている。
室内はおよそ人が住んでいたとか思えない。それどころか寮の一室ですらなく、女物の服を着た白骨死体。割れた水差し。折れた包丁。荒らされた家具。見たばかりの『彼の過去』を思い出してか桐条が口元を押さえる。
「……どういう、ことだ?」
目の前の光景へ絶句している桐条達の前へと進み出たシルビが、まるで舞台上の道化師のように、大げさに肩を竦めた。
「コレが、残った最後のメンバー。『斑鳩 周の過去』ってことだろう」
「生家って……でも、過去の記憶なら……」
「過去の記憶ならこれらは全て消えているはず。まぁお嬢さんの言いたい事も分かるよ」
そう言ってシルビは部屋の真ん中へ転がっている死体へと近付いていく。その後を追うように真田達も死体へと近付いた。
時代遅れも甚だしい服装。床へこびりついて残る血の跡から天田が目を逸らしている。岳羽や山岸だけではなく伊織も顔が青い。
しゃがんで、頬杖を突くように両手を頬へ寄せて、シルビは何の感慨も無さそうに白骨死体を見下ろす。その横から身を乗り出すようにして死体を見下ろした真田を、シルビが視線だけで見上げた。
「君は確か知っているな。アイツが『殺し屋』だった事を」
「こ、殺し屋っ!?」
「……ああ」
「待て明彦。何故……」
「ジン、だったかい? おこがましくも『復讐』代行なんて名乗っていた彼を助けた折に、アイツ本人が彼へバラして、そして君とお嬢さんも偶々知ってしまった。そうだったな」
言いよどんだ真田の代わりに答えたシルビは、まるでその場面を見たかのように話す。
「だがお嬢さんたちはアイツの経歴を調べて、『そんな過去は無い』とも知っている。アイツの『今の』両親は交通事故で亡くなられた。アイツの親はどうしていつも……いや、それはどうでもいいな。ええと……そう、確かに『今』の『斑鳩 周』にはそんな過去はありません」
シルビが白骨死体へ手を伸ばし、骨ではなくその傍へ転がっていた折れた包丁を拾い上げた。それを持ったままシルビが立ち上がると、包丁が落ちていた場所から塗り替えられるように周囲の光景が変わっていく。
「あるのは『シルビ』……斑鳩 周の『前世』における過去。先程母親を襲っていた強盗を、子供ながらに殺した少年の未来にこそある」