後日談
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もう襲い掛かったりしないだろうと頭から足を降ろした男に、床へ手を突いて起き上がり壁へ寄りかかる。
深く息を吐き出し壁へ頭を押し付けるように男を見上げた。俺とそっくりであるだけあって、その顔はともすれば『弟』にも似ている。
頭痛がしない。左手を上げて指を鳴らしたが、炎はどの色でさえも灯らなかった。
ああそう言うことかと理解してもう一度床へ倒れる。山岸が小さく悲鳴を上げたような気がしたがどうでも良かった。
「……なるほど。なるほど」
「だ、大丈夫なのかよ」
「大丈夫だと言っておる。それよりも問題は君たちなんだ」
男がアイギスたちを振り返って何か話している。それを何とはなしに聞いてはいても俺の頭は理解しちゃくれない。
アイギス達はこの『時の狭間』とか言う場所を消す為に頑張っているらしかった。だがその奥では何故かメンバーがペルソナを手に入れる切っ掛けとなった『過去』が上映される。
既に何人かの過去が上映されており、皆の前でペルソナを手に入れた山岸や最初から持っていたアイギスの過去は無いだろうと推測していた。
残る扉はあと一つらしい。
床に寝そべったままそれを聞いていれば、アイギス達と話をしていたメティスが振り返りこちらを見ていることに気がつく。
黒い髪、紅い瞳。アイギスを『姉さん』と呼び慕う姿。アイギスを庇い両手を広げた姿。
男がメティスへ話しかけ、メティスがこちらへと近付いてくる。
「やぁお嬢さん。俺に構ったところでいいことなんて何一つありゃしねぇから、気にせず戻りなさい」
「貴方は……『アマネ』というんですか?」
「はは……俺には色んな名前があるんだぁ。『アマネ』『シルビ』『イブリス』『シャイタン』とか」
「『シャイタン』? 『イブリス』?」
首を傾げる彼女へ起き上がって笑いかけた。上手く笑えた自信は無い。
「黒泥に祈るなぞ。『土から創られた人間などより、火から創られた天使の方が優れているのだから』と言って神の怒りをかったイブリスは最後の審判の日、地獄の業火へ焼かれる運命にある。……俺の最初の父親は自分に似なかった俺を見て、俺が死んでも苦しむようにとその逸話から名前を考えたらしい」
それが今や、イブリスそのもののように生きているのだからお笑い種だ。どれも俺のことを示すのなら結局どれも同じなんだろう。父親に嫌われた子供の名前だ。
乾いた笑いしか出なかったが、ふと伸びてきた手にメティスを見る。
人の手と変わらない質感だが冷たい手。
「彼に蹴られたところは痛くありませんか?」
「……君は優しくて困る」
深く息を吐き出し壁へ頭を押し付けるように男を見上げた。俺とそっくりであるだけあって、その顔はともすれば『弟』にも似ている。
頭痛がしない。左手を上げて指を鳴らしたが、炎はどの色でさえも灯らなかった。
ああそう言うことかと理解してもう一度床へ倒れる。山岸が小さく悲鳴を上げたような気がしたがどうでも良かった。
「……なるほど。なるほど」
「だ、大丈夫なのかよ」
「大丈夫だと言っておる。それよりも問題は君たちなんだ」
男がアイギスたちを振り返って何か話している。それを何とはなしに聞いてはいても俺の頭は理解しちゃくれない。
アイギス達はこの『時の狭間』とか言う場所を消す為に頑張っているらしかった。だがその奥では何故かメンバーがペルソナを手に入れる切っ掛けとなった『過去』が上映される。
既に何人かの過去が上映されており、皆の前でペルソナを手に入れた山岸や最初から持っていたアイギスの過去は無いだろうと推測していた。
残る扉はあと一つらしい。
床に寝そべったままそれを聞いていれば、アイギス達と話をしていたメティスが振り返りこちらを見ていることに気がつく。
黒い髪、紅い瞳。アイギスを『姉さん』と呼び慕う姿。アイギスを庇い両手を広げた姿。
男がメティスへ話しかけ、メティスがこちらへと近付いてくる。
「やぁお嬢さん。俺に構ったところでいいことなんて何一つありゃしねぇから、気にせず戻りなさい」
「貴方は……『アマネ』というんですか?」
「はは……俺には色んな名前があるんだぁ。『アマネ』『シルビ』『イブリス』『シャイタン』とか」
「『シャイタン』? 『イブリス』?」
首を傾げる彼女へ起き上がって笑いかけた。上手く笑えた自信は無い。
「黒泥に祈るなぞ。『土から創られた人間などより、火から創られた天使の方が優れているのだから』と言って神の怒りをかったイブリスは最後の審判の日、地獄の業火へ焼かれる運命にある。……俺の最初の父親は自分に似なかった俺を見て、俺が死んでも苦しむようにとその逸話から名前を考えたらしい」
それが今や、イブリスそのもののように生きているのだからお笑い種だ。どれも俺のことを示すのなら結局どれも同じなんだろう。父親に嫌われた子供の名前だ。
乾いた笑いしか出なかったが、ふと伸びてきた手にメティスを見る。
人の手と変わらない質感だが冷たい手。
「彼に蹴られたところは痛くありませんか?」
「……君は優しくて困る」