後日談
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「……誰?」
「誰、とは随分な言い方だな。こっちはお前の為に出てきたのだが」
「……頼んだ覚えは無ぇかなぁ」
「君『に』頼まれた覚えはありませんね。ところでお前、何処から出てきた?」
「普通に部屋から」
「ちょっ、ちょっと待て! オマエもっと驚いたりしねーの!?」
伊織に突っ込まれて俺と男が伊織を振り向く。同じ顔に見つめられてか伊織が呻いた。
「シャドウとかって存在と戦ってる俺らに、それは今更って話では?」
「うむ。これ以上の経験をコイツはしておるからな」
男へ指差されて少しむっとする。人を指差すなとは教わらなかったのだろうか。
そんな事はどうでもいいので、喉の渇きを癒す為にもキッチンへと向かう。洗いさらしのグラスを持って蛇口をひねった。
勢い良く流れる水。グラス一杯に注いだそれを一息で飲み干しても足らず、もう一杯飲もうと水を注ぐ。
「斑鳩、今の状況は分かっているか?」
「いいえ」
桐条に端的に返した。注いだ水へ口を付ける。
「時の狭間ってのをどうにかしないと明日が来ないんだそうだ」
俺に似た男の言葉にグラスへ口を付けたまま振り返れば、男は腕組みをして俺を見ていた。
「……それがどうした」
「どうしたって……君ねぇ!」
「どうせ明日が来たって何も変わんねぇだろぉ。あんた等は落ち込んでばっかりだし湊さんが帰ってくるでもなし。……せめて十年バズーカでも持って来いってんだぁ」
「十年……何?」
「お前だって何もしていないくせに」
水を飲み干して男を睨む。男は見下すような態度で俺を見ていて、周りのアイギス達は意味が分からないと言った様子で男と俺を見ていた。
そのどちらもに腹が立つ。『何もしていない』とは失礼な。
今だって俺は『考え続けている』。あの人を救う方法を。
既に五千九百六十二回は考えて無理だと結論が出ているが、残りの那由他以上の数の考察を無ければならない。俺のこの頭はそれが出来る。だからやる。
どうにか救う方法を探さなければ。肉体が死んだって魂は死んでいない。ならそこへきっと希望を見出せるはずだ。その為ならこんな体いらない。頭痛が酷かろうが鼻血が出ようが脳の血管が千切れようが高熱が出ようが構わなかった。
男が溜息を吐く。
「お前それ、逃避だとは分かってますか?」
「逃避?」
「いくら理論だけを考えたところで『あの人』は救えない。それに色々考えてはいるけど『あの人』を救う方法、一つはもう分かってるんだろぉ?」
男の言葉に誰かが息を呑んだ。空になったグラスがミシリときしむ。
「誰、とは随分な言い方だな。こっちはお前の為に出てきたのだが」
「……頼んだ覚えは無ぇかなぁ」
「君『に』頼まれた覚えはありませんね。ところでお前、何処から出てきた?」
「普通に部屋から」
「ちょっ、ちょっと待て! オマエもっと驚いたりしねーの!?」
伊織に突っ込まれて俺と男が伊織を振り向く。同じ顔に見つめられてか伊織が呻いた。
「シャドウとかって存在と戦ってる俺らに、それは今更って話では?」
「うむ。これ以上の経験をコイツはしておるからな」
男へ指差されて少しむっとする。人を指差すなとは教わらなかったのだろうか。
そんな事はどうでもいいので、喉の渇きを癒す為にもキッチンへと向かう。洗いさらしのグラスを持って蛇口をひねった。
勢い良く流れる水。グラス一杯に注いだそれを一息で飲み干しても足らず、もう一杯飲もうと水を注ぐ。
「斑鳩、今の状況は分かっているか?」
「いいえ」
桐条に端的に返した。注いだ水へ口を付ける。
「時の狭間ってのをどうにかしないと明日が来ないんだそうだ」
俺に似た男の言葉にグラスへ口を付けたまま振り返れば、男は腕組みをして俺を見ていた。
「……それがどうした」
「どうしたって……君ねぇ!」
「どうせ明日が来たって何も変わんねぇだろぉ。あんた等は落ち込んでばっかりだし湊さんが帰ってくるでもなし。……せめて十年バズーカでも持って来いってんだぁ」
「十年……何?」
「お前だって何もしていないくせに」
水を飲み干して男を睨む。男は見下すような態度で俺を見ていて、周りのアイギス達は意味が分からないと言った様子で男と俺を見ていた。
そのどちらもに腹が立つ。『何もしていない』とは失礼な。
今だって俺は『考え続けている』。あの人を救う方法を。
既に五千九百六十二回は考えて無理だと結論が出ているが、残りの那由他以上の数の考察を無ければならない。俺のこの頭はそれが出来る。だからやる。
どうにか救う方法を探さなければ。肉体が死んだって魂は死んでいない。ならそこへきっと希望を見出せるはずだ。その為ならこんな体いらない。頭痛が酷かろうが鼻血が出ようが脳の血管が千切れようが高熱が出ようが構わなかった。
男が溜息を吐く。
「お前それ、逃避だとは分かってますか?」
「逃避?」
「いくら理論だけを考えたところで『あの人』は救えない。それに色々考えてはいるけど『あの人』を救う方法、一つはもう分かってるんだろぉ?」
男の言葉に誰かが息を呑んだ。空になったグラスがミシリときしむ。