ペルソナ3
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宇宙空間のような、そうではないような場所で目を開けた。
周囲に瞬くのは星か、それとも小さな命の輝きか。アマネには良く分からなかった。
美鶴達の姿はあるが、有里の姿は見当たらない。山岸が探索してみるが何も、痕跡すら見つけられないようだった。
出て来てくれと、姿を見せてくれと叫ぶ伊織達の声を聞きながらアマネは最後に有里の服を掴んでいた手を見下ろす。掴んでいた名残も何も有りはしない手だが、その手こそ最後に有里を引きとめようとした手だ。
不意に望月の声が聞こえて顔を上げた。望月の姿も有里と同じく見つからず、反響してどこから聞こえているのかも分からない声が続く。
「この宇宙で、僕は再び、眠りへと還る。今度こそ、本当の日常が戻ってくるよ。君たちにも……『彼』にもね」
彼、とは有里のことだろう。それ以外に無い。
「彼は……『命の答え』に辿り着いたんだ。ただそれが、君たちより一足早かった。それだけの事さ」
「命の……答え……」
「アイギス……君だって、いつか辿り着ける。君はもう、かけがえの無い『命』なんだ。誰にとってもね。あとは君自身が気付くだけでいい……絆の力が、君をどう変えたのかって事に」
望月の姿は、何度探しても見つからなかった。
彼も眠ってしまうのなら、彼を救おうとしていたアマネの滑稽なこと。有里の姿も無く、結局アマネは何も出来なかった。
もしかしたら、しようとさえしていなかったのかもしれない。
「また、いつか会おう……」
望月が最後の別れの言葉を告げる。それに顔を上げたところでやはり望月の姿も気配も、断片すらも見つけることは出来なかった。
それでも無我夢中に伸ばした手の先に、タルタロスの入り口。
いつの間にかタルタロスの頂上からその戻された場所へ、アマネだけではなく岳羽達も戸惑いを浮かべていた。
鐘の音と共にタルタロスが崩れ空へと消えていく。再び元の満月へと戻った月。そこに禍々しくも神秘的ですらあった造形物の姿は無くなり、元通りの学校が存在している。
元通りになったというのにあまり嬉しくなかったのは、望月が一方的な別れしかしなかったからだろうか。力なく降ろした腕。
校内から有里が歩いてくる。
駆け寄っていく仲間達と一緒にアマネも有里へと駆け寄った。有里が戻ってきた事に安心してか、機械であるはずのアイギスまで涙を溢す。
綺麗な涙だった。
「どうしよう、止まらない……お、おかしいですね……」
泣き止もうとするアイギスの背へ手を添えて、アマネは微笑んだ。
「無理に泣き止まなくていいですよ。もう、どれだけ泣いたっていいんです」
「……そうですね」
涙を拭いながら泣き続ける彼女が、一瞬『人』に見えた。
周囲に瞬くのは星か、それとも小さな命の輝きか。アマネには良く分からなかった。
美鶴達の姿はあるが、有里の姿は見当たらない。山岸が探索してみるが何も、痕跡すら見つけられないようだった。
出て来てくれと、姿を見せてくれと叫ぶ伊織達の声を聞きながらアマネは最後に有里の服を掴んでいた手を見下ろす。掴んでいた名残も何も有りはしない手だが、その手こそ最後に有里を引きとめようとした手だ。
不意に望月の声が聞こえて顔を上げた。望月の姿も有里と同じく見つからず、反響してどこから聞こえているのかも分からない声が続く。
「この宇宙で、僕は再び、眠りへと還る。今度こそ、本当の日常が戻ってくるよ。君たちにも……『彼』にもね」
彼、とは有里のことだろう。それ以外に無い。
「彼は……『命の答え』に辿り着いたんだ。ただそれが、君たちより一足早かった。それだけの事さ」
「命の……答え……」
「アイギス……君だって、いつか辿り着ける。君はもう、かけがえの無い『命』なんだ。誰にとってもね。あとは君自身が気付くだけでいい……絆の力が、君をどう変えたのかって事に」
望月の姿は、何度探しても見つからなかった。
彼も眠ってしまうのなら、彼を救おうとしていたアマネの滑稽なこと。有里の姿も無く、結局アマネは何も出来なかった。
もしかしたら、しようとさえしていなかったのかもしれない。
「また、いつか会おう……」
望月が最後の別れの言葉を告げる。それに顔を上げたところでやはり望月の姿も気配も、断片すらも見つけることは出来なかった。
それでも無我夢中に伸ばした手の先に、タルタロスの入り口。
いつの間にかタルタロスの頂上からその戻された場所へ、アマネだけではなく岳羽達も戸惑いを浮かべていた。
鐘の音と共にタルタロスが崩れ空へと消えていく。再び元の満月へと戻った月。そこに禍々しくも神秘的ですらあった造形物の姿は無くなり、元通りの学校が存在している。
元通りになったというのにあまり嬉しくなかったのは、望月が一方的な別れしかしなかったからだろうか。力なく降ろした腕。
校内から有里が歩いてくる。
駆け寄っていく仲間達と一緒にアマネも有里へと駆け寄った。有里が戻ってきた事に安心してか、機械であるはずのアイギスまで涙を溢す。
綺麗な涙だった。
「どうしよう、止まらない……お、おかしいですね……」
泣き止もうとするアイギスの背へ手を添えて、アマネは微笑んだ。
「無理に泣き止まなくていいですよ。もう、どれだけ泣いたっていいんです」
「……そうですね」
涙を拭いながら泣き続ける彼女が、一瞬『人』に見えた。