ペルソナ3
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約束の大晦日が来た。
寮生は揃って既に決めているようで、誰もうろたえたり今更になって戸惑ったりする様子は無い。アマネもここまで来たらもう何もするつもりは無かった。
「もしもし、叔父さんですか。お久しぶりです」
自室で自分の後見人である叔父へと電話を掛ける。帰れない事を詫びる電話だったが叔父の声は始終穏やかで、夏休みも帰らず冬休みにも帰らない甥をどう思っているのか知らないが、平穏な正月を過ごしてほしいと思う。
叔父の声の後ろからあまり聞きたくない従妹の声が聞こえて、アマネは叔父への挨拶もおざなりに通話を終わらせた。もしあのまま話をしていたら、叔父のことだから従妹の我儘を聞いて電話を変わると言い出しかねない。
通話の切れた携帯を降ろして、アマネは何となく笑ってしまった。人類や世界が滅ぶかどうかの選択をしなければならない日になっても、苦手なものは苦手なままである事が妙におかしい。
そういえば『いつも』そんなものだったなと思い出して、アマネは昼食を作る為に部屋を出た。
「あ、アマネさん。ちょうど良かった。捨ててもいい雑巾ってあります?」
「雑巾なら物置の右手側の棚に入ってるぜぇ。大掃除?」
「もう仕上げです。アマネさんはお昼の仕度ですか?」
「んー何が食いてぇ? 夕食は年越し蕎麦だけどぉ」
「じゃあご飯物がいいです」
頭にタオルを巻いて袖捲くりをしている天田が物置へと駆けていく。寮で共同に使っている場所はアマネがこの数日であらかた掃除してしまっていたから、寮生は自室の掃除だけでいい筈だ。
美鶴からは苦笑しながら『掃除会社に依頼しなくて済むな』と言われていたが、そもそも美鶴はいわゆるお嬢様なわけで、自室の掃除が自力で出来るのだろうかと疑問に思う。しかし自室だけの掃除で掃除会社を呼ぶわけにもいくまい。
「……さり気無く聞き出すべきかぁ?」
他の寮生達も自室の掃除に勤しんでいるのか、頭上からはドタバタと音がしている。
それがまるで、『遺品整理のようだ』と思ってしまった思考には蓋をした。遺品整理などまだまだ先でいい。
コロマルが落ち込んだ様子でトボトボとキッチンへ入ってくる。アマネの足へ擦り寄ってきたコロマルに、アマネはその理由を察して思わず笑った。
「お前手伝えねぇもんなぁ。今日はコロマルの出番は無さそうだなぁ」
鼻を鳴らしてアマネを見上げるコロマルの頭を撫でる。コロマルは自分の寝床以外に部屋はないし、犬なので手伝う事も出来やしない。
その寝床だって、数日前にアマネが掃除済みだ。
「昼食食ったら、一緒に散歩行こうなぁ。明日の御節の買い忘れを買いに行かなくちゃ行けねぇんだぁ」
「ワンッ」
寮生は揃って既に決めているようで、誰もうろたえたり今更になって戸惑ったりする様子は無い。アマネもここまで来たらもう何もするつもりは無かった。
「もしもし、叔父さんですか。お久しぶりです」
自室で自分の後見人である叔父へと電話を掛ける。帰れない事を詫びる電話だったが叔父の声は始終穏やかで、夏休みも帰らず冬休みにも帰らない甥をどう思っているのか知らないが、平穏な正月を過ごしてほしいと思う。
叔父の声の後ろからあまり聞きたくない従妹の声が聞こえて、アマネは叔父への挨拶もおざなりに通話を終わらせた。もしあのまま話をしていたら、叔父のことだから従妹の我儘を聞いて電話を変わると言い出しかねない。
通話の切れた携帯を降ろして、アマネは何となく笑ってしまった。人類や世界が滅ぶかどうかの選択をしなければならない日になっても、苦手なものは苦手なままである事が妙におかしい。
そういえば『いつも』そんなものだったなと思い出して、アマネは昼食を作る為に部屋を出た。
「あ、アマネさん。ちょうど良かった。捨ててもいい雑巾ってあります?」
「雑巾なら物置の右手側の棚に入ってるぜぇ。大掃除?」
「もう仕上げです。アマネさんはお昼の仕度ですか?」
「んー何が食いてぇ? 夕食は年越し蕎麦だけどぉ」
「じゃあご飯物がいいです」
頭にタオルを巻いて袖捲くりをしている天田が物置へと駆けていく。寮で共同に使っている場所はアマネがこの数日であらかた掃除してしまっていたから、寮生は自室の掃除だけでいい筈だ。
美鶴からは苦笑しながら『掃除会社に依頼しなくて済むな』と言われていたが、そもそも美鶴はいわゆるお嬢様なわけで、自室の掃除が自力で出来るのだろうかと疑問に思う。しかし自室だけの掃除で掃除会社を呼ぶわけにもいくまい。
「……さり気無く聞き出すべきかぁ?」
他の寮生達も自室の掃除に勤しんでいるのか、頭上からはドタバタと音がしている。
それがまるで、『遺品整理のようだ』と思ってしまった思考には蓋をした。遺品整理などまだまだ先でいい。
コロマルが落ち込んだ様子でトボトボとキッチンへ入ってくる。アマネの足へ擦り寄ってきたコロマルに、アマネはその理由を察して思わず笑った。
「お前手伝えねぇもんなぁ。今日はコロマルの出番は無さそうだなぁ」
鼻を鳴らしてアマネを見上げるコロマルの頭を撫でる。コロマルは自分の寝床以外に部屋はないし、犬なので手伝う事も出来やしない。
その寝床だって、数日前にアマネが掃除済みだ。
「昼食食ったら、一緒に散歩行こうなぁ。明日の御節の買い忘れを買いに行かなくちゃ行けねぇんだぁ」
「ワンッ」