ペルソナ3
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始業式が終わり、冬休みになっても日常は怖いくらいに平凡だった。日本はすぐにクリスマスから正月へと雰囲気を一掃させ、その慌ただしさがイタリア生まれでもあるアマネはどうにも慣れない。
大晦日が決断の日だが大掃除はしておくべきだろうと、普段は掃除しない場所から掃除と整理をしてみても、何だか遺品整理のようで落ち着かなかった。
久しぶりに入った荒垣の部屋は、定期的に入って掃除していたとはいえ人の出入りが少ないせいで埃臭い。荒垣が居たら今頃腕まくりして掃除しているのだろうなと考えたら、アマネは手を動かす気がなくなりベッドへと腰を降ろした。
皺一つ無くセッテングされていたベッドも、荒垣が居なくなってからはアマネが定期的に洗濯してやっていたものである。
望月が言った大晦日まで後数日。もう片手で数えられる程の日時しかない。
座った姿勢のまま横へ倒れて、ポケットからメモを取り出す。それを書いたのはこの部屋の主だ。
『イブリス 固い意思を貫いた。忠誠の徒。斑鳩のペルソナ。火から生まれた。最期のときまで』
そして二重線で消されている言葉。『傲慢』
「……最期のときまで、かぁ」
浮かんだ苦笑の理由が自分ですら分からなかった。
部屋の外からアマネを呼ぶ声と騒ぐ声がする。伊織と天田のものらしいそれに、起き上がってアマネは荒垣の部屋を出た。後ろ手に閉めたドアの向こうには誰も居ない。
ラウンジの方から聞こえた二人の声に階段を降りていけば、二人は困ったようにキッチンから顔を出していた。
「どうしたんですか?」
「どうしたじゃねーよ! 湊がオレらの分まで昼飯食っちゃったんですけど!」
「ああ、大丈夫ですよ。それ全部湊さんの分で先輩や天田の分は他に取ってありますから」
「え、この量で……?」
唖然とする天田の視線の先では有里が、大皿に重ねられたお好み焼きを平らげていっている。
冷蔵庫の中身を整理するついでにと思って賞味期限がギリギリだったりした残り物をぶっこんだお好み焼きだが、これでは新年になる前にソースも買い直しした方が良さそうだ。
「御節入れるスペースが出来て本当良かったぁ」
「……運命の決断迫ってても、お前マイペースな」
「失礼ですねぇ。悩んでても腹は膨れねぇって知ってるだけじゃねぇですかぁ」
「まあ、そうだろうけどさ」
「それにどう決断しようと正月自体は絶対来るんですから、だったら俺は大掃除も正月の準備もしますってぇ」
「強いですねアマネさんは」
天田の言葉にアマネは、やっぱり苦笑しか出来なかった。
大晦日が決断の日だが大掃除はしておくべきだろうと、普段は掃除しない場所から掃除と整理をしてみても、何だか遺品整理のようで落ち着かなかった。
久しぶりに入った荒垣の部屋は、定期的に入って掃除していたとはいえ人の出入りが少ないせいで埃臭い。荒垣が居たら今頃腕まくりして掃除しているのだろうなと考えたら、アマネは手を動かす気がなくなりベッドへと腰を降ろした。
皺一つ無くセッテングされていたベッドも、荒垣が居なくなってからはアマネが定期的に洗濯してやっていたものである。
望月が言った大晦日まで後数日。もう片手で数えられる程の日時しかない。
座った姿勢のまま横へ倒れて、ポケットからメモを取り出す。それを書いたのはこの部屋の主だ。
『イブリス 固い意思を貫いた。忠誠の徒。斑鳩のペルソナ。火から生まれた。最期のときまで』
そして二重線で消されている言葉。『傲慢』
「……最期のときまで、かぁ」
浮かんだ苦笑の理由が自分ですら分からなかった。
部屋の外からアマネを呼ぶ声と騒ぐ声がする。伊織と天田のものらしいそれに、起き上がってアマネは荒垣の部屋を出た。後ろ手に閉めたドアの向こうには誰も居ない。
ラウンジの方から聞こえた二人の声に階段を降りていけば、二人は困ったようにキッチンから顔を出していた。
「どうしたんですか?」
「どうしたじゃねーよ! 湊がオレらの分まで昼飯食っちゃったんですけど!」
「ああ、大丈夫ですよ。それ全部湊さんの分で先輩や天田の分は他に取ってありますから」
「え、この量で……?」
唖然とする天田の視線の先では有里が、大皿に重ねられたお好み焼きを平らげていっている。
冷蔵庫の中身を整理するついでにと思って賞味期限がギリギリだったりした残り物をぶっこんだお好み焼きだが、これでは新年になる前にソースも買い直しした方が良さそうだ。
「御節入れるスペースが出来て本当良かったぁ」
「……運命の決断迫ってても、お前マイペースな」
「失礼ですねぇ。悩んでても腹は膨れねぇって知ってるだけじゃねぇですかぁ」
「まあ、そうだろうけどさ」
「それにどう決断しようと正月自体は絶対来るんですから、だったら俺は大掃除も正月の準備もしますってぇ」
「強いですねアマネさんは」
天田の言葉にアマネは、やっぱり苦笑しか出来なかった。