ペルソナ3
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埋め終えた解答欄を確認して顔を上げれば、試験監督をしている教師と目が合ってしまった。カンニング扱いされなければいいがと愛想笑いを返して、机へ突っ伏す。
次の瞬間にはベルベットルームだった。
「……試験中なんで、放課後に連絡寄越すとかそういう事をして欲しかったなぁ」
「おや、配慮が足りませんでしたな」
全く申し訳無さそうにしていないイゴールの隣では、エリザベスが相変わらずといった様子で微笑んでいる。まぁ来てしまったものは仕方ないし、現実では眠っているように見られているだけだろうと思ってイゴールの向かいへと腰を降ろした。
「で、俺を呼んだ理由を聞いてもぉ?」
「先日来訪なされた時のお話ですが、これだけは言っておこうかと思いまして」
どうやらイゴール直々の呼び出しだったらしい。いつもはアマネのほうから話しかけるパターンが多かったので、どうにも珍しく思う。
「私は、自分が『何』であるのかをずっと考え続けております」
「『何』か。……デカルト?」
「『Cogito, ergo sum』ですか。解釈的には如何なものでしょうな」
「俺は結構好きだぜぇ。この言葉の響きは」
「左様ですか。……さて、考え続けているという事実において、ご理解頂けることがあると思います」
「分かるまで考え続ける、ってことかぁ?」
イゴールが笑った。
「思考の海は深く、また広く予想も着かない事がありましょう」
「俺もそうであると?」
「それは私には存じえぬことでございます。しかして、過信や驕りによる悔いは、誰に対しても起こりうるものでしょう」
聞いていて少し苛々したのは、自分が思い上がっていると言われたからか。
何に対してそう言われているのか分からないが、深く息を吐くことでその苛々を無理やり沈め、アマネは真っ直ぐにイゴールを見つめる。そうしたところで俯いているイゴールとは目が合わないが。
「それでも俺は、綾時さんを『犠牲』になんざしたくねぇ」
カタリ、と音がして気付けば試験中の教室へ戻っていた。壁に掛かっている時計を見れば数十分と経っていない。
いきなり顔を上げた事で試験監督の教師に見られたが、教師は既にアマネが解答欄を埋め終わっていることを分かっているらしく何も言わずに顔を逸らす。
こちらの都合も深く考えないままに、イゴールはあれをアマネへ言いたかったのだろうかと考えながら、再び机へと突っ伏して目を閉じた。
だとしたら、多分アマネが今聞いておかなければいけない話だったのだろう。けれども結局よく分からなかったなと、アマネは試験用紙の端にデカルトの言葉を走り書きする。
このくらいの落書きなら、教師も許してくれるはずだ。
次の瞬間にはベルベットルームだった。
「……試験中なんで、放課後に連絡寄越すとかそういう事をして欲しかったなぁ」
「おや、配慮が足りませんでしたな」
全く申し訳無さそうにしていないイゴールの隣では、エリザベスが相変わらずといった様子で微笑んでいる。まぁ来てしまったものは仕方ないし、現実では眠っているように見られているだけだろうと思ってイゴールの向かいへと腰を降ろした。
「で、俺を呼んだ理由を聞いてもぉ?」
「先日来訪なされた時のお話ですが、これだけは言っておこうかと思いまして」
どうやらイゴール直々の呼び出しだったらしい。いつもはアマネのほうから話しかけるパターンが多かったので、どうにも珍しく思う。
「私は、自分が『何』であるのかをずっと考え続けております」
「『何』か。……デカルト?」
「『Cogito, ergo sum』ですか。解釈的には如何なものでしょうな」
「俺は結構好きだぜぇ。この言葉の響きは」
「左様ですか。……さて、考え続けているという事実において、ご理解頂けることがあると思います」
「分かるまで考え続ける、ってことかぁ?」
イゴールが笑った。
「思考の海は深く、また広く予想も着かない事がありましょう」
「俺もそうであると?」
「それは私には存じえぬことでございます。しかして、過信や驕りによる悔いは、誰に対しても起こりうるものでしょう」
聞いていて少し苛々したのは、自分が思い上がっていると言われたからか。
何に対してそう言われているのか分からないが、深く息を吐くことでその苛々を無理やり沈め、アマネは真っ直ぐにイゴールを見つめる。そうしたところで俯いているイゴールとは目が合わないが。
「それでも俺は、綾時さんを『犠牲』になんざしたくねぇ」
カタリ、と音がして気付けば試験中の教室へ戻っていた。壁に掛かっている時計を見れば数十分と経っていない。
いきなり顔を上げた事で試験監督の教師に見られたが、教師は既にアマネが解答欄を埋め終わっていることを分かっているらしく何も言わずに顔を逸らす。
こちらの都合も深く考えないままに、イゴールはあれをアマネへ言いたかったのだろうかと考えながら、再び机へと突っ伏して目を閉じた。
だとしたら、多分アマネが今聞いておかなければいけない話だったのだろう。けれども結局よく分からなかったなと、アマネは試験用紙の端にデカルトの言葉を走り書きする。
このくらいの落書きなら、教師も許してくれるはずだ。