ペルソナ3
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修学旅行に引き続き、約一週間の職業体験学習で校内に二年生がいなくなったものの、修学旅行と違って教員は居る為に自習や時間割変更は少ない。大抵が近場の店なので、一年生と三年生の生徒からは、放課後になれば働いている様子が見られるのではと好奇心に駆られて学校を飛び出していく姿もあった。
アマネも佐藤に誘われ初日だけ有里が体験学習で行っているらしいワイルダックへ行ったが、裏方の仕事をやらされているらしく有里以外にも学生の姿は見当たらない。佐藤は残念そうだったが、来年は自分達がそうやって見られる側だと言ったところ黙り込んだ。
寮に帰って二階へ上がれば、伊織の部屋の前に空になった皿とお盆が見える。あれから最低限にしか出てこない伊織を心配し、せめて食事だけはと置いておいたものだ。
以前にも有里と喧嘩した伊織が食事の席に来ない事があったが、流石に今回は部屋に押しかけて引きずり出す訳にもいかない。食べてくれているだけ重畳かと、それを回収して一度自室へ戻る。いつまでも床に置いておくのもどうかと思ったのだ。
制服を着替えて一階へ降りれば、真田が天田と話をしていた。付けっぱなしのテレビからは病院から行方不明になった少女がどうのと流れている。
「帰ってたのか。……それは?」
「伊織先輩の昼食として置いていったヤツです。一応ちゃんと食べてくれてますよ」
「そうか。そうだろうな……」
その先の言葉が言い出せないというように口を噤む真田に、アマネも曖昧な笑みしか浮かべられなかった。
食べる事は生きる事に繋がる。せっかく彼女から貰った命を、食べずにすり減らすなんて真似が今の伊織に出来るとも思えない。
どうしようもなく悲しいのに、死んではいけないという事が辛いのはアマネにも分からないでもなかった。それで命を救われたこともある身だ。『彼女』の立場だった事もあったけれど。
しんみりとしてしまった空気を破るように、体験学習の一日目を終わらせた二年生達が帰ってくる。自室へ戻らずラウンジのソファへ座り込む岳羽と山岸に、とりあえずお茶を淹れると声を掛ければ、有里と真田、天田の三人が自分にもと頼んできた。
キッチンへ向かえばアイギスが手伝いに来る。
「体験学習の一日目はどうでしたか?」
「大変だったであります。……あ、と……大変でした」
何故かアイギスは言い直した。カップを置いて振り返ればアイギスはその事を気にした様子も無かったので、多分バグとか不具合がある訳では無いのだろう。
「アマネさんは将来どんな仕事に就かれることを考えているでありますか?」
「……まともな職なら何でもいいかと思ってます」
言われて気付いたが、『昔』も含めてまともな職に就いたことがなかった。
アマネも佐藤に誘われ初日だけ有里が体験学習で行っているらしいワイルダックへ行ったが、裏方の仕事をやらされているらしく有里以外にも学生の姿は見当たらない。佐藤は残念そうだったが、来年は自分達がそうやって見られる側だと言ったところ黙り込んだ。
寮に帰って二階へ上がれば、伊織の部屋の前に空になった皿とお盆が見える。あれから最低限にしか出てこない伊織を心配し、せめて食事だけはと置いておいたものだ。
以前にも有里と喧嘩した伊織が食事の席に来ない事があったが、流石に今回は部屋に押しかけて引きずり出す訳にもいかない。食べてくれているだけ重畳かと、それを回収して一度自室へ戻る。いつまでも床に置いておくのもどうかと思ったのだ。
制服を着替えて一階へ降りれば、真田が天田と話をしていた。付けっぱなしのテレビからは病院から行方不明になった少女がどうのと流れている。
「帰ってたのか。……それは?」
「伊織先輩の昼食として置いていったヤツです。一応ちゃんと食べてくれてますよ」
「そうか。そうだろうな……」
その先の言葉が言い出せないというように口を噤む真田に、アマネも曖昧な笑みしか浮かべられなかった。
食べる事は生きる事に繋がる。せっかく彼女から貰った命を、食べずにすり減らすなんて真似が今の伊織に出来るとも思えない。
どうしようもなく悲しいのに、死んではいけないという事が辛いのはアマネにも分からないでもなかった。それで命を救われたこともある身だ。『彼女』の立場だった事もあったけれど。
しんみりとしてしまった空気を破るように、体験学習の一日目を終わらせた二年生達が帰ってくる。自室へ戻らずラウンジのソファへ座り込む岳羽と山岸に、とりあえずお茶を淹れると声を掛ければ、有里と真田、天田の三人が自分にもと頼んできた。
キッチンへ向かえばアイギスが手伝いに来る。
「体験学習の一日目はどうでしたか?」
「大変だったであります。……あ、と……大変でした」
何故かアイギスは言い直した。カップを置いて振り返ればアイギスはその事を気にした様子も無かったので、多分バグとか不具合がある訳では無いのだろう。
「アマネさんは将来どんな仕事に就かれることを考えているでありますか?」
「……まともな職なら何でもいいかと思ってます」
言われて気付いたが、『昔』も含めてまともな職に就いたことがなかった。