ペルソナ3
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「あれ、アマネ君だ」
修学旅行から有里達が帰ってきた翌日、寮へ帰ると望月が居た。相変わらず黄色いマフラーを巻いた姿に、アマネはどうしてここに居るのかと不思議に思いながらも無難に挨拶をする。
「こんにちは綾時さん」
「うん。こんにちは。順平君に誘われて来たんだけど、アマネ君もここに住んでるの?」
「ええ、一年は俺だけですけど」
「そうなんだ。いいなぁ、アマネ君と一緒かぁ。順平君が羨ましいな」
本気でそう思っているらしい望月の後ろで、キッチンから伊織が顔を出した。手に急須を持っているところを見ると、お茶でも淹れようとしていたのだろう。
「おいリョージ、お前日本茶……お、斑鳩お帰りー」
「ただいまです。お茶なら俺が淹れて持って行きますよ。伊織先輩の部屋でいいですか?」
「マジ? じゃあ頼むわ」
一度キッチンへ引っ込んだ伊織が急須を置いて出てくる。それから望月を伴って階段を上がっていくのを見送れば、コロマルがアマネの足元へ寄ってきて鳴いた。帰宅の挨拶をされたのだろうと思うことにして頭を撫でてやり、そのままキッチンへ向かう。
この寮へ住んでいる寮生が、誰か友人を連れてくることは珍しかった。
それはおそらく、自分達が『ペルソナ使い』であることや『影時間』『特別課外活動』などが理由なのだろう。下手に友人を招いて、シャドウを倒すのに使っている武器や召喚器を見られては困るというものだ。
伊織もその辺は分かっている筈なのだが、まぁちゃんと隠していれば問題も無いだろう。
淹れたお茶と買い置きしてあったお茶菓子をお盆へ載せて、伊織の部屋へ向かおうと階段を上がっていれば、上から望月が降りてきた。
「僕が持つよ」
「普通伊織先輩が取りに来るもんじゃねぇですか?」
「ううん、僕が行ってくるっていったから。……あのねアマネ君、これ」
お盆を受け取った望月が、恥ずかしげにポケットから何かを取り出して差し出してくる。然程大きくも無い紙袋には京都の土産物屋らしい名前が印刷してあり、中に何が入っているのか分からないが膨らんでいた。
「……俺に、ですか?」
「うん」
受け取って中身を取り出してみれば、ちりめん作りの人形が付いたキーホルダーである。
「どうしようか凄く悩んだんだけど、悩むくらいなら買ったほうが良いって言われて。本当は学校で渡そうと思ってたんだけど、その……貰ってくれる?」
怒られるかもしれないと怯える子供のような目で見つめてくる望月に、アマネは肩に提げていた鞄を持ち上げてチャックの部分へキーホルダーを取り付けた。上から来たのでアマネよりも数段上へ居るにも関わらず、上目遣い気味にアマネの態度を窺っていた望月は、鞄に取り付けられたキーホルダーを見てキョトンとした表情をする。
それがちょっと可愛いと思ってしまった。相手が年上でなければ、多分その頭を撫でていただろう。
「どうですか?」
「……男の子が持つにはちょっと可愛い過ぎたかな」
「そうですか。でもコレはもう俺が貰ったので。ありがとうございます」
「! ……うんっ」
まだ二度、それも修学旅行前に初めて出会ったばかりの後輩にお土産を買ってくるとは、と呆れなくもないが、目の前の望月は受け取ってもらえて酷く嬉しそうだった。
修学旅行から有里達が帰ってきた翌日、寮へ帰ると望月が居た。相変わらず黄色いマフラーを巻いた姿に、アマネはどうしてここに居るのかと不思議に思いながらも無難に挨拶をする。
「こんにちは綾時さん」
「うん。こんにちは。順平君に誘われて来たんだけど、アマネ君もここに住んでるの?」
「ええ、一年は俺だけですけど」
「そうなんだ。いいなぁ、アマネ君と一緒かぁ。順平君が羨ましいな」
本気でそう思っているらしい望月の後ろで、キッチンから伊織が顔を出した。手に急須を持っているところを見ると、お茶でも淹れようとしていたのだろう。
「おいリョージ、お前日本茶……お、斑鳩お帰りー」
「ただいまです。お茶なら俺が淹れて持って行きますよ。伊織先輩の部屋でいいですか?」
「マジ? じゃあ頼むわ」
一度キッチンへ引っ込んだ伊織が急須を置いて出てくる。それから望月を伴って階段を上がっていくのを見送れば、コロマルがアマネの足元へ寄ってきて鳴いた。帰宅の挨拶をされたのだろうと思うことにして頭を撫でてやり、そのままキッチンへ向かう。
この寮へ住んでいる寮生が、誰か友人を連れてくることは珍しかった。
それはおそらく、自分達が『ペルソナ使い』であることや『影時間』『特別課外活動』などが理由なのだろう。下手に友人を招いて、シャドウを倒すのに使っている武器や召喚器を見られては困るというものだ。
伊織もその辺は分かっている筈なのだが、まぁちゃんと隠していれば問題も無いだろう。
淹れたお茶と買い置きしてあったお茶菓子をお盆へ載せて、伊織の部屋へ向かおうと階段を上がっていれば、上から望月が降りてきた。
「僕が持つよ」
「普通伊織先輩が取りに来るもんじゃねぇですか?」
「ううん、僕が行ってくるっていったから。……あのねアマネ君、これ」
お盆を受け取った望月が、恥ずかしげにポケットから何かを取り出して差し出してくる。然程大きくも無い紙袋には京都の土産物屋らしい名前が印刷してあり、中に何が入っているのか分からないが膨らんでいた。
「……俺に、ですか?」
「うん」
受け取って中身を取り出してみれば、ちりめん作りの人形が付いたキーホルダーである。
「どうしようか凄く悩んだんだけど、悩むくらいなら買ったほうが良いって言われて。本当は学校で渡そうと思ってたんだけど、その……貰ってくれる?」
怒られるかもしれないと怯える子供のような目で見つめてくる望月に、アマネは肩に提げていた鞄を持ち上げてチャックの部分へキーホルダーを取り付けた。上から来たのでアマネよりも数段上へ居るにも関わらず、上目遣い気味にアマネの態度を窺っていた望月は、鞄に取り付けられたキーホルダーを見てキョトンとした表情をする。
それがちょっと可愛いと思ってしまった。相手が年上でなければ、多分その頭を撫でていただろう。
「どうですか?」
「……男の子が持つにはちょっと可愛い過ぎたかな」
「そうですか。でもコレはもう俺が貰ったので。ありがとうございます」
「! ……うんっ」
まだ二度、それも修学旅行前に初めて出会ったばかりの後輩にお土産を買ってくるとは、と呆れなくもないが、目の前の望月は受け取ってもらえて酷く嬉しそうだった。