ペルソナ3
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「彼はダメであります」
「アイギスさん?」
寮へ先に帰ってきていたアイギスへ声を掛けるなり、アイギスは何かに気付いた様子でそう言ってきた。
思わず呆気に取られていると、ハッとしてアイギスが謝ってくる。
「ごめんなさい。でも彼はダメであります」
「あー、またアイギスそれ言ってるの?」
落ち込んだ様子のアイギスへ、通り掛かった岳羽が呆れたように声を掛けた。どういう事かとアマネが視線で尋ねれば岳羽が肩を竦める。
「なんかね、この前転校してきた望月綾時君にそればっかり言ってるんだよね。特に有里くんに近付けさせようとしないっていうか」
「綾時さんに?」
「知り合い?」
「いえ、今日屋上で会ったんです。初めて会ったんですけど、馬が合ったというか」
屋上と聞いて岳羽は何かを納得したようだった。アイギスは申し訳無さそうにしながらも、断固として『ダメだ』と言い募っている。
その理由は流石にアマネには分からない。クラスどころか学年も違うし、接点だって今まで無かった相手だ。アマネの知らないところで望月とアイギスの間に何かがあったのかも知れないし、何かと勘違いしている可能性だって、アイギスが機械だとしてもあるだろう。
ましてやアイギスは、自分がそう言ってしまう理由すら理解出来ていないようだった。ちゃんとした『人』であれば、なんとなく気に食わないとかそういった漠然とした理由でも、口にしてくれれば納得は出来る。
しかし彼女はそういう漠然としたものや、抽象的な事柄に対する理解がまだ足りない。
その弊害が、望月の件だけではなく来週からの修学旅行へ対しても出ているようだった。
「旅行の意図が理解出来ないであります。アマネさん。旅行は何の為に必要でありますか?」
夕食後、食器の片付けを手伝ってくれていたアイギスに尋ねられ、アマネは冷蔵庫の扉を閉める。
「そうですねぇ。ちなみに『修学旅行』の意味は分かっていますか?」
「生徒へ日常経験しない土地の自然、文化などを見聞学習させる為の日本独特の学校行事であります」
「要点は『日常経験しない』だと思っていいんじゃねぇですかねぇ。普段とは違う行動をする事によって、人は気分の転換を図ります」
「気分転換ですか?」
「心理学だか精神医学だか忘れましたが、長時間の反復作用は人を狂わせます。マンネリズムの防止ですね」
アイギスが首を傾げた。アマネも上手い説明だとは思えない。
これが漠然とでも理解できるようになれば、より『人』らしくなれるという事だろうか。そもそもの『人』であるアマネや、他の皆が上手く説明できず、曖昧に感覚的に理解している。
「この場合一週間定期で行われている、学校生活というマンネリズムからの脱却なんでしょう」
「……なるほどなー」
「アイギスさん?」
寮へ先に帰ってきていたアイギスへ声を掛けるなり、アイギスは何かに気付いた様子でそう言ってきた。
思わず呆気に取られていると、ハッとしてアイギスが謝ってくる。
「ごめんなさい。でも彼はダメであります」
「あー、またアイギスそれ言ってるの?」
落ち込んだ様子のアイギスへ、通り掛かった岳羽が呆れたように声を掛けた。どういう事かとアマネが視線で尋ねれば岳羽が肩を竦める。
「なんかね、この前転校してきた望月綾時君にそればっかり言ってるんだよね。特に有里くんに近付けさせようとしないっていうか」
「綾時さんに?」
「知り合い?」
「いえ、今日屋上で会ったんです。初めて会ったんですけど、馬が合ったというか」
屋上と聞いて岳羽は何かを納得したようだった。アイギスは申し訳無さそうにしながらも、断固として『ダメだ』と言い募っている。
その理由は流石にアマネには分からない。クラスどころか学年も違うし、接点だって今まで無かった相手だ。アマネの知らないところで望月とアイギスの間に何かがあったのかも知れないし、何かと勘違いしている可能性だって、アイギスが機械だとしてもあるだろう。
ましてやアイギスは、自分がそう言ってしまう理由すら理解出来ていないようだった。ちゃんとした『人』であれば、なんとなく気に食わないとかそういった漠然とした理由でも、口にしてくれれば納得は出来る。
しかし彼女はそういう漠然としたものや、抽象的な事柄に対する理解がまだ足りない。
その弊害が、望月の件だけではなく来週からの修学旅行へ対しても出ているようだった。
「旅行の意図が理解出来ないであります。アマネさん。旅行は何の為に必要でありますか?」
夕食後、食器の片付けを手伝ってくれていたアイギスに尋ねられ、アマネは冷蔵庫の扉を閉める。
「そうですねぇ。ちなみに『修学旅行』の意味は分かっていますか?」
「生徒へ日常経験しない土地の自然、文化などを見聞学習させる為の日本独特の学校行事であります」
「要点は『日常経験しない』だと思っていいんじゃねぇですかねぇ。普段とは違う行動をする事によって、人は気分の転換を図ります」
「気分転換ですか?」
「心理学だか精神医学だか忘れましたが、長時間の反復作用は人を狂わせます。マンネリズムの防止ですね」
アイギスが首を傾げた。アマネも上手い説明だとは思えない。
これが漠然とでも理解できるようになれば、より『人』らしくなれるという事だろうか。そもそもの『人』であるアマネや、他の皆が上手く説明できず、曖昧に感覚的に理解している。
「この場合一週間定期で行われている、学校生活というマンネリズムからの脱却なんでしょう」
「……なるほどなー」