後日談2
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ペチペチと顔を叩かれる感覚を覚えて目を覚ます。目を開けた直後真っ先に視界を埋めた鋭利な角と獰猛そうな歯と、紅い目に既視感を覚えた。
仰向けに寝転がっていた自分の上へ乗っかり、ジッと顔を覗き込んで居たらしい。片手を伸ばしてその身体を捕まえて首を巡らせると、すぐ隣に白蘭が心地よさそうに眠っていた。
家具へ埃が被らないように布の掛けられている、使われていないらしい巌戸台分寮の一室だ。覚えのある家具の配置からして、一度目の世界でアマネが使っていた部屋と同じ作りである。
起き上がって隣の白蘭を起こさないように寝台から降りた。机の上には丁寧にアマネの腕輪やウォレットチェーン、召喚器とナイフ。それから匣が置かれていて、それらをゆっくり身に着けてからアマネは白蘭を揺り起こした。
「白蘭」
「――ん。……アマネチャン?」
「うん」
起き上がって目元を擦る白蘭が部屋を見回し、それからアマネとアマネの肩から身を乗り出しているエレボスを見やって、少し考えるようにボンヤリしてからアマネの手を掴む。アマネもそれを受け入れて何も言わず、白蘭を連れて部屋を出た。
分寮内、二階の男子部屋が並ぶ廊下。振り返った部屋の位置はやはりというべきか、今は空き部屋となっていたアマネの使っていた部屋だった。
白蘭と一緒に階段を降りていけば、ラウンジのソファやダイニングテーブルに突っ伏して桐条達が眠っている。点けっぱなしのテレビから『四月一日』の天気予報が流れていた。天気が良くなるらしい。
足音か気配に気付いたのかコロマルが耳を揺らし、伏せていた姿勢から頭をもたげる。そうしてアマネ達を見て立ち上がり、一度鳴いてから駆け寄ってきた。
コロマルの鳴き声に荒垣や山岸が目を覚まし、寝起きのボンヤリした顔で周りを見回す。それからアマネに気付いて目を見開いていた。
「アマネ君!」
「おまっ――アマネ!」
「ふぇ……あれ?」
「ちょっと、静かに……」
「……アマネ?」
次々に目を覚まし、アマネが居ることに驚く伊織達にアマネはコロマルを撫でながら苦笑を浮かべた。
皆がちゃんと『アマネの存在』を覚えている。消えてしまった筈のアマネを、彼等が思い出した。
それはつまり、彼と彼女が守ろうとした『世界』へアマネが戻ってきたということで。
桐条の携帯と伊織の携帯が殆ど同時に鳴り出す。それぞれが電話へ出て掛けてきた相手の話を聞き、驚きの声を上げるのにアマネはまだ暗い窓の外を見やった。有里が目を覚ましただの綾時だのと騒がしい。
点けっぱなしのテレビからは『“今日”も晴れるでしょう』と天気予報士の声が響き、続いて女性ニュースキャスターの声へと移り変わる。
『朝』が、くるのだ。
仰向けに寝転がっていた自分の上へ乗っかり、ジッと顔を覗き込んで居たらしい。片手を伸ばしてその身体を捕まえて首を巡らせると、すぐ隣に白蘭が心地よさそうに眠っていた。
家具へ埃が被らないように布の掛けられている、使われていないらしい巌戸台分寮の一室だ。覚えのある家具の配置からして、一度目の世界でアマネが使っていた部屋と同じ作りである。
起き上がって隣の白蘭を起こさないように寝台から降りた。机の上には丁寧にアマネの腕輪やウォレットチェーン、召喚器とナイフ。それから匣が置かれていて、それらをゆっくり身に着けてからアマネは白蘭を揺り起こした。
「白蘭」
「――ん。……アマネチャン?」
「うん」
起き上がって目元を擦る白蘭が部屋を見回し、それからアマネとアマネの肩から身を乗り出しているエレボスを見やって、少し考えるようにボンヤリしてからアマネの手を掴む。アマネもそれを受け入れて何も言わず、白蘭を連れて部屋を出た。
分寮内、二階の男子部屋が並ぶ廊下。振り返った部屋の位置はやはりというべきか、今は空き部屋となっていたアマネの使っていた部屋だった。
白蘭と一緒に階段を降りていけば、ラウンジのソファやダイニングテーブルに突っ伏して桐条達が眠っている。点けっぱなしのテレビから『四月一日』の天気予報が流れていた。天気が良くなるらしい。
足音か気配に気付いたのかコロマルが耳を揺らし、伏せていた姿勢から頭をもたげる。そうしてアマネ達を見て立ち上がり、一度鳴いてから駆け寄ってきた。
コロマルの鳴き声に荒垣や山岸が目を覚まし、寝起きのボンヤリした顔で周りを見回す。それからアマネに気付いて目を見開いていた。
「アマネ君!」
「おまっ――アマネ!」
「ふぇ……あれ?」
「ちょっと、静かに……」
「……アマネ?」
次々に目を覚まし、アマネが居ることに驚く伊織達にアマネはコロマルを撫でながら苦笑を浮かべた。
皆がちゃんと『アマネの存在』を覚えている。消えてしまった筈のアマネを、彼等が思い出した。
それはつまり、彼と彼女が守ろうとした『世界』へアマネが戻ってきたということで。
桐条の携帯と伊織の携帯が殆ど同時に鳴り出す。それぞれが電話へ出て掛けてきた相手の話を聞き、驚きの声を上げるのにアマネはまだ暗い窓の外を見やった。有里が目を覚ましただの綾時だのと騒がしい。
点けっぱなしのテレビからは『“今日”も晴れるでしょう』と天気予報士の声が響き、続いて女性ニュースキャスターの声へと移り変わる。
『朝』が、くるのだ。