後日談2
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
時の狭間から出る為の、砂漠の空間へ戻る為の扉は『兄さん』が繋がっている巨大な扉からアマネ達を挟んで正面へと立っていた。これを戻ればラウンジへ行ける筈で、アマネの記憶が確かならそのラウンジから外へ出ればいい。
アマネも戻ってきて、これで時の狭間は消える筈である。
「あ、ソウだアマネチャン。コレ」
「んぁ?」
扉へ向かう前に白蘭がポケットから何かを取り出して、最後だからと『兄さん』の石像をエレボスとメティスと一緒に見上げていたアマネへ向けて投げてきた。落とさずに上手く掴み取れば、手の上で転がったそれは見覚えのある正方形の匣だ。
見覚えのあるそれを掌の上で転がしていれば、気付いたアイギスや天田が不思議そうに近付いてきてのぞき込む。それに真田や桐条も便乗して寄ってくるのに、アマネは掌でそれを披露したまま白蘭を見た。
「チェッカーフェイスから預かってきた。中身は『リセットボタン』って聞いてる」
「リセットボタン?」
不思議そうに岳羽が振り返る。
「正確には、……“俺の命”をリセットしたボタン、ですよ」
指を鳴らして黒い炎を灯せば、伊織達が驚いてアマネから距離を取った。それに構わず匣の解錠部分へ黒い炎から変わった虹色の光を吸い込ませれば、蓋が開いて中身がコロリと転がり出てくる。
弾頭が花びらの様にひしゃげた、古びた銃弾だ。
ひしゃげている事から分かる様に、これは既に一度使われている。拳銃から発射され人間の肉を穿ち、その人間を絶命へと追いやっている銃弾だった。
撃たれたのは『シルビ』という男だ。つまり最初の人生でのアマネだった。
以前にこの匣を開けて中身を確認したとき、アマネはすぐにそれへ気付いて『いらない』と思いこそすれ自分で捨てることが出来ず、チェッカーフェイスへ預けたのである。二度とアマネが触らないように。もしくは簡単に死なないように。
最初にこの弾で死んだのだから、アマネが死ぬ時はやはりこの銃弾がふさわしいと。
アマネを殺してアマネの居た世界を『リセット』する為の、銃弾だった。
そんな冗談が今ではもう冗談になりもしない。思わず小さく笑うと隣から手が伸びてきて銃弾を摘みあげた。
「メティス?」
「いらないなら、コレ、私にください」
銃弾を両手で握りしめて伺うように見上げてくるメティスへ、アマネは少し考えてから頷きを返す。
「いらなくなったら捨ててくれぇ」
「捨てません」
大切なものであるかのように銃弾を握りしめるメティスから、空になった匣を見下ろした。
匣までここで処分していったら勿体ない気がしたのは、これがおそらくオーパーツに近い“オリジナル”同然のものだったからだ。アマネの覚えている限りでは本来存在しなかった筈の時代から存在していた匣である。
持って帰ったほうがいいのだろうかと考えていると、伊織がその匣を怖々と覗き込んできた。
「どうしました?」
「いや、オマエなんでそんなフツーだよ!? つか手から火が出ただろ!」
「ああ……あのですね、世界にはペルソナやシャドウ以外にも常識外れな事があるんですよ。俺や白蘭はたまたまそれの使い手っていうかぁ」
「ペルソナやシャドウ以外の、不可思議現象? ……って、オバケとか?」
「ニュクスやペルソナの存在を知っておいて、今更それを否定はしねぇでしょう?」
笑いながら言えば天田達が顔を見合わせる。急には受け入れ難いだろうがそれは初めて『影時間』やシャドウ、ペルソナを知ったときだって同じだった筈だ。細かい説明をする機会だってここを出てからでも十分にある。
「っていうか、白蘭クンも出来るの!?」
「ウン。言ってなかったっけ?」
「聞いてない! あーもう今日だけで色々起こり過ぎ!」
「もう一日以上経ってるかも知れないよ?」
とうとう頭を抱えてしまった岳羽に山岸が無碍無いことを言っていた。アマネが『平行世界の未来から来た』とSEESのメンバーの中では誰よりも早く聞いていた荒垣が、今更だとばかりにため息を吐いている。
足下でズボンの裾が引っ張られる感覚に見下ろせば、エレボスがアマネのズボンの裾を掴んで見上げていた。見下ろしたアマネと目が合うと歯を鳴らしてよじ登ろうとしてくる。
抱き上げてやればエレボスがアマネの持っていた匣へ触れ、匣の中へと吸い込まれていった。
「は――!?」
思わず声を上げて慌てて指を鳴らし、虹色の光を発生させて閉じてしまった匣を再び開ける。飛び出してきたエレボスが地面へと着地し、どうだとばかりに五体満足でアマネを振り返る姿に、目撃していたのだろう白蘭が駆け寄ってきた。
「その子、入れるんだ……」
「俺も知らなかったぁ……」
「それ、生き物も入れられるんですか?」
「普通は違うんだけど……」
匣は本来匣兵器しか入れられないという認識だったのだが、この匣に関しては『シルビ』を殺した銃弾が入っていた訳であるし、その辺はあまり気にしていない。だが流石に、エレボスが入れるというのは問題である気がした。オーパーツも同然のオリジナルだからいいのか。
何が気に入ったのか再びアマネの傍へ戻ってきて足をよじ登ろうとするエレボスに、アマネは白蘭と顔を見合わせた。
アマネも戻ってきて、これで時の狭間は消える筈である。
「あ、ソウだアマネチャン。コレ」
「んぁ?」
扉へ向かう前に白蘭がポケットから何かを取り出して、最後だからと『兄さん』の石像をエレボスとメティスと一緒に見上げていたアマネへ向けて投げてきた。落とさずに上手く掴み取れば、手の上で転がったそれは見覚えのある正方形の匣だ。
見覚えのあるそれを掌の上で転がしていれば、気付いたアイギスや天田が不思議そうに近付いてきてのぞき込む。それに真田や桐条も便乗して寄ってくるのに、アマネは掌でそれを披露したまま白蘭を見た。
「チェッカーフェイスから預かってきた。中身は『リセットボタン』って聞いてる」
「リセットボタン?」
不思議そうに岳羽が振り返る。
「正確には、……“俺の命”をリセットしたボタン、ですよ」
指を鳴らして黒い炎を灯せば、伊織達が驚いてアマネから距離を取った。それに構わず匣の解錠部分へ黒い炎から変わった虹色の光を吸い込ませれば、蓋が開いて中身がコロリと転がり出てくる。
弾頭が花びらの様にひしゃげた、古びた銃弾だ。
ひしゃげている事から分かる様に、これは既に一度使われている。拳銃から発射され人間の肉を穿ち、その人間を絶命へと追いやっている銃弾だった。
撃たれたのは『シルビ』という男だ。つまり最初の人生でのアマネだった。
以前にこの匣を開けて中身を確認したとき、アマネはすぐにそれへ気付いて『いらない』と思いこそすれ自分で捨てることが出来ず、チェッカーフェイスへ預けたのである。二度とアマネが触らないように。もしくは簡単に死なないように。
最初にこの弾で死んだのだから、アマネが死ぬ時はやはりこの銃弾がふさわしいと。
アマネを殺してアマネの居た世界を『リセット』する為の、銃弾だった。
そんな冗談が今ではもう冗談になりもしない。思わず小さく笑うと隣から手が伸びてきて銃弾を摘みあげた。
「メティス?」
「いらないなら、コレ、私にください」
銃弾を両手で握りしめて伺うように見上げてくるメティスへ、アマネは少し考えてから頷きを返す。
「いらなくなったら捨ててくれぇ」
「捨てません」
大切なものであるかのように銃弾を握りしめるメティスから、空になった匣を見下ろした。
匣までここで処分していったら勿体ない気がしたのは、これがおそらくオーパーツに近い“オリジナル”同然のものだったからだ。アマネの覚えている限りでは本来存在しなかった筈の時代から存在していた匣である。
持って帰ったほうがいいのだろうかと考えていると、伊織がその匣を怖々と覗き込んできた。
「どうしました?」
「いや、オマエなんでそんなフツーだよ!? つか手から火が出ただろ!」
「ああ……あのですね、世界にはペルソナやシャドウ以外にも常識外れな事があるんですよ。俺や白蘭はたまたまそれの使い手っていうかぁ」
「ペルソナやシャドウ以外の、不可思議現象? ……って、オバケとか?」
「ニュクスやペルソナの存在を知っておいて、今更それを否定はしねぇでしょう?」
笑いながら言えば天田達が顔を見合わせる。急には受け入れ難いだろうがそれは初めて『影時間』やシャドウ、ペルソナを知ったときだって同じだった筈だ。細かい説明をする機会だってここを出てからでも十分にある。
「っていうか、白蘭クンも出来るの!?」
「ウン。言ってなかったっけ?」
「聞いてない! あーもう今日だけで色々起こり過ぎ!」
「もう一日以上経ってるかも知れないよ?」
とうとう頭を抱えてしまった岳羽に山岸が無碍無いことを言っていた。アマネが『平行世界の未来から来た』とSEESのメンバーの中では誰よりも早く聞いていた荒垣が、今更だとばかりにため息を吐いている。
足下でズボンの裾が引っ張られる感覚に見下ろせば、エレボスがアマネのズボンの裾を掴んで見上げていた。見下ろしたアマネと目が合うと歯を鳴らしてよじ登ろうとしてくる。
抱き上げてやればエレボスがアマネの持っていた匣へ触れ、匣の中へと吸い込まれていった。
「は――!?」
思わず声を上げて慌てて指を鳴らし、虹色の光を発生させて閉じてしまった匣を再び開ける。飛び出してきたエレボスが地面へと着地し、どうだとばかりに五体満足でアマネを振り返る姿に、目撃していたのだろう白蘭が駆け寄ってきた。
「その子、入れるんだ……」
「俺も知らなかったぁ……」
「それ、生き物も入れられるんですか?」
「普通は違うんだけど……」
匣は本来匣兵器しか入れられないという認識だったのだが、この匣に関しては『シルビ』を殺した銃弾が入っていた訳であるし、その辺はあまり気にしていない。だが流石に、エレボスが入れるというのは問題である気がした。オーパーツも同然のオリジナルだからいいのか。
何が気に入ったのか再びアマネの傍へ戻ってきて足をよじ登ろうとするエレボスに、アマネは白蘭と顔を見合わせた。