後日談2
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
兄さんが守った世界だった。
奏さんが守ろうとした世界だった。
彼等が守るに値すると思った世界はきっと、綺麗に思えた世界だったのだろう。少なくとも彼等にとっては綺麗だったに違いない。
かく言うアマネだって綺麗なモノを知っている。約束を守ってやれなかったあの『後輩』は泣いてやしないかと、アマネの事を忘れている可能性のほうが高いというのに思ったことだってあった。あの『後輩』の目は綺麗だったのを覚えている。
例え世界が汚かったとしても、アマネにとってはこの世界で兄さんに出会えただけで、この世界を愛おしく思える十分な理由だった。そんな些細な理由でアマネは全てを賭ける事が出来る。
兄さんが死んでしまった後の、絶望の底に居たようなあの日々はけれども、兄さんが守っているから死んで消えたいとは思わなかった。
本当は死にたくない。死にたくなかった。
あの人が守るに値すると判断した世界に生きていたかった。
最初からずっと、死にたくなんてない。
「ごめんエレボス……俺、死ねねぇやぁ」
自分を見上げているエレボスに謝罪をする。アイギスへ撃たれているくせに平気そうに立ち上がったエレボスが、近くに落ちていた白い破片を拾い上げて伊織へと近づいていった。伊織がエレボスを見て気付いたように白い何かを取り出すのに、エレボスが白い破片を渡す。
白い何かとその破片とを填め合わせた伊織が嬉しそうな声をこぼした。それからエレボスがそれを受け取って戻ってくる。
差し出されたそれは、いつかに兄さんが持っていた仮面だった。
いつの間にか部屋にあった物でもあって、アマネはずっとそれを何処で手に入れたのか不思議に思っていたのだけれど。
「ガァ」
「……うん。ずっと、兄さんは俺のこと、見守っててくれてたんだなぁ」
平行世界の二年前へ跳ばされたこと。二年前という『過去』へ跳ばされた理由は分かっていたけれど、『平行』世界であった理由は分からなかった。だがそれも、あの人の差し金だったというだけの話。
二人分の『世界』と三人分の奇跡。それでやっと一人分の『世界』
有里湊という『大いなる封印』を軸に、有里奏とアマネが生きることで行なわれた『彼を助ける疑似体験』
自らが築いた絆を慈しむことで初めて発揮できる力の、ある意味では無駄使い。
だがきっと、兄さんは微塵たりとも無駄使いだなんて思ってなどいないのだろう。今現在をもってしても。
そこまでした『兄』の為にも、アマネは生きなければならない。
「エレボス。俺、生きたい」
エレボスの前足を掴んでエレボスの目を見つめて言えば、エレボスは満足そうに目を細める。
そうして最初に出会った時の、子猫くらいの大きさへと戻った。
奏さんが守ろうとした世界だった。
彼等が守るに値すると思った世界はきっと、綺麗に思えた世界だったのだろう。少なくとも彼等にとっては綺麗だったに違いない。
かく言うアマネだって綺麗なモノを知っている。約束を守ってやれなかったあの『後輩』は泣いてやしないかと、アマネの事を忘れている可能性のほうが高いというのに思ったことだってあった。あの『後輩』の目は綺麗だったのを覚えている。
例え世界が汚かったとしても、アマネにとってはこの世界で兄さんに出会えただけで、この世界を愛おしく思える十分な理由だった。そんな些細な理由でアマネは全てを賭ける事が出来る。
兄さんが死んでしまった後の、絶望の底に居たようなあの日々はけれども、兄さんが守っているから死んで消えたいとは思わなかった。
本当は死にたくない。死にたくなかった。
あの人が守るに値すると判断した世界に生きていたかった。
最初からずっと、死にたくなんてない。
「ごめんエレボス……俺、死ねねぇやぁ」
自分を見上げているエレボスに謝罪をする。アイギスへ撃たれているくせに平気そうに立ち上がったエレボスが、近くに落ちていた白い破片を拾い上げて伊織へと近づいていった。伊織がエレボスを見て気付いたように白い何かを取り出すのに、エレボスが白い破片を渡す。
白い何かとその破片とを填め合わせた伊織が嬉しそうな声をこぼした。それからエレボスがそれを受け取って戻ってくる。
差し出されたそれは、いつかに兄さんが持っていた仮面だった。
いつの間にか部屋にあった物でもあって、アマネはずっとそれを何処で手に入れたのか不思議に思っていたのだけれど。
「ガァ」
「……うん。ずっと、兄さんは俺のこと、見守っててくれてたんだなぁ」
平行世界の二年前へ跳ばされたこと。二年前という『過去』へ跳ばされた理由は分かっていたけれど、『平行』世界であった理由は分からなかった。だがそれも、あの人の差し金だったというだけの話。
二人分の『世界』と三人分の奇跡。それでやっと一人分の『世界』
有里湊という『大いなる封印』を軸に、有里奏とアマネが生きることで行なわれた『彼を助ける疑似体験』
自らが築いた絆を慈しむことで初めて発揮できる力の、ある意味では無駄使い。
だがきっと、兄さんは微塵たりとも無駄使いだなんて思ってなどいないのだろう。今現在をもってしても。
そこまでした『兄』の為にも、アマネは生きなければならない。
「エレボス。俺、生きたい」
エレボスの前足を掴んでエレボスの目を見つめて言えば、エレボスは満足そうに目を細める。
そうして最初に出会った時の、子猫くらいの大きさへと戻った。