後日談2
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巨大な扉の前だった。
まるで宇宙の中心へ立っているような空間で、足の下に床という概念として説明出来そうなものすら存在しない。そんな空間にアイギス達は立っていた。
「あれが、ニュクスです。正確には、あの扉の向こうにいるんですけど」
メティスの言葉に扉を見上げる。扉へ括り付けられている青年の石像に、アイギスは既視感を覚えた。初めて屋久島で『彼女』を見た時のような、至極不思議な感覚だ。
扉の前では『アマネ』がエレボスと一緒に扉を見上げて立っている。
アイギス達が来た事へ気付いたらしい彼が振り返り、それに釣られたようにエレボスも顔を上げた。下半身が無く両端に顔のある、到底この世の生き物とは思えないそれは、アイギス達の姿に何かを悟ったかのように彼を見上げて鳴く。
か細いその鳴き声に彼の手だけが動いてエレボスの首筋を撫でた。
「……あの人が、俺の兄さんになってくれた人なんだぁ」
落とすように呟かれた言葉へ、白蘭が彼へと歩み寄る。
「あの人、結局一度も助けてくれなんて言わなかったし、助けて欲しいとも言ってくれねぇんだよ」
「それでも、アマネチャンは助けようとしたんデショ」
「助けようとしたよ。その結果がこの様だぁ。俺の生まれた意味をもう一度ちゃんと知りたくなるなぁ」
「生まれた意味なんて無いよ」
白蘭が無碍に断言した。それにアマネが小さく苦笑して振り返る。
黒い髪、紫の瞳。アイギス達の本当はいなかった仲間。
そんな彼が深く頭を下げる。
「勝手な事して、申し訳ありません」
「勝手なこと、というのはどの事を言ってるんだ?」
「俺の行動の全てがです。きっとそのせいで桐条先輩達は必要以上に困惑したんじゃねぇですか? 荒垣さんを助けること、ご当主を助けることは出来たけれど完璧にじゃなかった。彼女を助けるどころか自分までこんな状況になってしまって、それは悪い経験だったでしょう」
最悪を『最』悪ではないようにした。けれどもそれが最悪でないかどうかなど彼以外には分からない。『最』悪でなかったとしても、悪いことに変わりはないといってしまえばそれまでのこと。
比較がなければ何が悪いのかなど分からない。けれど。
「悪い経験だなんて、思わない未来が来るよ」
山岸が言い返すのに真田も頷く。
「少なくともよ、お前が経験した過去よりは随分といいんじゃね? オレっちもそう思うワケよ」
「そうそう。何だっけ? 明けない夜はないんだし」
「夜だって星が輝いてますよ。今だってこんなに明るいじゃないですか」
天田が自分達の足下や周囲を示す。確かにこの空間はただ真っ暗な様でいて実際には明るい。
まるで宇宙の中心へ立っているような空間で、足の下に床という概念として説明出来そうなものすら存在しない。そんな空間にアイギス達は立っていた。
「あれが、ニュクスです。正確には、あの扉の向こうにいるんですけど」
メティスの言葉に扉を見上げる。扉へ括り付けられている青年の石像に、アイギスは既視感を覚えた。初めて屋久島で『彼女』を見た時のような、至極不思議な感覚だ。
扉の前では『アマネ』がエレボスと一緒に扉を見上げて立っている。
アイギス達が来た事へ気付いたらしい彼が振り返り、それに釣られたようにエレボスも顔を上げた。下半身が無く両端に顔のある、到底この世の生き物とは思えないそれは、アイギス達の姿に何かを悟ったかのように彼を見上げて鳴く。
か細いその鳴き声に彼の手だけが動いてエレボスの首筋を撫でた。
「……あの人が、俺の兄さんになってくれた人なんだぁ」
落とすように呟かれた言葉へ、白蘭が彼へと歩み寄る。
「あの人、結局一度も助けてくれなんて言わなかったし、助けて欲しいとも言ってくれねぇんだよ」
「それでも、アマネチャンは助けようとしたんデショ」
「助けようとしたよ。その結果がこの様だぁ。俺の生まれた意味をもう一度ちゃんと知りたくなるなぁ」
「生まれた意味なんて無いよ」
白蘭が無碍に断言した。それにアマネが小さく苦笑して振り返る。
黒い髪、紫の瞳。アイギス達の本当はいなかった仲間。
そんな彼が深く頭を下げる。
「勝手な事して、申し訳ありません」
「勝手なこと、というのはどの事を言ってるんだ?」
「俺の行動の全てがです。きっとそのせいで桐条先輩達は必要以上に困惑したんじゃねぇですか? 荒垣さんを助けること、ご当主を助けることは出来たけれど完璧にじゃなかった。彼女を助けるどころか自分までこんな状況になってしまって、それは悪い経験だったでしょう」
最悪を『最』悪ではないようにした。けれどもそれが最悪でないかどうかなど彼以外には分からない。『最』悪でなかったとしても、悪いことに変わりはないといってしまえばそれまでのこと。
比較がなければ何が悪いのかなど分からない。けれど。
「悪い経験だなんて、思わない未来が来るよ」
山岸が言い返すのに真田も頷く。
「少なくともよ、お前が経験した過去よりは随分といいんじゃね? オレっちもそう思うワケよ」
「そうそう。何だっけ? 明けない夜はないんだし」
「夜だって星が輝いてますよ。今だってこんなに明るいじゃないですか」
天田が自分達の足下や周囲を示す。確かにこの空間はただ真っ暗な様でいて実際には明るい。