後日談2
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過去の真田が彼を羽交い締めにしている。彼の視線の先では頬を押さえた過去の伊織が床に倒れていて、騒然とした空気の中で彼が怒鳴っていた。
『誰かのせいだってんなら、ここに有里さんを呼んだ幾月の野郎のせいにも、十年前に事故を起こす切っ掛けになった桐条鴻悦のせいにだってなるし、もっとちゃんとシャドウを集めるなっていう遺言を残さなかった岳羽さんのお父さんのせいにも、シャドウの存在を知るペルソナ適合者だったアンタ自身のせいにもなるだろぉ! アンタ一人が怖ぇ訳じゃねぇよクソッタレェ!』
激昂して怒鳴る彼の瞳が爛々と紫色に輝いている。アイギスは場違いながらにそれを『綺麗』だと思った。
『もう一度、あの恐怖を乗り越えなけりゃなんねぇ俺の“これ”は、誰のせいにも出来ねぇんだから』
そういって脱力する彼を過去の真田が放し、彼はその場へ膝を突いて丸くなる。まるで動物が身を丸めて自分を守っているようなそれに、伊織がその時のことを思い出したように自分の頬を押さえていた。
この過去の情景にアイギスの姿はない。だからおそらく、アイギスがムーンライトブリッジで望月と対峙して、修理が終わって戻ってくるまでの間にあったことだ。
望月から『真実』を教えられ、ニュクスの存在や世界の終わりについて教えられた後。
『君は、何を知ってるの?』
懐かしい『彼女』の声。
『……兄さんが、死んだんです』
俯いたまま答える彼の声は震えていた。白蘭が僅かに身じろぎする。
『兄さんが死んだんです。俺はあの人を助けられなくて、だから』
『だから?』
『だから、もう誰にも死んで欲しくない』
彼女が微笑む。
『お兄さんのこと、大好きだったんだね』
顔を上げた彼が、過去の有里達ではなく今のアイギス達を見て立ち上がった。その視線は白蘭へまっすぐに向けられている。
『大切な人が増えたんだ。その人のことをいつかお前にも話したかった。お前を助けた時みたいに、あの人と二度と言葉を交わせなくなるのが嫌だった。お前に会いたかったのと同じくらい、あの人を、助けたかった』
「……うん。アマネチャンらしいね」
扉の立ち並ぶ砂漠へと戻って、伊織が自分の足下から白い陶器の破片を拾い上げた。それを見つめながら頬をさする伊織に、天田と山岸が気遣うように近づいていく。
「あん時、スゲー痛かったんだよな……」
「殴られたくらいで済んで良かったね。アマネチャン手加減もしてたみたいだし」
「アレでっ!?」
驚いて振り返る伊織に白蘭が肩を竦めた。
『誰かのせいだってんなら、ここに有里さんを呼んだ幾月の野郎のせいにも、十年前に事故を起こす切っ掛けになった桐条鴻悦のせいにだってなるし、もっとちゃんとシャドウを集めるなっていう遺言を残さなかった岳羽さんのお父さんのせいにも、シャドウの存在を知るペルソナ適合者だったアンタ自身のせいにもなるだろぉ! アンタ一人が怖ぇ訳じゃねぇよクソッタレェ!』
激昂して怒鳴る彼の瞳が爛々と紫色に輝いている。アイギスは場違いながらにそれを『綺麗』だと思った。
『もう一度、あの恐怖を乗り越えなけりゃなんねぇ俺の“これ”は、誰のせいにも出来ねぇんだから』
そういって脱力する彼を過去の真田が放し、彼はその場へ膝を突いて丸くなる。まるで動物が身を丸めて自分を守っているようなそれに、伊織がその時のことを思い出したように自分の頬を押さえていた。
この過去の情景にアイギスの姿はない。だからおそらく、アイギスがムーンライトブリッジで望月と対峙して、修理が終わって戻ってくるまでの間にあったことだ。
望月から『真実』を教えられ、ニュクスの存在や世界の終わりについて教えられた後。
『君は、何を知ってるの?』
懐かしい『彼女』の声。
『……兄さんが、死んだんです』
俯いたまま答える彼の声は震えていた。白蘭が僅かに身じろぎする。
『兄さんが死んだんです。俺はあの人を助けられなくて、だから』
『だから?』
『だから、もう誰にも死んで欲しくない』
彼女が微笑む。
『お兄さんのこと、大好きだったんだね』
顔を上げた彼が、過去の有里達ではなく今のアイギス達を見て立ち上がった。その視線は白蘭へまっすぐに向けられている。
『大切な人が増えたんだ。その人のことをいつかお前にも話したかった。お前を助けた時みたいに、あの人と二度と言葉を交わせなくなるのが嫌だった。お前に会いたかったのと同じくらい、あの人を、助けたかった』
「……うん。アマネチャンらしいね」
扉の立ち並ぶ砂漠へと戻って、伊織が自分の足下から白い陶器の破片を拾い上げた。それを見つめながら頬をさする伊織に、天田と山岸が気遣うように近づいていく。
「あん時、スゲー痛かったんだよな……」
「殴られたくらいで済んで良かったね。アマネチャン手加減もしてたみたいだし」
「アレでっ!?」
驚いて振り返る伊織に白蘭が肩を竦めた。