後日談2
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扉を抜けるとあれだけ濡れていた服や髪は一瞬で乾いた。どういう仕組みなのか分からないが、身体を拭くものすら持たずに勢いだけで海へ飛び込んでしまったのでありがたい。
エレボスは泳ぎ疲れたのかシルビの腕の中で眠そうにしている。海の中で大きくなったように見えたのだが、それも海を上がった時には元の大きさへ戻っていた。つくづく変な生き物である。
次の扉へ向かう前に少し休憩しようと、空へ続く階段へ腰を下ろした。隣に座ったベアトリーチェも錆びてはいないが流石に疲れている様である。
彼女の名前を、思い出せた気がした。
彼女の『真実』を、思い出せた気がしたのである。そもそも自分は彼女が『機械乙女』であることを海の中へ飛び込むまで知らなかった。なのに自分はごく自然に『錆びないのか』と尋ねていたのだ。
少しずつ、頭の中のひっくり返した玩具箱の中の様な情報が整理されている。けれどもそれが良いことであるかは分からなかった。
だって『■■■』は――。
「▲▲▲さん。海は楽しかったですね」
楽しかった余韻を残す笑みを浮かべたベアトリーチェが話しかけてくる。
「私、海を見たのは初めてでした。あんなにたくさんの水で、地球がビチャビチャにならないのが不思議です。綺麗だったし、冷たかった」
「……また一緒に」
「船に乗れなかったのは残念ですね。海は船で移動するものでしょう?」
手を叩いて知っている情報を披露するベアトリーチェに、シルビは遮られた言葉の先を飲み込んで笑みを浮かべる。膝の上でエレボスが鼻呼吸で眠っているようだった。
シルビが思い出せずにいることの中に彼女はいる。こうして一緒に居てくれている理由は分からないけれど、先へ進み続けていれば思い出せるのだろうか。
思い出した方がいいに決まっている。けれどもシルビは、既に思い出している事のうちの一つの事を考えるとそれもどうかと考えてしまう。
いっその事、この謎の空間でずっと彼女と。
「駄目です」
ベアトリーチェがシルビを真っ直ぐに見つめる。黒い髪。赤い瞳。
「駄目」
もう一度繰り返したベアトリーチェの声にうとうととしていたエレボスが目を覚ます。シルビとベアトリーチェを見上げて立ち上がり、シルビの手へとすり寄ってくるエレボスを一瞥してベアトリーチェが逃げるように立ち上がった。
今までにも見た人影が、シルビ達が動き出すのを確認してから扉の先へと入っていく。ずっと見ていたのだろうかと考えているとベアトリーチェへ手を引かれた。
エレボスは泳ぎ疲れたのかシルビの腕の中で眠そうにしている。海の中で大きくなったように見えたのだが、それも海を上がった時には元の大きさへ戻っていた。つくづく変な生き物である。
次の扉へ向かう前に少し休憩しようと、空へ続く階段へ腰を下ろした。隣に座ったベアトリーチェも錆びてはいないが流石に疲れている様である。
彼女の名前を、思い出せた気がした。
彼女の『真実』を、思い出せた気がしたのである。そもそも自分は彼女が『機械乙女』であることを海の中へ飛び込むまで知らなかった。なのに自分はごく自然に『錆びないのか』と尋ねていたのだ。
少しずつ、頭の中のひっくり返した玩具箱の中の様な情報が整理されている。けれどもそれが良いことであるかは分からなかった。
だって『■■■』は――。
「▲▲▲さん。海は楽しかったですね」
楽しかった余韻を残す笑みを浮かべたベアトリーチェが話しかけてくる。
「私、海を見たのは初めてでした。あんなにたくさんの水で、地球がビチャビチャにならないのが不思議です。綺麗だったし、冷たかった」
「……また一緒に」
「船に乗れなかったのは残念ですね。海は船で移動するものでしょう?」
手を叩いて知っている情報を披露するベアトリーチェに、シルビは遮られた言葉の先を飲み込んで笑みを浮かべる。膝の上でエレボスが鼻呼吸で眠っているようだった。
シルビが思い出せずにいることの中に彼女はいる。こうして一緒に居てくれている理由は分からないけれど、先へ進み続けていれば思い出せるのだろうか。
思い出した方がいいに決まっている。けれどもシルビは、既に思い出している事のうちの一つの事を考えるとそれもどうかと考えてしまう。
いっその事、この謎の空間でずっと彼女と。
「駄目です」
ベアトリーチェがシルビを真っ直ぐに見つめる。黒い髪。赤い瞳。
「駄目」
もう一度繰り返したベアトリーチェの声にうとうととしていたエレボスが目を覚ます。シルビとベアトリーチェを見上げて立ち上がり、シルビの手へとすり寄ってくるエレボスを一瞥してベアトリーチェが逃げるように立ち上がった。
今までにも見た人影が、シルビ達が動き出すのを確認してから扉の先へと入っていく。ずっと見ていたのだろうかと考えているとベアトリーチェへ手を引かれた。