後日談2
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『……何か、用?』
『これを貴女へ』
月光館の校門前。男子制服を着た青年が岳羽へ厚い大判封筒を渡している。荒垣を助け武治を助けた青年はどうやら月光館の生徒であったらしい。過去の『岳羽』もアイギスと同じ様なことを彼へ言っていて、彼は苦笑しながら答えていた。
『キミは知ってるみたいだからいいけどさ。こういう言い方したくないけど……『罪人の子供』って立場、辛いもん』
『貴女も桐条先輩も『罪人の子供』なんかではありません』
『分かってる。でもずっとそう考えてきたんだもの。ちょっと直ぐには変えられないよ』
過去の『岳羽』と話していた彼が、今の岳羽へと振り向く。
『貴女達が落ち込んでいるのが嫌でした。過去が変えられないとしてもこれからは変えられる。だからどうかと、願っていました』
先ほどと同じように差し出された封筒が、岳羽の手へ渡ると白い陶器の破片へと変わる。それを見つめていた岳羽が小さく息を吐いた。
「あの時は結構嫌って言ったくせに。本当はとても嫌だったんじゃない」
「ゆかりも思い出したんだな?」
桐条が尋ねるのに小さく頷き返す。きっと岳羽が渡されていたのは彼女の父に関わる物だろう。幾月が死んで、彼の陰謀が明るみになって岳羽の父の冤罪も明らかになった。
それらの情報を彼がどうやって集められるのかは不明だが、今までの事を考えると彼が岳羽に対して悪い情報を与えるとも思えない。
「あの書類ね、アタシが知らないお父さんの仕事の色んな事が書いてあった。とにかく手当たり次第集めたみたいなカンジでさ……。笑えるよね。アマネ君はずっとアタシ達のことしか考えてなかったのに」
「アマネチャンはそういう人だよ。嫌われることが怖いくせに、嫌われても構わないときは本当に構わない。キミ達を助けることは、アマネチャンの唯一のよすがだったから」
「よすが」
無意識に繰り返す。まだアイギスは思い出せない彼の事が少しずつ、アイギスの主観ではなく第三者の視点で分かっていくのは、どうしてかとても大切なことに思えた。
『アマネ』という人物が、他人から見てもどんな人物であったのか。
白蘭がポケットへ手を突っ込んで何かを握りしめている。きっとリセットボタンが入っているという匣だろう。掌の上にあった白い陶器の破片の様な物を摘んだ岳羽が、不思議そうに荒垣達を見た。
「ところでコレ、何でしょうね?」
今のところ、記憶を取り戻した者だけが手に入れている破片である。
『これを貴女へ』
月光館の校門前。男子制服を着た青年が岳羽へ厚い大判封筒を渡している。荒垣を助け武治を助けた青年はどうやら月光館の生徒であったらしい。過去の『岳羽』もアイギスと同じ様なことを彼へ言っていて、彼は苦笑しながら答えていた。
『キミは知ってるみたいだからいいけどさ。こういう言い方したくないけど……『罪人の子供』って立場、辛いもん』
『貴女も桐条先輩も『罪人の子供』なんかではありません』
『分かってる。でもずっとそう考えてきたんだもの。ちょっと直ぐには変えられないよ』
過去の『岳羽』と話していた彼が、今の岳羽へと振り向く。
『貴女達が落ち込んでいるのが嫌でした。過去が変えられないとしてもこれからは変えられる。だからどうかと、願っていました』
先ほどと同じように差し出された封筒が、岳羽の手へ渡ると白い陶器の破片へと変わる。それを見つめていた岳羽が小さく息を吐いた。
「あの時は結構嫌って言ったくせに。本当はとても嫌だったんじゃない」
「ゆかりも思い出したんだな?」
桐条が尋ねるのに小さく頷き返す。きっと岳羽が渡されていたのは彼女の父に関わる物だろう。幾月が死んで、彼の陰謀が明るみになって岳羽の父の冤罪も明らかになった。
それらの情報を彼がどうやって集められるのかは不明だが、今までの事を考えると彼が岳羽に対して悪い情報を与えるとも思えない。
「あの書類ね、アタシが知らないお父さんの仕事の色んな事が書いてあった。とにかく手当たり次第集めたみたいなカンジでさ……。笑えるよね。アマネ君はずっとアタシ達のことしか考えてなかったのに」
「アマネチャンはそういう人だよ。嫌われることが怖いくせに、嫌われても構わないときは本当に構わない。キミ達を助けることは、アマネチャンの唯一のよすがだったから」
「よすが」
無意識に繰り返す。まだアイギスは思い出せない彼の事が少しずつ、アイギスの主観ではなく第三者の視点で分かっていくのは、どうしてかとても大切なことに思えた。
『アマネ』という人物が、他人から見てもどんな人物であったのか。
白蘭がポケットへ手を突っ込んで何かを握りしめている。きっとリセットボタンが入っているという匣だろう。掌の上にあった白い陶器の破片の様な物を摘んだ岳羽が、不思議そうに荒垣達を見た。
「ところでコレ、何でしょうね?」
今のところ、記憶を取り戻した者だけが手に入れている破片である。