後日談2
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人を拘束する十字架が並ぶ天文台。過去の『桐条』達の拘束は既に解かれ、倒れている武治の傍らには右肩から血を流した青年が幾月を睨んで立っている。
青年は武治が持っていたのだろう銃を持っていた。
『こんな世界は――』
『やり直したってこんなモンだよ。ご当主の一人も助けられねぇ。アンタは相変わらず腐ってるし始まりは十年も前でどうしようもねぇ』
『はは……そうか。君は――『時を操る神器』を手に入れたんだな!?』
『そんなモンは手に入れてねぇよ。欲しかったモノは全部失ってきた。だから新しく欲しいものを守ると決めた』
幾月へ向けて銃を構えた青年が、悲しげに今の桐条達へと振り返る。
『守れなかったんだぁ。ご当主を人殺しにして桐条先輩を悲しませるなんて事は二度目でも出来る訳がねぇ。でもどうせなら、ご当主が撃たれる前に助けられたら良かったぁ』
残念そうに言った青年が幾月を撃った。静かに落ちていく幾月を見ることもなく、銃を降ろした青年は桐条へと歩み寄って持っていた拳銃を桐条へと差し出す。
ゆっくりとそれを受け取って胸元へ抱えた桐条へ、青年が頭を下げた。
『貴方のお父さんを、守れなくて済みませんでした』
扉を潜る前の空間へと戻ってきて、桐条が思わずと言ったようにその場で膝を突く。慌てて岳羽と山岸が駆け寄るのに、桐条は首を振ってその手をやんわりと押し返した。
「……何故忘れてしまっていたんだろうな。お父様を助けてくれたのは『彼』だったというのに」
震える涙声でそう言って、桐条は立ち上がる。そうして持っていた白い陶器のような破片を見下ろした。
ここまでくれば、まだ記憶を取り戻していないアイギス達でも分かるというものだ。『彼』は決してアイギス達の敵ではなく、むしろメンバーの者個人にとっては恩人であったりもする。
SEESの仲間ではない、十人目のメンバーといってもいい『存在』
彼のことをそう言うのであれば、アイギス達はきっと『彼』を思い出して、何かをしなければならないのだ。この時間が進まない時の狭間が現れている原因も、そこにあるように思えた。
「欲しかったモノは全部失ってきた、か……。アマネチャンはバカだもんなあ」
「馬鹿なのか?」
白蘭の独り言へ思わずと言ったように真田が聞き返す。白蘭は呆れている様に肩をすくめた。
「馬鹿だよ。なりふり構わない行動ばっかりする大馬鹿。……でも、ボクもその大馬鹿に救われたんだけどね」
少しだけ懐かしそうに微笑んだ白蘭にアイギスが思い浮かべたのは『彼女』だ。彼女の行動は決して馬鹿なそれでは無かったのだろうけど、救われたのは一緒だろう。
青年は武治が持っていたのだろう銃を持っていた。
『こんな世界は――』
『やり直したってこんなモンだよ。ご当主の一人も助けられねぇ。アンタは相変わらず腐ってるし始まりは十年も前でどうしようもねぇ』
『はは……そうか。君は――『時を操る神器』を手に入れたんだな!?』
『そんなモンは手に入れてねぇよ。欲しかったモノは全部失ってきた。だから新しく欲しいものを守ると決めた』
幾月へ向けて銃を構えた青年が、悲しげに今の桐条達へと振り返る。
『守れなかったんだぁ。ご当主を人殺しにして桐条先輩を悲しませるなんて事は二度目でも出来る訳がねぇ。でもどうせなら、ご当主が撃たれる前に助けられたら良かったぁ』
残念そうに言った青年が幾月を撃った。静かに落ちていく幾月を見ることもなく、銃を降ろした青年は桐条へと歩み寄って持っていた拳銃を桐条へと差し出す。
ゆっくりとそれを受け取って胸元へ抱えた桐条へ、青年が頭を下げた。
『貴方のお父さんを、守れなくて済みませんでした』
扉を潜る前の空間へと戻ってきて、桐条が思わずと言ったようにその場で膝を突く。慌てて岳羽と山岸が駆け寄るのに、桐条は首を振ってその手をやんわりと押し返した。
「……何故忘れてしまっていたんだろうな。お父様を助けてくれたのは『彼』だったというのに」
震える涙声でそう言って、桐条は立ち上がる。そうして持っていた白い陶器のような破片を見下ろした。
ここまでくれば、まだ記憶を取り戻していないアイギス達でも分かるというものだ。『彼』は決してアイギス達の敵ではなく、むしろメンバーの者個人にとっては恩人であったりもする。
SEESの仲間ではない、十人目のメンバーといってもいい『存在』
彼のことをそう言うのであれば、アイギス達はきっと『彼』を思い出して、何かをしなければならないのだ。この時間が進まない時の狭間が現れている原因も、そこにあるように思えた。
「欲しかったモノは全部失ってきた、か……。アマネチャンはバカだもんなあ」
「馬鹿なのか?」
白蘭の独り言へ思わずと言ったように真田が聞き返す。白蘭は呆れている様に肩をすくめた。
「馬鹿だよ。なりふり構わない行動ばっかりする大馬鹿。……でも、ボクもその大馬鹿に救われたんだけどね」
少しだけ懐かしそうに微笑んだ白蘭にアイギスが思い浮かべたのは『彼女』だ。彼女の行動は決して馬鹿なそれでは無かったのだろうけど、救われたのは一緒だろう。