後日談2
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
破片を拾い集めるまではここにいるという黄色いマフラーの青年と別れて砂漠へ戻ってくると、何処へ続いているのか上へ登る為の階段が出来ていた。
さっきまでは絶対に無かったはずのその階段はしかし、何処へ繋がっているのか分からない。階段の先を見上げてもその先は砂煙か靄のようなもので掠れていてはっきりしないのだ。
エレボスを地面へ降ろしてその階段を眺める
「ベアトリーチェ。天国への階段って知ってるかぁ?」
「天国への階段、ですか?」
「雲の切れ間から差し込む太陽の光のことなんだけどなぁ。魂は光の筋を登って天国へ行くっていう伝説? 言い伝え? おとぎ話があるんだぁ」
「ふぅん。見たことは無いです」
「雲の隙間がいくつもあればその光の筋も沢山あって綺麗なんだぁ。でも俺は――あんまりそれを見上げるのは好きじゃねぇかも」
砂の上の足跡が増えていた。さっきの黄色いマフラーの青年のこともあるので、やはりこの空間にはシルビ達以外にもいるのだろう。
「どうして好きじゃないんです?」
「俺は絶対その階段を上がれねぇから」
光の筋は結局現象の一つで、魂にでもならないとそれを登っていくことは出来ない。生きていたからシルビにはそれを登っていくことは出来なかったのだ。
階段へ近づいて足を一段目へ掛ける。特に何かを懸念することなく置けた足へ体重を掛けようとして、後ろからベアトリーチェとエレボスに引っ張られた。
強く引っ張られすぎてひっくり返りそうになったのを、慌てて体勢を立て直して振り返ると、ベアトリーチェが酷く泣きそうな顔をしている。
「ダメです!」
『いつか』にも言われたような気がして、何をするんだと言おうとした言葉が喉の奥へ戻ってしまった。
今のシルビなら昇れる筈なのである。昇れるなら昇りたい。そう思ったのにベアトリーチェの顔を見てしまうと強固にそれを為そうとは思えなかった。
ベアトリーチェの足元ではエレボスがシルビのズボンの裾を掴んでいる。その身体が一回り大きくなっていた。エレボス自身は自分が大きくなった事へ気付いていない様子でシルビを見上げて首を振っていて、しゃがんでエレボスを抱き上げ、ついでにベアトリーチェも抱きしめた。
「――分かったよ。階段は昇らねぇ」
言った途端ホッとした様子でベアトリーチェが笑みを浮かべ、エレボスも元の大きさへと戻る。今更になって、エレボスの生体に疑問を思った。
新しい扉を見やるとこちらの様子を窺っていたらしい青年の様な人影が、扉を開けてその中へと入っていく。
シルビはあれを『追いかけなければいけない』と、やっと目的を得たような気がした。
さっきまでは絶対に無かったはずのその階段はしかし、何処へ繋がっているのか分からない。階段の先を見上げてもその先は砂煙か靄のようなもので掠れていてはっきりしないのだ。
エレボスを地面へ降ろしてその階段を眺める
「ベアトリーチェ。天国への階段って知ってるかぁ?」
「天国への階段、ですか?」
「雲の切れ間から差し込む太陽の光のことなんだけどなぁ。魂は光の筋を登って天国へ行くっていう伝説? 言い伝え? おとぎ話があるんだぁ」
「ふぅん。見たことは無いです」
「雲の隙間がいくつもあればその光の筋も沢山あって綺麗なんだぁ。でも俺は――あんまりそれを見上げるのは好きじゃねぇかも」
砂の上の足跡が増えていた。さっきの黄色いマフラーの青年のこともあるので、やはりこの空間にはシルビ達以外にもいるのだろう。
「どうして好きじゃないんです?」
「俺は絶対その階段を上がれねぇから」
光の筋は結局現象の一つで、魂にでもならないとそれを登っていくことは出来ない。生きていたからシルビにはそれを登っていくことは出来なかったのだ。
階段へ近づいて足を一段目へ掛ける。特に何かを懸念することなく置けた足へ体重を掛けようとして、後ろからベアトリーチェとエレボスに引っ張られた。
強く引っ張られすぎてひっくり返りそうになったのを、慌てて体勢を立て直して振り返ると、ベアトリーチェが酷く泣きそうな顔をしている。
「ダメです!」
『いつか』にも言われたような気がして、何をするんだと言おうとした言葉が喉の奥へ戻ってしまった。
今のシルビなら昇れる筈なのである。昇れるなら昇りたい。そう思ったのにベアトリーチェの顔を見てしまうと強固にそれを為そうとは思えなかった。
ベアトリーチェの足元ではエレボスがシルビのズボンの裾を掴んでいる。その身体が一回り大きくなっていた。エレボス自身は自分が大きくなった事へ気付いていない様子でシルビを見上げて首を振っていて、しゃがんでエレボスを抱き上げ、ついでにベアトリーチェも抱きしめた。
「――分かったよ。階段は昇らねぇ」
言った途端ホッとした様子でベアトリーチェが笑みを浮かべ、エレボスも元の大きさへと戻る。今更になって、エレボスの生体に疑問を思った。
新しい扉を見やるとこちらの様子を窺っていたらしい青年の様な人影が、扉を開けてその中へと入っていく。
シルビはあれを『追いかけなければいけない』と、やっと目的を得たような気がした。