後日談2
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『止血するから手ぇ退かせぇ! あと喋んなぁ! いや違う喋ってろぉ! 意識を無くすんじゃねぇ!』
路地裏。タカヤに撃たれて倒れている荒垣の傍でパーカーの青年が怒鳴っている。
パーカーを脱いで止血に使っている青年の顔を、アイギス達はここへ来てようやく見ることが出来た。だがその顔には見覚えなど無く、学校でも見た覚えはない。
倒れている荒垣が青年へ話しかけようとする。その荒垣へ青年が首を横へ振った。
『嫌です。俺は貴方も死なせたくない。そう決めていたんです』
傍にいる過去の『伊織』から上着を受けとった青年が荒垣へソレを掛ける。影時間が終わるのを待っているのか携帯を取り出して確認する青年の前で真田が荒垣の名を何度も呼び、慌てた青年が心臓マッサージをすると宣言した。
マッサージの邪魔にならないようにと離れようとしたSEESの面々の中から、離れようとした天田の手を青年が掴んだ。
『君は傍で見ていなさい。君のお母さんと重さだけは変わらねぇ『命』だぁ』
『っ……』
心臓マッサージをするのに邪魔だったのか青年が荒垣の内ポケットから壊れた懐中時計を取り出す。それを持ったまま立ち上がって、青年が今の天田へと近づいてきてそれを差し出した。
血塗れた手に乗る、血塗れの壊れた懐中時計。
『俺は、荒垣さんが死ななくて良かったって思っているよ』
天田が恐る恐る懐中時計を受け取った。青年が微笑んだかと思うと目の前の光景はやはり潜ったはずの扉の前に戻っていて、天田の手には懐中時計ではなく白い陶器の破片が乗っている。
それを持つ天田が目元を強くこすってから荒垣と白蘭を振り返った。
「ぼくだって、今は荒垣さんが死ななくて良かったって思ってますから」
「……ああ」
ニット帽を押さえて俯く荒垣の隣で、鞄からノートを取りだした白蘭が何かを確認する。
「この辺りから、アマネチャンが経験した『一度目』と変わってくるみたいだね」
「一度目?」
「一度目は死んでたのか。……言いたがらねえ訳だな」
ノートを確認している白蘭と、何かを知っているらしい荒垣が何かに納得していた。コロマルがそんな白蘭の足許へ向かって、天田も遠慮がちに荒垣へと歩み寄る。
きっと、荒垣と天田、コロマルのように扉を潜った先で過去の記憶と『アマネ』を見ることで、荒垣達は何かを思い出したのかも知れない。それはおそらく『アマネ』ことで、けれども彼らの態度を見る限り『アマネ』は決して敵ではなかった。
敵ではないことくらいは、今までの記憶を見ていれば分かる。けれどもそれを見ても、まだ足りなかった。
『アマネ』は自分達にとって、どんな人だったのか。
路地裏。タカヤに撃たれて倒れている荒垣の傍でパーカーの青年が怒鳴っている。
パーカーを脱いで止血に使っている青年の顔を、アイギス達はここへ来てようやく見ることが出来た。だがその顔には見覚えなど無く、学校でも見た覚えはない。
倒れている荒垣が青年へ話しかけようとする。その荒垣へ青年が首を横へ振った。
『嫌です。俺は貴方も死なせたくない。そう決めていたんです』
傍にいる過去の『伊織』から上着を受けとった青年が荒垣へソレを掛ける。影時間が終わるのを待っているのか携帯を取り出して確認する青年の前で真田が荒垣の名を何度も呼び、慌てた青年が心臓マッサージをすると宣言した。
マッサージの邪魔にならないようにと離れようとしたSEESの面々の中から、離れようとした天田の手を青年が掴んだ。
『君は傍で見ていなさい。君のお母さんと重さだけは変わらねぇ『命』だぁ』
『っ……』
心臓マッサージをするのに邪魔だったのか青年が荒垣の内ポケットから壊れた懐中時計を取り出す。それを持ったまま立ち上がって、青年が今の天田へと近づいてきてそれを差し出した。
血塗れた手に乗る、血塗れの壊れた懐中時計。
『俺は、荒垣さんが死ななくて良かったって思っているよ』
天田が恐る恐る懐中時計を受け取った。青年が微笑んだかと思うと目の前の光景はやはり潜ったはずの扉の前に戻っていて、天田の手には懐中時計ではなく白い陶器の破片が乗っている。
それを持つ天田が目元を強くこすってから荒垣と白蘭を振り返った。
「ぼくだって、今は荒垣さんが死ななくて良かったって思ってますから」
「……ああ」
ニット帽を押さえて俯く荒垣の隣で、鞄からノートを取りだした白蘭が何かを確認する。
「この辺りから、アマネチャンが経験した『一度目』と変わってくるみたいだね」
「一度目?」
「一度目は死んでたのか。……言いたがらねえ訳だな」
ノートを確認している白蘭と、何かを知っているらしい荒垣が何かに納得していた。コロマルがそんな白蘭の足許へ向かって、天田も遠慮がちに荒垣へと歩み寄る。
きっと、荒垣と天田、コロマルのように扉を潜った先で過去の記憶と『アマネ』を見ることで、荒垣達は何かを思い出したのかも知れない。それはおそらく『アマネ』ことで、けれども彼らの態度を見る限り『アマネ』は決して敵ではなかった。
敵ではないことくらいは、今までの記憶を見ていれば分かる。けれどもそれを見ても、まだ足りなかった。
『アマネ』は自分達にとって、どんな人だったのか。