後日談2
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気味の悪い感じを覚える通路の先、三つ目の扉を潜ると黄色いマフラーを巻いた人影が視界の端を横切った気がした。何処なのか分からないが二階以上の高さがある建物の屋上。遠くには海や半島、線路の様な物が見える。
ここは多分学校だ。何という名前かまでは思い出せないが。
シルビの腕から降りたエレボスが興味深げに屋上へ張り巡らされている金網へと歩み寄っていく。よじ登りそうになったら捕まえに行けばいいかと判断してベンチへ腰を下ろし、ふと見ればベアトリーチェも物珍しげに周囲を見回していた。
「ベアトリーチェ?」
「あ、いえ。学校ってこんなに広いんだと思って」
「学校に来たことは無ぇ?」
話の流れ的にそう聞いただけだったのだが、ベアトリーチェは申し訳なさそうに俯いてしまう。シルビは彼女の事を殆ど知らないし、名前もまだちゃんと呼べてはいないが、だからといってそんな顔をさせて良いわけがない。
立ち上がって金網を上手くよじ登れずスタート地点へずり落ちたところだったエレボスを回収する。それをパーカーのフードへ突っ込んで金網へ足を掛けた。
「危ないですよ!」
「大丈夫大丈夫。ベアトリーリェもおいでぇ」
金網をまたいでベアトリーチェへ手を差し出す。入ってきた扉を潜ってしまえばまた砂漠の石畳の場所へ戻ってしまうかも知れないので、校舎の中へ入りたかったら外側から行くしかない。そう考えての行動だった。
戸惑っていたベアトリーチェが思い切った様子で駆け寄ってくる。その手を掴んで引き上げた。少女一人を片手で持ち上げるのは普通であれば無理だろうが、思ったよりも簡単に出来た事へ内心で驚く。
ベアトリーチェを一度金網の上で待たせて、雨樋と壁の凸凹を伝って下の階の窓へ降りた。運が良いというべきか鍵の掛かっていない窓を見つけて開け放し、上へ戻って今度はベアトリーチェと一緒に壁を降りる。
そうして窓から校舎の中へ入った瞬間、着地したのは砂に覆われた石畳の上だった。辺りを見回しても校舎の壁も遠くに見えていた海も無い。
「……残念ですね」
仕方無さそうに呟いたベアトリーチェがシルビから離れる。こうなってしまうことが当然だとばかりの態度に、シルビのほうが申し訳なく思った。
「ごめん」
「どうして謝るんですか? 仕方ないんですよきっと。でもちょっとでも学校に行けて嬉しかったです」
そう言って笑うベアトリーチェが、気を取り直して次の扉へ向かおうとする。気にしてない訳がないよなと思いながら、シルビは背中で暴れているエレボスにフードの紐を引っ張って閉じこめた。
ここは多分学校だ。何という名前かまでは思い出せないが。
シルビの腕から降りたエレボスが興味深げに屋上へ張り巡らされている金網へと歩み寄っていく。よじ登りそうになったら捕まえに行けばいいかと判断してベンチへ腰を下ろし、ふと見ればベアトリーチェも物珍しげに周囲を見回していた。
「ベアトリーチェ?」
「あ、いえ。学校ってこんなに広いんだと思って」
「学校に来たことは無ぇ?」
話の流れ的にそう聞いただけだったのだが、ベアトリーチェは申し訳なさそうに俯いてしまう。シルビは彼女の事を殆ど知らないし、名前もまだちゃんと呼べてはいないが、だからといってそんな顔をさせて良いわけがない。
立ち上がって金網を上手くよじ登れずスタート地点へずり落ちたところだったエレボスを回収する。それをパーカーのフードへ突っ込んで金網へ足を掛けた。
「危ないですよ!」
「大丈夫大丈夫。ベアトリーリェもおいでぇ」
金網をまたいでベアトリーチェへ手を差し出す。入ってきた扉を潜ってしまえばまた砂漠の石畳の場所へ戻ってしまうかも知れないので、校舎の中へ入りたかったら外側から行くしかない。そう考えての行動だった。
戸惑っていたベアトリーチェが思い切った様子で駆け寄ってくる。その手を掴んで引き上げた。少女一人を片手で持ち上げるのは普通であれば無理だろうが、思ったよりも簡単に出来た事へ内心で驚く。
ベアトリーチェを一度金網の上で待たせて、雨樋と壁の凸凹を伝って下の階の窓へ降りた。運が良いというべきか鍵の掛かっていない窓を見つけて開け放し、上へ戻って今度はベアトリーチェと一緒に壁を降りる。
そうして窓から校舎の中へ入った瞬間、着地したのは砂に覆われた石畳の上だった。辺りを見回しても校舎の壁も遠くに見えていた海も無い。
「……残念ですね」
仕方無さそうに呟いたベアトリーチェがシルビから離れる。こうなってしまうことが当然だとばかりの態度に、シルビのほうが申し訳なく思った。
「ごめん」
「どうして謝るんですか? 仕方ないんですよきっと。でもちょっとでも学校に行けて嬉しかったです」
そう言って笑うベアトリーチェが、気を取り直して次の扉へ向かおうとする。気にしてない訳がないよなと思いながら、シルビは背中で暴れているエレボスにフードの紐を引っ張って閉じこめた。