後日談2
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行き止まりの先に見つけた扉を開くと、視界が真っ白になって勢いよく怒濤の勢いで訳の分からない情報の奔流が全身を駆け巡った。
息が詰まるような勢いに、頭の中で様々な光景が重なって繰り返される。幾重にも重なった同じ光景での様々な違う出来事に、両手で顔を覆った。苦しかったり痛みを伴ったりする事はなかったが、その情報を整理するのに脳がいっぱいいっぱいだ。
「▲▲▲さん!?」
「ガァアア!」
ベアトリーチェとエレボスが心配して駆け寄ってくる。膝を突いて意識しながら呼吸を整えているアマネの背中を、ベアトリーチェが気遣うようにさすってくれていた。
肩から降りたエレボスが膝へ乗り上げて下から顔を覗き込んでくる。顔を覆った指の隙間からその紅い眼を見つめて、エレボスの顔に涙が落ちたことに気付いて顔から手を離す。
目元を拭って、不安げなエレボスを抱き上げた。
「……大丈夫」
そうは言っても混乱はしている。エレボスが何かを察したようにすり寄ってきた。
『思い出した事』が『二つ』ある。
一つは自分には大切な人が居たのだという事。それも何人も。
名前は誰のものも一つとして思い出せない。呪文のようなそれが口にしたいのに、一音として喉から上へは出てこないというのは、思った以上に辛かった。
辛いと思うのならいっそのこと忘れ去ってしまえば、とは思わないのだけが僥倖か。シルビは辛くともそれを忘れたくない。
忘れないと誓ったのだ。
「あれ……?」
「どうしました?」
「俺の名前……シルビ?」
ベアトリーチェを見上げて訊ねれば、ベアトリーチェは驚いたような顔をしてシルビを見た。
「それは……いえ、そうですね。それも貴方の名前だと思います」
それも、も何も、普通名前は一つだろう。だがもしかしたら、今シルビが彼女をベアトリーチェと呼んでいるようにあだ名の様な名称があったのかも知れない。
目の前にあったはずの扉は無くなっていた。それどころか気付いたら自分達がいる場所は最初の砂漠の扉の前で、エレボスを抱えたまま立ち上がる。
扉が一つ、増えていた。
自分にいた『大切な人達』が、今何処にいるのかと考える。きっと数人は死んでしまっているのだと分かっているのに、生きている『彼女達』のことを考えると胸が痛んだ。どうして胸が痛むのかは分からない。
砂の上にはシルビとベアトリーチェ以外の足跡が増えている。その足跡はシルビ達が潜った扉の中へと続いているようだった。
思い出したもう一つのことは口に出せない。
ベアトリーチェへ気付かれないように、足跡をハッキリと残す様に砂を踏みしめて次の扉へと向かった。
息が詰まるような勢いに、頭の中で様々な光景が重なって繰り返される。幾重にも重なった同じ光景での様々な違う出来事に、両手で顔を覆った。苦しかったり痛みを伴ったりする事はなかったが、その情報を整理するのに脳がいっぱいいっぱいだ。
「▲▲▲さん!?」
「ガァアア!」
ベアトリーチェとエレボスが心配して駆け寄ってくる。膝を突いて意識しながら呼吸を整えているアマネの背中を、ベアトリーチェが気遣うようにさすってくれていた。
肩から降りたエレボスが膝へ乗り上げて下から顔を覗き込んでくる。顔を覆った指の隙間からその紅い眼を見つめて、エレボスの顔に涙が落ちたことに気付いて顔から手を離す。
目元を拭って、不安げなエレボスを抱き上げた。
「……大丈夫」
そうは言っても混乱はしている。エレボスが何かを察したようにすり寄ってきた。
『思い出した事』が『二つ』ある。
一つは自分には大切な人が居たのだという事。それも何人も。
名前は誰のものも一つとして思い出せない。呪文のようなそれが口にしたいのに、一音として喉から上へは出てこないというのは、思った以上に辛かった。
辛いと思うのならいっそのこと忘れ去ってしまえば、とは思わないのだけが僥倖か。シルビは辛くともそれを忘れたくない。
忘れないと誓ったのだ。
「あれ……?」
「どうしました?」
「俺の名前……シルビ?」
ベアトリーチェを見上げて訊ねれば、ベアトリーチェは驚いたような顔をしてシルビを見た。
「それは……いえ、そうですね。それも貴方の名前だと思います」
それも、も何も、普通名前は一つだろう。だがもしかしたら、今シルビが彼女をベアトリーチェと呼んでいるようにあだ名の様な名称があったのかも知れない。
目の前にあったはずの扉は無くなっていた。それどころか気付いたら自分達がいる場所は最初の砂漠の扉の前で、エレボスを抱えたまま立ち上がる。
扉が一つ、増えていた。
自分にいた『大切な人達』が、今何処にいるのかと考える。きっと数人は死んでしまっているのだと分かっているのに、生きている『彼女達』のことを考えると胸が痛んだ。どうして胸が痛むのかは分からない。
砂の上にはシルビとベアトリーチェ以外の足跡が増えている。その足跡はシルビ達が潜った扉の中へと続いているようだった。
思い出したもう一つのことは口に出せない。
ベアトリーチェへ気付かれないように、足跡をハッキリと残す様に砂を踏みしめて次の扉へと向かった。