後日談2
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「――?」
「どうしたんですか?」
聞き覚えのある声がしたような気がして足を止めたところ、先導していたベアトリーチェが不思議そうに振り返った。肩にいたエレボスが後ろを振り返った拍子に落ちそうになって、不満を自分の髪を引っ張って訴えてくる。
エレボスを宥めながらも視線は来た道を見つめていた。
「▲▲▲さん?」
ベアトリーチェへ呼ばれたのは多分自分の名前だ。このタイミングで違う誰かを呼んだりしないだろう。
砂に埋もれかけた石畳の上を移動して、近くにあった扉の中へ入ったところだった。砂漠では扉しか無かったというのに、潜った先は砂の一粒も無いようなしっかりとした建物で、何処へ続いているのか分からない通路をとりあえず進んでいたのである。
「今、何か声しなかったかぁ」
「どんな?」
「分かんねぇ。でも懐かしい声だよ」
エレボスが不思議そうに顔を覗き込んできた。
誰の声か思い出そうと集中している自分を心配してか、数歩分前を歩いていたベアトリーチェが戻ってくる。
「戻りますか?」
「戻っても仕方ねぇだろぉ? 外は入ってきた扉しか無かったんだし……ぁ」
通路の先に人影があることに気が付いた。咄嗟に走り出してその人影を捕まえようとしたのだが、気付いた人影が素早く逃げていって曲がり角を曲がっていってしまう。
走り出した勢いで肩に乗っていたエレボスが転がり落ちてしまった。ベアトリーチェが慌てて自分の後を追いかけてくる。
急いでその曲がり角へ向かって姿を探しても、通路の先には人影どころか人がいた気配すら無かった。
「……“##”さん?」
呟いて、なんと呟いたのか理解できない。追いついたベアトリーチェが不思議そうに通路の先を見たが、やはり人影は見当たらなかったようだ。
背後で不満そうなエレボスの鳴き声がして、振り返れば床に落ちたエレボスが大層ご立腹の様子で自分達の許へ向かってきていた。引き返して謝りながら抱き上げる。
「ごめんなぁエレボス」
「ガァア!」
「俺が悪かったよ。――?」
エレボスへ謝ったつもりだったのだが、何か違う人へ謝ったような気分になった。エレボスが歯をカチカチと鳴らして不満を訴えている。
人影は男性のようだった。比較対象が無かったし一瞬の事だったので自分より少し背が低そうだったとか、その程度しか分からない。だが少なくとも逃げたのだから敵意などは無いのだろう。
では何故逃げたのか。
「ガァァ?」
「▲▲▲さん?」
「……何でもねぇ。先に進もう」
「どうしたんですか?」
聞き覚えのある声がしたような気がして足を止めたところ、先導していたベアトリーチェが不思議そうに振り返った。肩にいたエレボスが後ろを振り返った拍子に落ちそうになって、不満を自分の髪を引っ張って訴えてくる。
エレボスを宥めながらも視線は来た道を見つめていた。
「▲▲▲さん?」
ベアトリーチェへ呼ばれたのは多分自分の名前だ。このタイミングで違う誰かを呼んだりしないだろう。
砂に埋もれかけた石畳の上を移動して、近くにあった扉の中へ入ったところだった。砂漠では扉しか無かったというのに、潜った先は砂の一粒も無いようなしっかりとした建物で、何処へ続いているのか分からない通路をとりあえず進んでいたのである。
「今、何か声しなかったかぁ」
「どんな?」
「分かんねぇ。でも懐かしい声だよ」
エレボスが不思議そうに顔を覗き込んできた。
誰の声か思い出そうと集中している自分を心配してか、数歩分前を歩いていたベアトリーチェが戻ってくる。
「戻りますか?」
「戻っても仕方ねぇだろぉ? 外は入ってきた扉しか無かったんだし……ぁ」
通路の先に人影があることに気が付いた。咄嗟に走り出してその人影を捕まえようとしたのだが、気付いた人影が素早く逃げていって曲がり角を曲がっていってしまう。
走り出した勢いで肩に乗っていたエレボスが転がり落ちてしまった。ベアトリーチェが慌てて自分の後を追いかけてくる。
急いでその曲がり角へ向かって姿を探しても、通路の先には人影どころか人がいた気配すら無かった。
「……“##”さん?」
呟いて、なんと呟いたのか理解できない。追いついたベアトリーチェが不思議そうに通路の先を見たが、やはり人影は見当たらなかったようだ。
背後で不満そうなエレボスの鳴き声がして、振り返れば床に落ちたエレボスが大層ご立腹の様子で自分達の許へ向かってきていた。引き返して謝りながら抱き上げる。
「ごめんなぁエレボス」
「ガァア!」
「俺が悪かったよ。――?」
エレボスへ謝ったつもりだったのだが、何か違う人へ謝ったような気分になった。エレボスが歯をカチカチと鳴らして不満を訴えている。
人影は男性のようだった。比較対象が無かったし一瞬の事だったので自分より少し背が低そうだったとか、その程度しか分からない。だが少なくとも逃げたのだから敵意などは無いのだろう。
では何故逃げたのか。
「ガァァ?」
「▲▲▲さん?」
「……何でもねぇ。先に進もう」