後日談2
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ペチペチと顔を叩かれる感覚を鬱陶しいと思って目が覚める。
目を開けた直後真っ先に視界を埋めたのは、鋭利な角と獰猛そうな歯を持った紅い目の謎な生き物だった。
「……なに? お前」
仰向けになって寝転がっていた自分の上へ乗っかり、ジッと顔を覗き込んでいたらしいその生き物は、成長しきっていない若い猫ぐらいの大きさをしている。けれども猫や普通の動物と違って胴体部分から鏡合わせのように上半身が繋がっている状態だった。
つまり顔や前脚といった上半身だけの生き物である。後ろ足や尻はなく、その代わりにもう一つ顔や前脚が付いていた。その脚もよく見れば動物の肉球や蹄の付いたそれではなく人間の手の形をしている。
観察すればするほど謎が深まる生き物に、■■■は起き上がってそれに触れてみた。『ガァァ』だの『ガア』だのと鳴き声らしいモノを上げるそれは、想像よりも随分といい手触りをしている。
「ガァ」
「がぁ。お前名前はぁ? ……っていうか、ここ何処だぁ?」
謎の生き物を抱き上げながら周囲を見回した。自分達以外何もなく白い空間が広がっている。
何故自分がこんなところへいるのか分からない。どうやって来たのかも、どうして来たのかもだ。
更に言うなら自分の名前も思い出せなかった。
色々と思い出せない事が多い。ここへ来る前に何をやっていたのかも思い出せず、自分の名前どころか自分が今までどうやって生きてきたのかも分からなかった。
覚えている気はする。だが思い出せない。脳の中からその記憶が出てきてくれない。まるで沢山のモノを詰め込まれた袋の中を、手探りで探っているような感覚である。見つけたいモノがどんな形をしているのかも分からない。
本来ならそこで不安になるべきだったのだろうが、不思議とそれだけは思わなかった。腕の中で謎の生き物が見上げて鳴く。
見下ろせばその謎の生き物が自分の腕をペチペチと叩いていた。何かを主張しているのかも知れないが何分言葉が理解できない。
「……うん。とりあえず歩き回ってみるかぁ」
適当に言ったつもりだったが、謎の生き物が訴えていたのはそういう内容だった様だ。謎の生き物を抱いたまま立ち上がると高くなった視界に興奮している。
何もない白い空間だ。目印になるものも手がかりになるものも見あたらず、進むべき方向も分からない。
それでもやっぱり不安や恐怖は感じられない。その感情が欠落しているような感じさえするまま歩き出した。
腕の中の謎の生き物が鳴く。何が楽しいのかパーカーのフードから垂れる紐で遊んでいた。
目を開けた直後真っ先に視界を埋めたのは、鋭利な角と獰猛そうな歯を持った紅い目の謎な生き物だった。
「……なに? お前」
仰向けになって寝転がっていた自分の上へ乗っかり、ジッと顔を覗き込んでいたらしいその生き物は、成長しきっていない若い猫ぐらいの大きさをしている。けれども猫や普通の動物と違って胴体部分から鏡合わせのように上半身が繋がっている状態だった。
つまり顔や前脚といった上半身だけの生き物である。後ろ足や尻はなく、その代わりにもう一つ顔や前脚が付いていた。その脚もよく見れば動物の肉球や蹄の付いたそれではなく人間の手の形をしている。
観察すればするほど謎が深まる生き物に、■■■は起き上がってそれに触れてみた。『ガァァ』だの『ガア』だのと鳴き声らしいモノを上げるそれは、想像よりも随分といい手触りをしている。
「ガァ」
「がぁ。お前名前はぁ? ……っていうか、ここ何処だぁ?」
謎の生き物を抱き上げながら周囲を見回した。自分達以外何もなく白い空間が広がっている。
何故自分がこんなところへいるのか分からない。どうやって来たのかも、どうして来たのかもだ。
更に言うなら自分の名前も思い出せなかった。
色々と思い出せない事が多い。ここへ来る前に何をやっていたのかも思い出せず、自分の名前どころか自分が今までどうやって生きてきたのかも分からなかった。
覚えている気はする。だが思い出せない。脳の中からその記憶が出てきてくれない。まるで沢山のモノを詰め込まれた袋の中を、手探りで探っているような感覚である。見つけたいモノがどんな形をしているのかも分からない。
本来ならそこで不安になるべきだったのだろうが、不思議とそれだけは思わなかった。腕の中で謎の生き物が見上げて鳴く。
見下ろせばその謎の生き物が自分の腕をペチペチと叩いていた。何かを主張しているのかも知れないが何分言葉が理解できない。
「……うん。とりあえず歩き回ってみるかぁ」
適当に言ったつもりだったが、謎の生き物が訴えていたのはそういう内容だった様だ。謎の生き物を抱いたまま立ち上がると高くなった視界に興奮している。
何もない白い空間だ。目印になるものも手がかりになるものも見あたらず、進むべき方向も分からない。
それでもやっぱり不安や恐怖は感じられない。その感情が欠落しているような感じさえするまま歩き出した。
腕の中の謎の生き物が鳴く。何が楽しいのかパーカーのフードから垂れる紐で遊んでいた。