ペルソナP3P
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有里視点
有里達がそこへたどり着いた時、頂上へ繋がる階段は何重にも張り巡らされた鎖で塞がっていた。下の階層で気絶しているジンを見つけ、その身体を拘束している鎖と同じ結び目も接合部分も見つからないそれに、桐条が舌打ちする。
「駄目だ! やはりこの鎖も壊せそうにない」
ジンを見つけた時既に色々試した後だった。試している最中に目を覚ましたジンの話では、アマネがこれをやったのだという。
部屋の隅ではやはりアマネにやられたのだろうタカヤがジン同様拘束されていた。その肩にアマネのものだろう上着が掛けられている。アイギスと風花がその容態を確認していた。
階段へ張り巡らされた鎖の向こうからは、何かが争っているのか爆発音や衝撃音が響いてきていて、その振動で鎖が揺れている。チリチリと音を立てるそれに、有里は焦燥感だけが募っていった。
「アイツは最初からコレが目的だったのか」
「ニュクスを一人で倒すことが? でもどうして」
「それは分からん。そもそもどうしてアイツがニュクスのことを知っていたのかだってオレ達は知らないんだ」
真田の言うことも尤もである。有里達は彼の『目的』を知らない。
けれども有里は知っていることがあった。
「アマネ君。お兄さんを亡くしているんだって」
「? ああ、そういやそんな事言ってたな。でもそれが今」
「お兄さんの名前。『有里 湊』って言うんだって」
「あ、『有里』?」
天田が有里を見るのに頷き返す。
「綾時が教えてくれた。アマネ君の血の繋がらないお兄さんの名前。それから」
それから。
「私と同じように、“死”を封印された」
驚きに言葉がないといった様子で静まりかえる。聞こえる音が頂上からの振動で揺れる鎖のこすれる音だけになった。
クリスマスの夜に綾時が教えてくれたことを思い出す。それは多分綾時にとっても苦い思い出だっただろう。
だって綾時も『彼』のことを友達だったと言っていた。
「その『彼』がどんな風に死んでしまったのかは教えてもらえなかった」
だが、アマネが有里達をこの先へ行かせまいとしてるのなら、『彼』はこの先で死んだのだということだろう。ニュクスに勝てなかったという事だろうか。
鎖の壁の向こうで一際大きな轟音が響く。静まりかえって、目の前で薄れて消えていく鎖に有里は鎖を掴むように手を伸ばした。
掴む前に消えてしまったそれに、有里は何も掴めなかった手を握りしめて階段の先を見上げる。踏み出した足にアイギスが思わずといった様子で有里を呼んだ。
それに振り返って、笑う。
「アマネ君を助けに行かなくちゃ」
有里達がそこへたどり着いた時、頂上へ繋がる階段は何重にも張り巡らされた鎖で塞がっていた。下の階層で気絶しているジンを見つけ、その身体を拘束している鎖と同じ結び目も接合部分も見つからないそれに、桐条が舌打ちする。
「駄目だ! やはりこの鎖も壊せそうにない」
ジンを見つけた時既に色々試した後だった。試している最中に目を覚ましたジンの話では、アマネがこれをやったのだという。
部屋の隅ではやはりアマネにやられたのだろうタカヤがジン同様拘束されていた。その肩にアマネのものだろう上着が掛けられている。アイギスと風花がその容態を確認していた。
階段へ張り巡らされた鎖の向こうからは、何かが争っているのか爆発音や衝撃音が響いてきていて、その振動で鎖が揺れている。チリチリと音を立てるそれに、有里は焦燥感だけが募っていった。
「アイツは最初からコレが目的だったのか」
「ニュクスを一人で倒すことが? でもどうして」
「それは分からん。そもそもどうしてアイツがニュクスのことを知っていたのかだってオレ達は知らないんだ」
真田の言うことも尤もである。有里達は彼の『目的』を知らない。
けれども有里は知っていることがあった。
「アマネ君。お兄さんを亡くしているんだって」
「? ああ、そういやそんな事言ってたな。でもそれが今」
「お兄さんの名前。『有里 湊』って言うんだって」
「あ、『有里』?」
天田が有里を見るのに頷き返す。
「綾時が教えてくれた。アマネ君の血の繋がらないお兄さんの名前。それから」
それから。
「私と同じように、“死”を封印された」
驚きに言葉がないといった様子で静まりかえる。聞こえる音が頂上からの振動で揺れる鎖のこすれる音だけになった。
クリスマスの夜に綾時が教えてくれたことを思い出す。それは多分綾時にとっても苦い思い出だっただろう。
だって綾時も『彼』のことを友達だったと言っていた。
「その『彼』がどんな風に死んでしまったのかは教えてもらえなかった」
だが、アマネが有里達をこの先へ行かせまいとしてるのなら、『彼』はこの先で死んだのだということだろう。ニュクスに勝てなかったという事だろうか。
鎖の壁の向こうで一際大きな轟音が響く。静まりかえって、目の前で薄れて消えていく鎖に有里は鎖を掴むように手を伸ばした。
掴む前に消えてしまったそれに、有里は何も掴めなかった手を握りしめて階段の先を見上げる。踏み出した足にアイギスが思わずといった様子で有里を呼んだ。
それに振り返って、笑う。
「アマネ君を助けに行かなくちゃ」