ペルソナP3P
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いつの間にか手元へあった仮面。それがいつだったかにあの人が持っていた物だったと今更思い出して、何の気休めにもならないが目に見える覚悟の代わりに装着して、今まで行けなかった上階へ向かう為の階段を駆け上がる。
そこに誰がいるかなんてアマネはとっくに知っていたから、最初から遠慮も躊躇も手加減もせずに中心で更に上の階へと至る階段を見つめていたジンへと襲いかかった。
ジンが気付いて振り返る、が、アマネのほうが早い。ナイフも召喚器も持たずに両手を伸ばしてジンを押し倒し、馬乗りになりながらその頭を床へ押さえつけた。
「っ、何すんやっ!」
「分かってんのに聞いてんじゃねぇよ。お前がタカヤの邪魔をするSEESの邪魔をするように、俺は俺の邪魔をするテメェ等を排除する」
ジンの両手が頭を押さえつけているアマネの腕を掴んで爪を立てる。一切の遠慮もなく立てられた爪に血が滲んだが、この程度は『一度目』にアマネへナイフを突き刺されたジンへ比べれば大した痛みですらない。
それがジンの精一杯の抵抗だとして。
「タカヤに助けられたからテメェはタカヤについてってるけどなぁ。んな程度の『覚悟』で俺を倒せると思うなよぉ?」
「……何やねんホンマにッ」
「お前が『負けた』未来を知ってる」
アマネの手の下でジンの目が見開かれる。
「お前は俺“達”に負けてニュクスの訪れに反応したシャドウの群に襲われた。そのアタッシュケースの中身全部を使って自爆しようとした――」
自爆しようとしたところを助けた訳だが、それは話さなくてもいい蛇足だろう。
アマネ達へ『負けた』という言葉にジンは何を思ったのか、予想以上にショックを受けたようで全身の力を抜いて脱力した。アマネの腕を掴んでいた手も力が抜けて縋るように掴んでいるだけになる。
「……自爆?」
「少なくとも、お前とタカヤが望んだ未来にはならなかったなぁ。でも俺が望んだ未来でもなかった。それは多分俺が居なかったとしてもそうなったよ。つまり――テメェの望みは叶わねぇ」
「う――嘘や」
「桐条財閥が行なった『人工ペルソナ使い』製造実験。タカヤとお前とチドリさんはその脱走者だろぉ。いつ死ぬか分からねぇ絶望の中で、お前はタカヤという光を得た。『過去に捕らわれず、未来を望まず。今この瞬間だけを生きる』」
『一度目』のジンが言っていた言葉を繰り返す。
ジンはタカヤの為なら何でもするとまで決めていた。アマネにはその決意を変えてやることなど出来そうにない。
だから変えようとは思わなかった。ただ。
「でもジン。今この瞬間はやっぱり『今』だろぉ。生きろよ」
言うだけは言わせて貰う。
ジンが不可解そうにアマネを見上げていた。それに笑みを浮かべてアマネは指を鳴らす。
すぐ傍に幻覚製の鎖が現れて落ちてきた。
そこに誰がいるかなんてアマネはとっくに知っていたから、最初から遠慮も躊躇も手加減もせずに中心で更に上の階へと至る階段を見つめていたジンへと襲いかかった。
ジンが気付いて振り返る、が、アマネのほうが早い。ナイフも召喚器も持たずに両手を伸ばしてジンを押し倒し、馬乗りになりながらその頭を床へ押さえつけた。
「っ、何すんやっ!」
「分かってんのに聞いてんじゃねぇよ。お前がタカヤの邪魔をするSEESの邪魔をするように、俺は俺の邪魔をするテメェ等を排除する」
ジンの両手が頭を押さえつけているアマネの腕を掴んで爪を立てる。一切の遠慮もなく立てられた爪に血が滲んだが、この程度は『一度目』にアマネへナイフを突き刺されたジンへ比べれば大した痛みですらない。
それがジンの精一杯の抵抗だとして。
「タカヤに助けられたからテメェはタカヤについてってるけどなぁ。んな程度の『覚悟』で俺を倒せると思うなよぉ?」
「……何やねんホンマにッ」
「お前が『負けた』未来を知ってる」
アマネの手の下でジンの目が見開かれる。
「お前は俺“達”に負けてニュクスの訪れに反応したシャドウの群に襲われた。そのアタッシュケースの中身全部を使って自爆しようとした――」
自爆しようとしたところを助けた訳だが、それは話さなくてもいい蛇足だろう。
アマネ達へ『負けた』という言葉にジンは何を思ったのか、予想以上にショックを受けたようで全身の力を抜いて脱力した。アマネの腕を掴んでいた手も力が抜けて縋るように掴んでいるだけになる。
「……自爆?」
「少なくとも、お前とタカヤが望んだ未来にはならなかったなぁ。でも俺が望んだ未来でもなかった。それは多分俺が居なかったとしてもそうなったよ。つまり――テメェの望みは叶わねぇ」
「う――嘘や」
「桐条財閥が行なった『人工ペルソナ使い』製造実験。タカヤとお前とチドリさんはその脱走者だろぉ。いつ死ぬか分からねぇ絶望の中で、お前はタカヤという光を得た。『過去に捕らわれず、未来を望まず。今この瞬間だけを生きる』」
『一度目』のジンが言っていた言葉を繰り返す。
ジンはタカヤの為なら何でもするとまで決めていた。アマネにはその決意を変えてやることなど出来そうにない。
だから変えようとは思わなかった。ただ。
「でもジン。今この瞬間はやっぱり『今』だろぉ。生きろよ」
言うだけは言わせて貰う。
ジンが不可解そうにアマネを見上げていた。それに笑みを浮かべてアマネは指を鳴らす。
すぐ傍に幻覚製の鎖が現れて落ちてきた。