ペルソナP3P
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自宅のアパートで手紙を認めた。それをポストへ入れがてら、辰巳記念病院の荒垣の病室へと見舞いへ行く。
荒垣は未だに昏睡状態で、どんな夢を見ているのかさえ想像がつかなかった。出来れば幸せな夢を見ていて欲しいものだが、荒垣にとっての幸せな夢というのが『天田の復讐によって死ぬ』夢であったとしたら、それはちょっと遠慮して欲しい。
ストレガは『一度目』同様既にタルタロスへ篭もったようだった。少なくとも雑誌やテレビ番組に姿を現していない。ニュクス教は『運命の日』を控えて密やかに盛り上がっている。
病室の窓を開けて見舞い客用の丸イスへ腰を下ろす。片膝を抱える様に座って眠っている荒垣を見た。
『一度目』の彼が、走り書きのように書き残した言葉がある。
『イブリス 固い意思を貫いた。忠誠の徒。斑鳩のペルソナ。火から生まれた。最期のときまで。傲慢』
今のアマネを見たら、荒垣はなんと言うだろうか。
「でも俺は、やっぱり最期のときまでこの意思を貫きますよ。でなけりゃ俺は『約束』を幾つ破ることになるんですか」
大人になる前に会いに行くという約束を守れていない。
事の結末を話しに行くという約束を守れていない。
駅へ見送りに行くという約束も守れていない。
妻へ会わせてくれという代償を払っていなかった。
そんなに多くの『約束』を放置してしまっている。それらを守ろうとしているうちは、アマネは諦めるなんて事はないだろう。
左手手首へ填めている腕輪に触れた。
「貴方には先に謝っておきますね。『ごめんなさい』」
掛布の上へ出ていた荒垣の手へ自分のそれを伸ばす。点滴でしか栄養の接種を行なっていない荒垣の腕は少しやせ細ってしまっている。
指を鳴らして灯した黒い炎は、けれども結局何もしないままに消した。
笑って手を離して病院を後にする。その足でポロニアンモールの路地奥へあるベルベットルームへの扉を潜り、何も言わず目を合わせようともしないイゴールの前を経由して、影時間にならなくては立ち入ることが出来ないはずのタルタロスへと足を踏み入れた。
明日が全ての『運命の日』であろうと、タルタロスの内部はいつも通りの静謐しつつも雑然とした空気に溢れている。
やることは出来るだけやってきた。後は全て博打だ。
荒垣は未だに昏睡状態で、どんな夢を見ているのかさえ想像がつかなかった。出来れば幸せな夢を見ていて欲しいものだが、荒垣にとっての幸せな夢というのが『天田の復讐によって死ぬ』夢であったとしたら、それはちょっと遠慮して欲しい。
ストレガは『一度目』同様既にタルタロスへ篭もったようだった。少なくとも雑誌やテレビ番組に姿を現していない。ニュクス教は『運命の日』を控えて密やかに盛り上がっている。
病室の窓を開けて見舞い客用の丸イスへ腰を下ろす。片膝を抱える様に座って眠っている荒垣を見た。
『一度目』の彼が、走り書きのように書き残した言葉がある。
『イブリス 固い意思を貫いた。忠誠の徒。斑鳩のペルソナ。火から生まれた。最期のときまで。傲慢』
今のアマネを見たら、荒垣はなんと言うだろうか。
「でも俺は、やっぱり最期のときまでこの意思を貫きますよ。でなけりゃ俺は『約束』を幾つ破ることになるんですか」
大人になる前に会いに行くという約束を守れていない。
事の結末を話しに行くという約束を守れていない。
駅へ見送りに行くという約束も守れていない。
妻へ会わせてくれという代償を払っていなかった。
そんなに多くの『約束』を放置してしまっている。それらを守ろうとしているうちは、アマネは諦めるなんて事はないだろう。
左手手首へ填めている腕輪に触れた。
「貴方には先に謝っておきますね。『ごめんなさい』」
掛布の上へ出ていた荒垣の手へ自分のそれを伸ばす。点滴でしか栄養の接種を行なっていない荒垣の腕は少しやせ細ってしまっている。
指を鳴らして灯した黒い炎は、けれども結局何もしないままに消した。
笑って手を離して病院を後にする。その足でポロニアンモールの路地奥へあるベルベットルームへの扉を潜り、何も言わず目を合わせようともしないイゴールの前を経由して、影時間にならなくては立ち入ることが出来ないはずのタルタロスへと足を踏み入れた。
明日が全ての『運命の日』であろうと、タルタロスの内部はいつも通りの静謐しつつも雑然とした空気に溢れている。
やることは出来るだけやってきた。後は全て博打だ。